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『青列車の秘密』

『青列車の秘密』
THE MYSTERY OF THE BLUE TRAIN
アガサ・クリスティー・著
田村隆一・訳
ハヤカワ文庫

青列車って漢字で書くと江戸川乱歩みたいだが、
フランス語だとトラン・ブルー、英語だとブルー・トレイン。
いきなり寝台車っぽくなります。
オリエント急行に続き、列車もの。といってもオリエント急行ほど、
車内の場面はなく、ポアロの行動の中心地はリヴィエラ。
元々、地中海をイメージして青い車両だったことからブルー・トレインになったのだとか。

この青列車の路線がよくわからなくて、地図を広げてみる。
物語では、ロンドンのヴィクトリア駅から列車でドーヴァー港へ。
ここから船でフランスのカレー港へ渡り、そこから青列車に乗車。
パリ、リヨンを通ってニースへ。
「リヨン駅を発車して……、それから列車はリヨン駅に到着した。」
といった文章が何度も出てくるので、どうなってるんだと思ったら、
パリのリヨン駅と、フランス南東部にあるリヨン駅、リヨン駅は2つあるらしい。
物語のキーポイントでもあるので、ここらへんは訳注とか
解説でちゃんと説明してほしいところ。
リヴィエラもニースっていったり、コート・ダジュールって書かれていたり、ちょっと混乱。

冒頭からボリス・イワノヴィッチというロシア人が出てきたり、
謎の男“侯爵”とか、魅惑のダンサー、ミレーヌとか
なんだかハードボイルド。おもしろくないわけじゃないんだけど、
私がクリスティーに求めてるのはこういうんじゃないんだよな。
めずらしく犯人も消去法で見当がつきました。

この作品が発表されたのは1928年。
『アクロイド殺人事件』の発表と、有名なクリスティー失踪事件が1926年、
1928年には最初の夫と離婚して、夫は愛人と再婚しています。
そう思って読むと、億万長者の娘ルスと、彼女の不実な夫デニス・ケッタリング、
愛人ミレーヌ、知的なキャザリン・グレイの関係も意味深。

「ええ、よくわかりますとも、マドモアゼル。
人生はちょうど列車のようなものなのです。
ただ走っていくばかりです。そうです、それでいいのですよ」

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