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『なぜ、サムスンは中国で勝てたのか? 』

『なぜ、サムスンは中国で勝てたのか? 』
金柳辰・著
彩図社

サムスンといえば、日本では比較的安価なAV機器
のイメージがまだ強い。
この間、泊まった大阪のホテル一栄は
客室に液晶ディスプレーとDVDプレーヤーを備えており、
どちらもSAMSUNGブランドだった。
電気街が近い難波のホテルらしいセレクトだと思った。

原題は『三星と中国』。
1、2章はタイトルどおり、韓国企業サムスン(三星)が
いかにして中国進出をなしとげたかという話だが、
3、4章は14年にわたって中国を見てきて著者が
その歴史、経済成長、今後の問題点を解説している。

サムスンの中国進出の成功要因は、
「徹底した事前準備、現地企業とのパートナーシップ構築、
高級ブランドイメージ戦略、現地採用者に対する積極的な教育投資、
企業市民意識の養成」であるという。

たとえば、著者はビザをとるのが難しかった1985年頃から
中国進出をめざし、現地と友好関係を築くことに尽力し、
中国を愛する心がなければ成功することはできないと
歴史や文化も深く理解しようと努めている。
(中国の香辛料シャンチャイはクセのある香りがあり、中国駐在員が
これに慣れれば帰国の辞令が出る時とまで言われるそうだが、
著者は食文化を受け入れる努力をすべきという。)

サムスンは人材育成として、社員を1年間海外に派遣し、
6ヵ月は語学研修を中心に現地事情を学習し、
残りの6ヵ月は各自中国全域をリュックサックで旅行して、
国民性や地域特性、環境や文化をレポートするのだそうだ。

CDMAの商品化に世界で最初に成功したことで、
サムスンは携帯市場でトップに立つ。
1995年には、品質向上のため、携帯、ファックス、キーボードなど
15万台の不良製品をすべて回収し、
工場の職員の前で燃やすという強攻策を行なっている。

サムスンのイメージ広告では、
チェン・カイコーやケリー・チャンを起用して、
高級ブランドの印象をアップさせている。
'90年代半ばは「テレビをキログラム単位で売る」という
低価格攻勢で市場に参入した中国地元企業も
今では、レノボのように“価格優位”から“ブランド優位”へ
営業戦略を転換している。
中国の家電企業ハイアールは、市場占有率が30%未満の製品は
一切生産しないという話まであるそうだ。
また、著者は中国の指導部の経済手腕を高く評価している。

経済的な話は少々難しく、韓国や中国の市場に疎いので
理解できないことも多いが、
日本が中国の経済成長を脅威と考えたとき、
韓国はチャンスととらえたという。
韓国と中国が経済協力を進める一方で、
日本は歴史問題が大きく思うように進出できないという話も重い。
あとがきの日付は「2005年光復(解放)60周年記念の日」
となっている。

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