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『宇宙エレベーター』

宇宙エレベーター
『宇宙エレベーター』
アニリール・セルカン・著
大和書房

宇宙物理学者であり、トルコ人初の宇宙飛行士候補である著者が
自身の子供時代について、宇宙について、タイムマシンの可能性について
原子について、科学の歴史について語った本。

著者は子供時代に川の水力や太陽エネルギーを利用して
野球スタジオの照明を点けるという模型を作り、
科学コンテストで優勝。それがきっかけとなってスイスに留学、
その後も世界を移り住み勉強や研究を続けたため、
数ヶ国語を操り、日本でも暮らしている。

ときに自伝として、ときに科学の本として、ときにSF調の物語として
スタイルを変えながら語る語り口はユニーク。
しかし、語り口が平易だからといって
彼の言っていることがわかるかというと、ほとんどさっぱり。
4次元ですら、ついていけないのに
11次元やゼロ次元なんて、とても理解できない。
一般相対性理論や量子論にしても、「量子がここにあるということは
確立でしかいえない」のだから、科学というより、もはや哲学の世界。
まあ、昔の人にすれば「地球が丸くて、太陽の周囲を回っている」
という考えも、かなりSF的な理解の範囲を超えた話だったのだろう。

しかし、シュメール文明はかなり進んだ天文学の知識をもっていて
地球が丸いことも理解していたという指摘はおもしろい。
ノアの箱舟やオルフェスのような伝説は各地にあり、
シュメール文明の石盤に書かれた物語と古事記もよく似ているという。
インドの叙事詩『マーハブハラタ』には原子爆弾のような武器がでてくる。
(多神教のルーツはシュメール文明であり、
「自然の力を様々な神として崇めたあらゆる文明がなくなってしまった今、
日本はまだその考え方をどこかで持ちつづけている数少ない国だ。」
という指摘も興味深い。)

基本的にこの本は科学の本ではなく、
科学者や宇宙飛行士を志す者へ向けられたメッセージだ。
最初の章で、トルコのニュースで「将来何になりたいか」と聞かれた少年が
「セルカンになりたい」と答えてくれて、感激した話がでてくる。
15歳のときにタイムマシンを作ろうとした話や
宇宙にソトがあると考えてみようという話など、
チャレンジ精神、物事を普通と違う視点で考えてみる創造力、
何よりもそれが未来を作るということだと著者は言っている。


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