« 『感動をつくれますか?』 | トップページ | ピクサー展 »

『ベッカー教授、ポズナー判事のブログで学ぶ経済学』

ベッカー教授、ポズナー判事のブログで学ぶ経済学
『ベッカー教授、ポズナー判事のブログで学ぶ経済学』
ゲーリー・S・ベッカー、リチャード・A・ポズナー・著
鞍谷雅敏、遠藤幸彦・訳
東洋経済新報社

経済学者ベッカー教授と法律家ポズナー判事、
ふたりの専門家によるブログ『The Becker-Posner Blog』
ベッカー教授が『ビジネス・ウィーク』誌に連載していたコラムを抜粋、
テーマごとにまとめた本。

ブログは、毎週テーマを決め、ひとりが基調エッセイを書き、
もうひとりがコメントをつけるという形で進められたもの。
ブログの指導をしたのが、ポズナー判事の書記だった
ローレンス・レッシグ教授だというのもおもしろい。
元のブログにはさらにコメントがつけられているが、
本書には基調エッセイとそれに対する返答のみ。
まあ、書籍化した時点で元がブログであることは
ほとんど関係なくなってしまうのだが、
専門家の高いレベルの対話がネット上で簡単に
実現できるのは、ブログの強みだろう。

ふたりとも経済レベル、知的レベルが高く、
同じ“階級”に属する人なので、基本的に考え方の方向性は同じ。
意見が激しく対立することはない。
逆に言うと、アメリカのそういうレベルの人が(ある種のインテリ層)、
経済や社会の問題に対して、どう考えているのかがわかる。

「カトリック教会の聖職、男性ばかりの職業は
同性愛の男性にとって魅力があるのは明らかだが」とか、
「経済学的観点からすると、女性の家庭内での生産活動
-そのうちの重要な要素として、子供の人的資本形成における
母親としての貢献が含まれる-に比べて、女性の労働市場での
生産活動がより大きな社会的価値を生むものでないかぎり、
労働市場への女性参加は奨励されるべきではない。」とか、
なかにはおいおいと思う記述も。

「生活保護を減らし、自分で仕事に就くことを奨励するほうが、
経済状況は改善される」とかも金持ちの意見だなーと思う。
それでも
「欧州、とりわけフランスでは移民の受け入れがうまくいっていないので、
イスラム系移民が孤立しがちだ」とか、
日ごろ考えたこともない事柄について問題提起されるのは有意義。

訳者のひとり、鞍谷氏はベッカー教授の教え子らしいが、
非常に読みやすい訳文。

« 『感動をつくれますか?』 | トップページ | ピクサー展 »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/27590/3218688

この記事へのトラックバック一覧です: 『ベッカー教授、ポズナー判事のブログで学ぶ経済学』:

« 『感動をつくれますか?』 | トップページ | ピクサー展 »