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『DIGITAL RETRO』

『DIGITAL RETRO』
ゴードン・ライング・著
トランスワールドジャパン

1975年の「MITSアルタイル8800」から
1988年の「ネクスト・キューブ」まで
往年の家庭用コンピューターを紹介した本。
『COLLECTABLE TECHNOLOGY』の姉妹本ともいえるが、
『COLLECTABLE TECHNOLOGY』がパソコンのほか、
電卓やAV機器なども幅広く扱っていたのに対し、
こちらは家庭用コンピューターに特化。
各機種のスペックや当時の販売価格、メーカーの歴史も書かれている。

「MITSアルタイル8800」のアルタイルの名は
「スタートレック」を見ていた12歳の娘が
エンタープライズ号が向かう惑星の名前からつけた、とか

「マテル・インテリビジョン」を発売したマテルの主力商品バービーは
娘バーバラのニックネームからとり、ケンは息子の名前に由来する、とか

ヒューレット氏とパッカード氏はコインを投げて
どちらの名前を社名の初めにもってくるかを決めた。
同社の「HP-85」の大企業の顧客第一号は、
『ファンアジア』のプレゼンテーション用のオーディオ機器を
検査するために8台を購入したディズニー社だったとか、

リーナス・トーバルズは、
「コモドールVIC-20」から「シンクレアQL」に乗り換えたとか、
インテグレーティド・エレクトロニクス(インテル)は
同名のホテル・チェーンが存在したが、社名を譲ってくれたとか、
知ってどうするトリビアが満載。

“家庭用コンピュータ”というカテゴリーがあいまいなので、
「セガマークⅢ」や「任天堂ファミコン」など、“ゲーム機”も
同列に紹介されているのはちょっと違和感。
でもこの時代には両者に大きな境界線はなかったんだよね。
「シンクレアZX80」のペタペタした膜接点キーボードを見て
「ぴゅう太」を思い出したよ。

多くのコンピューターのCPUに6502とZ80が使われているのも印象的。
ある意味、みんなが手作りでコンピューターを自作していた時代。
いろんな企業がコンピューターを作るけど、
「シンクレアQL」、「エイコーン・エレクトロン」、「マテル・アクエリアス」など
デザイン的には美しい機種がまったく売れなかったのは残念。
メーカーヒストリーを見ると、多くの企業がその後、破産したり、撤退している。

そして1984年に「IBM 5170 PC AT」が登場。
「全機種との互換性を保つため、オリジナルPC ATのデザイン様相が
今も非常に多く残っている。今日私たちが使用しているキーボードの
レイアウトは1984年に初めて導入されたものと同じである。」
機能が安定してくると同時にデザインも変化のないものになってしまう。
ノスタルジックに昔を振り返るのは後ろ向きだなーと思うけど、
パソコンがまだ夢だった時代を思い出させてくれる一冊。
著者は最後にこう書いている。
「IBMのPCが長い目で見れば勝利したのかもしれないが、
1982年に戻ったつもりになるとこんなに楽しいのは皮肉である。」

(どこを見ても訳者が載っていないのだが、非常に読みにくい直訳文体は最悪。
“ムーアの法則”のGordon Mooreを「ゴードン・モーア」と訳している点で
ちゃんとした訳者をつけていないと思える。)

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