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『カーズ』

『カーズ』
at 新宿オデヲン座

優秀だが傲慢な新人レースカー、マックイーンは、
寂れた田舎町ラジエーター・スプリングスに迷い込み、
そこで自分が忘れていた“大切なもの”を見つける。

と書いてしまうと、そのまんまのストーリー。
往年のレーシング映画のパロディみたいなところがあるので、
物語にひねりはほとんどなし。ほぼ予想通りに展開する。
それでもピクサーだからディティールまできっちり描かれていて楽しめるコネタが満載。
ただ、その分、話が冗長になってしまっていることも否めない。
この話で2時間は長いでしょ。

しかし、美術に関してはもうさすがピクサー。
レースの観客席のキラキラ感、疾走する森の風景、
車体の映り込み(これ全部計算してるんだとするとすごい)、
車たちの擬人化(ドック・ハドソンはちゃんとポール・ニューマンっぽいし、
サリーはセクシーだし、車なのに!)、どれをとっても完璧。

『ハウルの動く城』でソフィーが「こんな綺麗な景色初めて見たわ」
と言う場面があるのだが、その肝心の景色がまったく心に響かない。
それに対して、『カーズ』でサリーが「恋に落ちた」という風景を
マックイーンに見せる場面は、空気感までちゃんと描かれていて本当に美しい。
絵として綺麗かどうかが問題なのではなく(絵としても綺麗でしたけどね)、
それを美しいと観客に信じ込ませることが大事で、
ピクサーはそれを成し遂げている。

ピクサー作品はどれをとっても決してはずれない安定感と
平均点以上のレベルを維持しているから、
何を作ってもまちがいなくヒットするのだが、
『モンスターズ・インク』や『ファインディング・ニモ』のような
爆発的ヒットはここ数年起こしていない。
みんなで意見を出し合いながらわいわい作るピクサーのやり方は
キャラクターに深みを与え、細かいところまで手を抜かない仕事をしてるけど
ストーリー軸がブレたり、話があっち行ったりこっち行ったりする弊害があるよなとも思う。

エンドロールに去年亡くなった脚本家ジョー・ランフトに捧ぐという言葉と
彼が声優を務めた『トイ・ストーリー2』のウィージー(ペンギン)が歌う場面が流れた。
スタッフが声優をやっていると、こういう別れ方ができるよなと思ったり。

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