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『シリコンバレー精神』

シリコンバレー精神 -グーグルを生むビジネス風土
『シリコンバレー精神 グーグルを生むビジネス風土』
梅田望夫・著
筑摩書房

ベストセラー『ウェブ進化論』の著者、梅田氏が
2001年に出版した『シリコンバレーは私をどう変えたか』に
「文庫のための長いあとがき」を追加して文庫化。

言ってしまえば『ウェブ進化論』人気に便乗した本だが、
もともと1996年~2001年にかけて月刊誌『フォーサイト』に掲載した
『シリコンバレーからの手紙』をテーマごとにまとめたもので、
当時のシリコンバレーのエネルギーとネットバブル崩壊、
マイクロソフトの独禁法違反裁判などが、現地からの生の言葉として書かれている。
さらに、「文庫のための長いあとがき」では、
次の5年間(2001年~2006年)を経過した視点から当時を振り返っている。

1998年ごろだったと思うけど、ITの中心がシリコンバレーだった時代があり、
私も最新ニュースを読むために「サンノゼ・マーキュリー」をチェックしていた。
(CNETやWIREDもあったけど、すべてが日本語化されるわけじゃなく、
日本語化されるまでに2、3日かかったから一生懸命英語を読んでいた。)
それが2000年4月にネットバブルが崩壊し、
最新ニュースはシリコンバレー発ではなくなった。
(むしろアジアから新しい動きが起こっていた。)
シリコンバレーに活気が戻ってきたのは、つい最近、グーグルの成功以降だろう。
そんなあたりの話が梅田氏の視点で語られる。

今、振り返って初めてわかることもあり、
グーグルについては最初の5年間には1ヵ所しかでてこない。
それでも産学一体となったスタンフォード大学が
非常に有能なナードたちの技術をビジネスと結びつけ、
それに投資するベンチャー・キャピタルの仕組みがある
シリコンバレーだからこそ、グーグルの成功を支えたことは理解できる。
(グーグルについてもっといえば、ネットバブルの崩壊によって、
投資だけでなく自分たちで利益を生み出す必要に迫られたこと、
マイクロソフトが独禁法裁判によって動きがとりにくかったことも
結果的にはラッキーだったと思う。)

リーナス・トーバルズの
「プログラミングという仕事は、エンジニアリングとアートのちょうど間にあると思う。
職業としてのプログラマーは、
科学者と技術者と芸術家と職人が合わさったような感じかな。」
という言葉がおもしろい。

また、会社を辞めて独立した梅田氏に対し、
「何でもかんでも、すべては個人の中から生まれるんだ。会社からじゃないんだ。
価値を生み出すのは会社ではなくて、個人なんだ。」
というゴードン・ベルの言葉も示唆に富んでる。

『ウェブ進化論』とはまったく別の内容だが、
シリコンバレーにあこがれる人や、望夫ファンは読むべし。

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