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『ブログがジャーナリズムを変える』

ブログがジャーナリズムを変える
『ブログがジャーナリズムを変える』
湯川鶴章・著
NTT出版

時事通信社の編集委員であり、『ネットは新聞を殺すのかblog』を運営する著者が
ネットにおける個人の情報発信がジャーナリズムをどう変えていくか模索する。

第1部「放送と通信の融合を大胆予測」では、
現在の「普通にテレビで放送を見る層」→「地上派以外の手段でテレビを見る層」
→「パソコンでテレビを見る層」というピラミッドは
やがて「地上派以外の手段でテレビを見る層」が増加し、
その際のキーワードはモバイル、ビデオ・オン・デマンド、参加型メディアだろうと予測する。

第2部「参加型ジャーナリズムの時代がやってきた」では、
ニュースキャスターを降板に追い込んだアメリカのブロガーたちの例、
市民記者が記事を投稿する韓国のオーマイニュースの例、
日本における参加型ジャーナリズムの現状、問題点をあげている。
(著者は日本でも2ちゃんねるがジャーナリスティックな活動を実践しているという。)

ここらへんまではわりと普通なのだが、
第3部「ネットにやられてたまるか」あたりから、
著者はより自分の言葉で語りだす。
ジャーナリズムとは何なのか、
記者ブログや自身のブログが炎上した経験から、マスコミへの強い批判を認識し、
今後マスコミはどう変わらなければいけないのかを考える。
心ないコメントに傷つきながら、著者はそれでも対話を続けるべきであり、
読者と記者の境界がなくなり、市民ジャーナリズムと既存メディアが
補完しあう関係が理想だと語る。
はたして、ネットは新聞を殺すのか、今後、既存メディアがどうなるのか。
紙媒体が完全になくなることはないが、
情報伝達の主役ではなくなることはまちがいないと著者は言う。
では、既存メディアはどんな形をめざすべきなのか、明確な答えは出していない。
「それはわからない」と正直に述べている。

「ネットが世界を変える」と声高に言う人が多い中、
悩みながら、今後のジャーナリズムの姿を模索する、著者の姿勢はとても真摯だ。
この本自体、『ネットは新聞を殺すのかblog』をまとめたもので、
第1部と第3部で文章のトーンが違うのは「未来予測よりも自分の心情の吐露を」
と読者から指摘を受けながら書き続けたからだという。
悩み続ける姿勢がそのまま形になった点でいい本だと思う。

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