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『時をかける少女』

時をかける少女 オリジナル・サウンドトラック
『時をかける少女』
at テアトル新宿

初めて自分でお金を払って、親とではなく友達と見に行った映画が
『時をかける少女』だったので、
その後、何度か映像化されているものの、
原田知世以外の和子ちゃんなんて考えられない訳で、
最初にアニメ化と聞いたときも「なんだそれ」と思った。
おまけにキャラクターデザインが『エヴァ』の貞本義行だという。
男の子も少女みたいに見える、
エヴァの線の細いキャラクターがすごく苦手で
ますます「えー」と思った。

ちょっと興味がわいたのは監督が細田守で、マッドハウス制作だということ。
私はまったく知らなかったのだが、アニメファンの間では
細田監督は有名で、彼が演出したアニメの回をまとめたサイトなどもあるらしい。
うちの妹も『ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島』
の監督だと注目していた。
マッドハウスについては『パトレイバー WXⅢ』と『東京ゴッドファーザーズ』で
その質の高さ、表現力、演出力にちょっとした衝撃を受けたことがある。

そして公開前から聞こえてくるのは、いい評判ばかり。
公開後もそれは続き、『ゲド戦記』の酷評ぶりとは対照的に、
どの映画サイトでも「見てよかった」の上位にランクしている。

前おきが長くなったけど、そんなこんなで見に行ってきました。
水曜日のレディースデー、学生は夏休み中ということもあるけど、
平日の朝10時の回が満席、次の12時の回も行列ができていて
整理券を配布しているという混雑ぶりにびっくり。
客層も、私の左隣がいかにもという感じの小太りの兄ちゃん、
右隣が学生カップル(彼女のセレクトだったらしく、
男の方は「次の回にすればよかったかな」、「おもしろいかな」とぶつぶつ)
そのほか、私のように原田知世に思い入れのある世代、
終了後、「○○くん、萌えー」と言っていた腐女子っぽい女の子たち、と実に幅広い。

結論から言っちゃうと、恋と友情を描いた青春映画として
評判どおり、かなり良い出来でした。

部分的にCGで描いているらしいリアルな背景と
ベタ塗りの線画みたいなペラペラなキャラクターという組み合わせは
写真に紙を貼り付けたみたいで、ちょっと違和感があるのだけど、
このズレが意外にこの映画の世界とあっているのかも。

物語の方は基本的に原作通りなのだが、
(原作は原田知世版のときに読んだきりだからうろ覚えだけど)
現代版にアレンジするとこうも変わるのか、というところがうまい。
「深町くん、私怖いわ」という知世版に対し、
新ヒロイン真琴は「タイムリープって最高ーッ」と言う。
「これが恋するってことなの。わからない」と涙を流した知世に対し、
真琴は「うわーーーん」と泣くのだ。

泣き所はいくつかあるのだが、最も感動的なのは
真琴が自分の強い意思で跳ぶ場面。
(知世版ではこれが「土曜日の実験室!」になる。)
細田監督は「映画にはふたりの女性が登場し、ひとりはかつて時をかけた少女、
もうひとりは今、時をかける少女」とコメントしてますが、
まさにここが、今回のアニメ化のポイント。
当時でさえ、古くさく甘ったるくノスタルジックだった知世版に対し
(そこが受けたんだけどね)、
今回は、今を生きるヒロイン。過去を修正するのではなく
未来は自分の手で変えられると信じている。

高校生を主人公にした映画は多いが、
たいてい、あの頃は良かったな的ノスタルジー視点で描かれているので
(作っているのがオヤジだからしょうがない)
実際に現役の高校生や大学生が「自分の等身大の映画」として
共感できるものはすごく少ない。
この『時をかける少女』は本当の意味で青春映画だ。
アニメオタクや知世世代以上に、一般の学生たちに受けたことが
この映画のヒットの理由だと思う。

クライマックスが何ヶ所かあり、後半そのつなぎが悪く
ちょっと冗長になっちゃうところとか
「帰らなくちゃいけないんだったら、なんで……」とか
「時間が戻ったらチャージがリセットされるんだったら……」とか
つっこむところはあるんだけど、そうなると物語が成立しないしなー。

「クチコミでヒット中」とネットニュースでも取り上げられているが、
このクチコミに関しては戦略的。
角川は元々、作品の質に自信があったのだろう。
「自分のブログをもっていて、映画の感想を書いてくれる人なら
誰でも応募できる。ほめる必要はなし、好きに書いていい」として
公開前に「ブロガー限定試写会」なるものを開催している。
実際に、私が公開前に聞いた評判はここらへんが発信源だと思う。
映画自体の出来が良くないと使えない戦法だが、
ネットをマーケティングに利用した成功例。

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