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『検索エンジンがとびっきりの客を連れてきた!』

検索エンジンがとびっきりの客を連れてきた! 中小企業のWeb2.0革命
『検索エンジンがとびっきりの客を連れてきた! 中小企業のWeb2.0革命』
佐々木俊尚・著
ソフトバンククリエイティブ

著者の佐々木氏は『グーグル Google 既存のビジネスを破壊する』
羽田空港近くの駐車場を運営する夫婦が、いかにして検索連動型広告で
顧客を獲得するにいたったか、全体の3分の1ものスペースを割いて解説している。
『グーグル』を読みながら、検索連動型広告やロングテールの具体例とはいえ、
こんなにていねいに語る必要があるのか、疑問に思ったものだ。
今回はその具体例だけを、金庫店や弁当屋など9社にわたって紹介している。

内容はどれもこれも、バブル崩壊や震災のあおりをくらって
ほそぼそと続けていた家業が立ち行かなくなり、倒産直前から
ネットの検索連動型広告と出会うことにより、顧客獲得に成功した話ばかり。
ノリでいえば『プロジェクトX』というより『ガイアの夜明け』。

検索連動型広告については正直途中で飽きてしまうのだが、
おもしろいのはネットとまったく関係ない人それぞれの人生。
例えば品川の屋形船の場合、
元々は海苔業者だった船清は、1956年品川埠頭の建設が決まり、
転職を余儀なくされ、釣り船経営を始める。
1970年代の釣りブームによって経営は成功するが、
釣りブームの終焉とともに売り上げは落ち、1988年、屋形船を始める。
スポーツ紙に広告を打つことで、評判を呼ぶが
バブル崩壊後、大口の法人顧客が減少し、経営が低迷。
新入社員のすすめでインターネット広告を始める。
これに、釣り船を始めたころに嫁いできて、現在では女将となった
妻・陽子さんの奮闘ぶりがからむ。

「女将さん!たいへんです!すごいのが出たんですよ!」
「トップに出るのね? 下とかじゃなくて」
陽子は興奮して、すぐに指示した。
「これやって! とにかく申し込んで、すぐにやって!」
平山はその場ですぐにオーバーチュアに連絡を取り、キーワード広告を申し込んだ。

この辺の描写はほとんどワイドショーの再現ビデオである。
寂光院の火災により民宿経営に大打撃を受け、
味噌のネット販売を始める『味噌庵』、
バブルのあおりを受け、大手ガラスメーカーが倒産、
下請け仕事を受注できなくなり江戸切子を売り出す『華硝』、
どこの会社にもそれぞれの人生があり物語がある。

オーバーチュアに取材協力を受けていることもあり、
本に出てくる9社は現在でもキーワード広告の上位に表示される。
スポンサーサイトには今までまったく興味がなく、
クリックすることもなかったのだが、彼らの経営努力には感心する。
弁当屋『萌黄亭』はSEOや効果的な検索キーワードも
熱心に研究しているし、どの会社も新商品の開発に余念がない。
中小企業には中小なりの物語がある、
結局、著者はそれに魅了されてしまったのではないだろうか。
そう考えると、不必要に長かった『グーグル』のエピソードの訳も理解できる。

多くの会社が、若い三代目や新入社員などによって
検索連動型広告と出会っていること、
ネット広告にシフトすることで、新聞広告をきっぱりやめている
という共通点は注目に値する。



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