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ハイクオリティは何のためにある

ブルーレイ・ディスクの発表会に行ってきました。
発表会の詳細は仕事なのでパスするとして、
麻倉怜士氏の「ハイクオリティは何のために?」という話が印象的だったので
それを聞いて考えたことをつらつらと。

今から10年以上前、DVDすら普及していなかったころ、
パソコン通信の会議室で
「映画館で見てもテレビで見ても映画は同じものといえるか」
というテーマが語られたことがあった。
そのテーマ自体はあまり盛り上がらなかったのだが、
「映画館で見ようが、テレビ画面で見ようが、
その映画の本質が変わるわけじゃない」という人も結構いたと記憶している。
私は逆の意見で、映画館で見る場合と、テレビで見る場合では
印象がまったく違う作品もあるので、
当時は「映画館で見る映画こそが本物」と考えていた。
(映写方式が違うのだから当たり前といえば当たり前なのだが、
例えば『きらきらひかる』(豊川悦司、薬師丸ひろ子主演の方)で
印象的だった夜の場面は、テレビでは真っ暗で何も見えなかったし、
『軽蔑』の地中海の青い海は、テレビ画面では白っぽく見えた。)
だから、「この映画はテレビで見れば十分」という意見にも反対で、
「本物を見ていないのに、作品の価値を評価できるのか」と思っていた。

今ではDVDで映画を見ることも多いわけで、
「だったらDivX映像やGyaoで見た映画は映画じゃないの?」と言われると
「映画は映画だよなー」と考えたりもする。
また、私は音響にはそれほど重きをおいていないので、
映画館で見るときはなるべく音響のいいところを選ぶようにしているけど、
音がグルグル回ったり、後ろから響いてきたりといった効果が
映画にとって必要なのか、とも思う。
だから5.1chのホームシアターなんて欲しいとも思わない。
一方で、世間は地デジだ、デジタルハイビジョンだ、
HDDVDだ、ブルーレイだと騒がしいわけで、
映画にとって(映画に限らないけど、映像全般にとって)、
そんなに高解像度は必要なのか。

「ハイクオリティは何のために?」という話で麻倉さんは
ハイビジョン放送で見た『風と共に去りぬ』のテクニカラーの美しさに言及していた。
(テクニカラーの独特の色彩は、美しい色を出すために、
専属のスタッフが撮影現場でもセットや衣装の色について指導していたらしい。)
あのテクニカラーの色彩が蘇るのなら、たしかにハイクオリティの意味があるだろう。

麻倉さんは「ハイクオリティは本物の映像を伝えてくれる」とも言ったが、
じゃあ、本物の映像って何だろう。
昔の映画の場合、製作者は本当にそんな高解像度の映像を伝えたいと
意図していたのだろうか。
そして、現在、発表会のサンプル映像では、
『ナルニア国物語 ライオンと魔女』の馬のたてがみ、
『ニュー・シネマ・パラダイス』のトトの帽子の質感、
『世界遺産』のピサの斜塔の柱まで、くっきり見えた。
それほどの高解像度が求められるとき、製作側はどんな映像を作るべきなのだろう。

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