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『small planet』

small planet
『small planet』
本城直季・写真
リトルモア

この人の写真を初めて見たのは『超合法建築図鑑』の表紙。
建築基準法を遵守することで生まれた奇妙な建築や都市の風景を紹介する、
この本の表紙に「ジオラマを使うのはヘンじゃないか」と最初は思った。
こんな詳細なジオラマを使うくらいなら、実際の風景を表紙にした方がいいだろうと。
と思ったら、実はジオラマじゃなくて、
実際の風景をジオラマみたいに撮る本城氏の写真だった。

なぜこんな風に撮れるのかについては
アオリだとかティルトだとか被写界深度だとか
カメラのレンズを含めて詳しく解説したサイトもあるので、
興味のある人はググってください。
本城氏が始めた技法ではなく、Marc RaderやMiklos Gaalも
この技法でアート的な写真を撮っている。
ただ、ミニチュアっぽい都市風景という点では、
本城氏は独自の世界を作り出している。
この技法を使って、ただなんとなくシャッターを切れば
誰でも撮れる、という写真ではないと思う。

写真を見て感じるのは何か胸を突かれるような想いだ。
昔のただなんてことのないスナップ写真を見て、
もうこの瞬間は二度と来ないのだと感じるときのような想い。
そして二度と帰ってこない瞬間は写真として永久に閉じ込められる。
そんな“永遠の一瞬”。

シャッター速度やらの関係もあるのだろうが、
写真の中の人々はブレもなく動きをピタッと止めている。
子供のころに見た『ポールのミラクル大作戦』では、
時が止まると空を飛ぶカモメや海の波、
割れたガラスや野球のボールも空中で静止するのだが、
そんな生命感のない世界。

自分でもどうかと思う例だが、
たとえば、広島の原爆をテレビドラマにした場合、
原爆が落ちる8時15分に映像は動きを止めるだろう。
次の瞬間にはすべてが崩壊してしまう。
この写真集を見て感じる“胸を突かれるような想い”はそれに近い。
何枚かの写真は見ていると意味もなく涙が出た。

写真集の内容とはちょっと違いますが、
本城氏の写真はこことかここで見れます。
Miklos Gaalはここ


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