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『暴かれた9.11疑惑の真相』

暴かれた9.11疑惑の真相
『暴かれた9.11疑惑の真相』
ベンジャミン・フルフォード
扶桑社

9.11はアメリカの自作自演だった!という本。
ワールド・トレード・センタービルの崩壊の仕方は不自然で、
爆薬を使わなければ、あんなふうに崩れたりしない、
ペンタゴンには飛行機の残骸がなかった。
ユナイテッド93から携帯電話がかかるはずはない、
墜落現場にはやはり飛行機の残骸がなかった。
といった事実や証言から疑惑を検証する。

5年目を迎えてあちこちで9.11特集をしているので、
正直、もうお腹いっぱいな感じ。
事件の重大さはわかるものの、その後のアメリカの
ナショナリズムぶりには辟易。まだ戦争は終わってないわけだし。
5年目の式典のニュースを見ながら、うちの妹は
「真珠湾の例もあるから」と言っていた。
政府が何も知らなかったというのは疑問が残るということだ。
そんな風に、あれは本当にアルカイダの仕業だったのか、
と思う人々がいてもおかしくない。実際、アメリカ陰謀説は前からあった。

ただし、この本がその陰謀を正しく立証できているかというと
かなり証拠不十分。
たしかにビルの崩壊はちょっと出来すぎで、テロリストにしたって
ここまでうまくいくだろうとは考えていなかったのでは、と思ったぐらいだ。
最近の報道特集であらためてビルの崩壊を見てみると、
(不謹慎ではあるが)美しいとすら言える崩れ方をしているのも事実。
だからといって、中心の柱が崩れ、上から重みで崩れたという説に
それほど無理があるとも思えない。

追突した飛行機には窓がなかったとか、
爆薬のような影があるとされる写真も不鮮明。

なにより著者の意見に説得力がないのは、
ネットから拾ってきた情報を焼きなおしているだけだからだ。
(巻末の参考資料はすべてURLだし)
アメリカのマスコミを疑惑に対して沈黙していると批判しているくせに、
根拠となる証言はすべて雑誌やテレビからの引用だ。
(本来なら証言者たちに追加取材して裏を取るべきだろう。)

アフガニスタンの天然ガスや石油パイプラインに絡む利権や
ネオコンたちが「新たなパールハーバー」を必要としていたことを
アメリカの自作自演の動機としてあげているのだが、
事件の大きさや被害を考えると理由としては弱すぎ。

ただ、著者はトンデモ本を書きたかったわけではないと思う。
「彼(ドキュメンタリー映画作家、アレックス・ジョーンズ)は、
もっと本質的な問題、つまり9.11事件をきっかけに
アメリカ社会の自由が次々と制限され、
警察によって統制されつつあることを追及しているのだ。」

そして日本に対する訴えもまじめなものだ。
「第二次世界大戦は60年以上前に終わったというのに、
日本は今でも敗戦国の立場を引きずり、アメリカの子分のままでいる。
もうそんな必要はないと言いたい。」
「日本人は、アメリカを盲信し追従してはいけない。日本の国力、
文化力をもってすれば、世界中の多くの人々を幸福にできる。」

日本にアメリカ政府を動かす力があるとは思えないけど、
日本政府はアメリカの対テロ戦争を真っ先に支持した。
疑惑を追及する日本人女性は「私も加害者の一人」と語る。
その言葉は重い。

◆読書メモ

世界貿易センター建設プロジェクト計画の責任者だった
フランク・ド・マルティニ氏は、「世界貿易センタービルは
数機の巨大ジェット機に激突されても持ちこたえるだろう」と語っていた。
(この人はたぶん、筑紫哲也の9.11特集で取り上げられていた人だと思う。
フランク氏は「自分はビルのことを誰よりも知っている」と、最後までビルに残り、
上へと階段を登り、人々の避難を手伝った。彼は帰らなかった。)

元米軍パイロットだったチャールズ・バーリンゲーム氏は、
旅客機がペンタゴンに墜落したことを想定した緊急訓練に参加し、
反テロ戦略の任務についていた人物だ。
彼は軍隊を辞め、民間機のパイロットになり、
彼の操縦していたアメリカン航空77便がペンタゴンに突入する。
陰謀じゃないとすると、運命のいたずらとしか言いようがない。

93便で「さあ、行くぞ!(Let's roll)」という言葉を残した
トッド・ビーマー氏の妻は、「Let's Roll」を商標化した。

アドルフ・ヒトラーは著書『我が闘争』の中で次のように言っている。
「大きな嘘の中に、常にある真実が宿っている。なぜなら、
国民の大多数は常に馬鹿で愚かしいからだ。
国民は小さな嘘より大きな嘘にだまされやすいものだ。
ほとんどの人は途方もなく大きな嘘をつこうなどとは考えない。
そして、他人がいやしくも真実をねじ曲げるほど厚かましいとは考えない」

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コメント

古い記事へのコメント失礼します。
ペンタゴン突入機AA77便機長チャールズ・バーリンゲーム氏は1971年に海軍兵学校卒業、8年海軍勤務の後1979年からアメリカン航空勤務。海軍退役後の予備役に関しても1996年に終わっています。2000年の時点で米軍とは何の関係もありませんでした。
http://www.arlingtoncemetery.net/cfburling3.htm
この話は「運命のいたずら」ではなく陰謀論者お決まりの悪質なデマ、ということです。そのデマをまともに調べもせずそのまま事実のように書いてる人が多くて、言論の無責任には閉口しています。ベンジャミンフルフォードの本もデマしか書いてないのでそのつもりでお読みになることをお勧めします。

コメントありがとうございます。

私もちゃんと陰謀論として読んでますよ。
「運命のいたずら」とは本文からの引用です。
わかりにくくてすみません。
ただ久しぶりに自分の感想を読み直してみて、
この時期に陰謀論が支持された意味は
あらためて考えてみてもいいのでは、と思いました。

陰謀論者のつく悪質なデマにも一理がある的な態度が一番問題だと思います。ベンジャミンフルフォードなんかその「支持者」がいるお蔭でいまだに平和主義者やジャーナリストの顔して商売できてますからね。藤田幸久などというどうしようもない政治家もいる。戦争を憂うなら陰謀論のようなウソから平和など生じてこないという当たり前のことも考えたほうがいいのではないかと思いました。なお、これ以上は追記しないつもりですので、このコメントはテキトーに読み流しちゃってください。お騒がせしました。

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