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『テレビCM崩壊』

テレビCM崩壊 マス広告の終焉と動き始めたマーケティング2.0
『テレビCM崩壊 マス広告の終焉と動き始めたマーケティング2.0』
Joseph Jaffe・著
織田浩一・監修 西脇千賀子、水野さより・訳
翔泳社

広告関係を中心に、今売れている本。
要はもうテレビCMだけでマーケティングを行なっている時代じゃないですよ、
ということを言っている。

最近、よく聞く(というかWeb2.0関係の本でよく目にする)のが、
アメリカのTiVo現象。
(システム的にはちょっと違うけど)HDDレコーダーみたいなもので、
予約録画のほかに、ユーザーの好きそうな番組を自動録画したり、
CMを飛ばして見ることができる。

「DVR(デジタルビデオレコーダー)を所有する消費者は、
テレビをもっと観る傾向にある。
しかし、彼らは、あくまでもテレビを観るのであり、
テレビCMを観るのではない。」

「8時から11時まで、JoeyからERまですべて観るとしよう。
1時間番組ごとに17分間のコマーシャル枠があるとすると、Tivoユーザーなら、
8時51分から見始めても11時にすべての番組を観終わることができる。」

「それに伴いコマーシャルを飛ばしてみることを違反とするような
法案も提出されている。分別のあるアリゾナ州のJohn McCain上院議員が
「録画したテレビ番組のコマーシャルを早送りして観るという行為は
30年前から行なわれているのに、2004年から、コマーシャルを早送りすると
逮捕されるとは馬鹿げている」とコメントしていた。
もっともだが、早送りされないようなコマーシャルを作ってはどうかとも思う。」

日本でも同じようなことは起きているわけで、
DVDレコーダーによって、テレビは好きなときに見るものになった。
そもそも私はNHK大好きっ子なので、CMをほとんど見てない。
録画した番組にいたっては当然、CMを飛ばしている。
試しに、最近見たCMで覚えているものは何か考えてみたが、
覚えていたのは保険のCM。それも、「不快だったから」覚えていたのだ。

「アップルのテレビCM「1984」がブランド広告の全盛期である。
この時代こそが広告の黄金期であり、
広告のメッセージを柔らかな世界観で包むことが流行った。」

「今や、マーケターが消費者に何をどこでどのように買うべきかなど
言いくるめられる時代ではなく、消費者がすべてを決める時代になったのだ。」

「クチコミ効果こそが、実はテレビ・コマーシャルの真の価値なのであり、
この効果がなくなったのがその原因なのである。
昨夜見た番組について話ができる人が、
自分の周りの5人に1人では、クチコミは生まれにくいのである。」

「音楽が違法にファイル・シェアリングされていたころ、すばらしかった点は、
「アメリカン・アイドル」から出てきたコミカルなウィリアム・ハンの「She bangs」や
クレイ・アトキンの「Solitaire」のライブ版が手に入ったことである。
コンテンツは外に出たがっている。そして、それは別に無料である必要もないのだ。
もちろん、これはiTunes以前の話だが、要は、ナップスターは
未来のマーケティングを予告していたということだ。」

とあちこち印象に残ったところを引用メモしてみたが、
まとめると次の言葉に集約される。

「広告キャンペーンは長らくテレビに頼りすぎてきた。
テレビを完全に否定するつもりはないが。
テレビ依存から抜け出して、マーケティングの目的の達成に
より相応しい新しいメディアや戦略に目を向けるべきだ。」
(Visa社広告部長 Jon Raj氏の言葉。
同社は、18歳から29歳の若者からアイデアを募り、
12人の受賞者にアイデアを具現化させるための資金25,000ドルを
与える「夢をかなえよう」キャンペーンを行なった。)

後半に出てくる、マーケティングのアイデアについては、
有望なものから、今までとどう違うのかよくわからないものまで様々。
アメリカの広告が今、どうなっているのか、を知るにはいい本。
ただ、アメリカの状況をよく知らないとわかりにくい実例もたくさん。
山のようにでてくるマーケティング用語も意味がわかりにくいが、
それは私が門外漢だからなのかも。
また、翻訳は比較的読みやすいが、人の名前や映画のタイトルが
英字表記になったり、カタカナ表記になったりするのは統一してほしい。
日本で公開されている映画タイトルぐらい邦題で表記すればいいし、
リドリー・スコットやダリル・ハンナまで英字表記なのはいかがなものか。
この本は翻訳出版シリーズの第一弾だそうだから、
今後については改善してほしい。

◆読書メモ

いい広告の例として「Subservient Chicken」
が出てくる。(電車男にでてきたニワトリのサイトです。)

「広告費の半分が金の無駄使いに終わっている事はわかっている。
わからないのはどっちの半分が無駄なのかだ」
デパートビジネスの先駆者ジョン・ワナメーカー氏の有名な言葉

50年前に、テレビの伝説的なパーソナリティーであるErnie Kovacsが、
テレビのことを、比類まれなものでもなければ、秀作でもない
「中くらいのもの(Medium)」と表現した。それが「メディア」の語源である。

ゲームほど従来のメディアを激しく侵食するメディアはない。
まず、テレビの画面を共有する。ゲームの場であるにもかかわらず、
ゲームが始まるとテレビは消されるのは皮肉なことだ。

ユーザーは検索によって、テレビコマーシャルサイトにやってきて
自分で選んでCMを見る。マーケターは見られた分だけCM料金を払う。

映画「Hulk」を手がけたMarvel StudioのチーフAvi Arad氏は、
お決まりの紫色のパンツなどといったHulkの掟を無視して、
キャラクターにちょっとした変化を加え、Hulkファンの怒りをかった。
(結局、最終版は修正された。)

同じくAvi Arad氏が製作した「スパイダーマン」では、
ポスターやバナー、映画の予告編など、様々な素材をネットで配布した。
「スパイダーマン2」は野球のベースにロゴを入れるかどうかが、
大きな論争を呼んだ。

「Cast-away」は、30秒どころか90分のFedEx広告だ。
実は、FedExは、飛行機と配送、倉庫の貸し出しのみで
この契約を成立させた。今では考えられない、破格の契約だ。

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