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『後宮の世界』

後宮の世界―仰天!歴史のウラ雑学
『後宮の世界 仰天!歴史のウラ雑学』
堀江宏樹・著
竹書房

物語もいよいよ佳境に入ってきた『宮廷女官チャングムの誓い』。
(チャングムはいつでも佳境だけどねー)
ヨンセンの懐妊あたりから、そういえば女官って雑役女中じゃなくて、
“王の女”だったということを思い出した。
そうすると、すごく料理の腕がいい女官でも、
王様が手を出したら、もう料理どころじゃないのか?
あと、内侍府(ネシブ)の長官はヒゲがないから宦官だと思われるが、
宦官って中国から入ってきた制度じゃないの?
自分の旦那(王様)が女官を孕ませたら、彼女の地位まで配慮して
あげなきゃいけないなんて、皇后って大変だ、
日本の大奥みたいな制度は世界中の王族にあるのか?
などなど疑問に思い、後宮についてちょっと勉強したくなった訳です。

※wikipediaによると、嬪(ピン、正一品)・貴人(クィイン、従一品)・
昭儀(ソイ、正二品)・淑儀(スギ、従二品)・昭容(ソヨン、正三品)・
淑容(従三品)・昭媛(正四品)・淑媛(スグォン、従四品)が後宮で
ヨンセンがなったスグォンが従四位なのに対し、
尚宮(サングン)を始めとする正五品以下は職務に従事する女官なのだそうだ。

後宮が成立した歴史的背景とか、
後宮にみる比較文化論みたいなものを求めていたのですが、
残念ながら、本書にはそういう話はほとんどなし。
日本編や中国編はやたらと「~だったらしい」といった書き方が多く、
全体的に推測や噂だらけ。
それでも、「大奥に入ることは、結婚という大問題からおおっぴらに
解放されうる最終手段でもあった」という指摘はおもしろい。
『チャングム』を見ながら、女官たちは(王のお手つきがない限り)
一生、結婚もせず、権力争いの中で生きて幸せだったのかなー
と思っていたのですが、
「あくまで独身のまま自力で生き抜きたい女性や、
結婚はしたが、男性に拒否反応があって離縁されたとか、
複雑な事情を抱えた女性たちにとって、
大奥はシェルターの役割を果たした」と考えると、違う見方ができる。

トルコのハーレムにいたっては、
一日中、ハマム風呂とよばれるスチームサウナに入り、
肌を磨くマッサージを受けていたというから、うらやましい。
ナポレオンの最初の皇后ジェゼフィーヌの従姉妹エメ・ド・リベリは、
女子修道院から実家に帰る途中で、奴隷商人に誘拐され、
オスマン・トルコの後宮に入り、母后陛下としてハーレムに君臨した
など、波乱万丈のエピソードも。

著者は元々フランス文学が専門らしく、
後半のヨーロッパ編のほうが断然おもしろいのだが、
ここらへんになってくると、サブタイトルにあるように
「歴史のウラ雑学」系の話で、もう後宮はほとんど関係なし。
精神錯乱で廃位され、その直後に謎の水死をとげたルートヴィヒ二世と、
彼の従姉妹であったヴィッテルスバッハ家の美人三姉妹
(妹に婚約者を奪われたヘレネ、オーストリア皇后となったエリザベート、
ルードヴィヒ二世から婚約を破棄され、精神のバランスを崩し、
火事で焼死したゾフィー)の波乱万丈の人生などは詳しく読んでみたい。

日本の衆道をはじめ、同性愛ネタも多いのだが、
興味本位な書き方に終始して不満。
歴史上、同性愛がタブーじゃなかった時代があっても
おかしくないと思うが、宗教的にはどうだったんだろう。

後宮が人々の興味を引きつつも、大きな声で語られないのは、
性的な幻想が関わってくるからだろうが、
基本的には美貌と知性を兼ね備えたキャリアウーマンたちの
政治の場だったんだなーと思う。

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