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『涼宮ハルヒの憂鬱』

涼宮ハルヒの憂鬱
『涼宮ハルヒの憂鬱』
谷川流・著
いとうのいぢ・イラスト
角川書店

アニメDVDがバカ売れしている『涼宮ハルヒの憂鬱』。
なにがそんなにおもしろいんだと、ちょっとだけ見てみたんですが、
もともと萌え系アニメは苦手なので、15分で挫折。
いとうのいぢのキャラクター、マニアックな設定や演出が
オタク受けしたんだろう、ぐらいに考えてました。

で、仕事で徹夜していたときに、
会社に原作本が転がっていたので(仕事上の資料としておいてあった)
なんとなく読んでみたところ、これが予想外におもしろい。

軽めの一人称はライトノベルではめずらしくもなんともないが、
たいていが頭の悪そうな文章で非常に読むのが辛い。
(ライトノベルをちゃんと読んでるわけじゃないので偏見だけど)
意味のない独白やひとりつっこみがダラダラ続くのもありがちな気がするが、
『ハルヒ』の文章はきちんと読ませる。
冒頭はこんな感じ。
「サンタクロースをいつまで信じていたかなんてことは
たわいもない世間話にもならないくらいのどうでもいいような話だが、
それでも俺がいつまでサンタなどという想像上の赤服じーさんを信じていたかと言うと
これは確信を持って言えるが最初から信じてなどいなかった。」
これをアニメのナレーションで聞いてみたいと思う人の気持ちもわかる。

ツンデレ美少女、ロリ系巨乳娘、無表情なめがねっ娘
という類型的なキャラクターを逆手にとって
日常と非日常が紙一重で入れ替わる、SF設定やプロットもうまい。
美少女ゲームの場合、主人公は(ユーザーが自分を投影しやすいように)
存在感の薄いキャラクターとして描かれることが多いけど、
『ハルヒ』の主人公(?)キョンは、語り手でありながら、
すべてキャラクターの核になっていて、彼自身の成長もきちんと描かれている。

自分に自信が持てなくて、この世界では自分がちっぽけな存在に思える
ティーンネイジャーのアイデンティティーとか、
毎日なんかおもしろいことないかなーと思ってしまう
高校生のモラトリアムな日常とかがストーリーに昇華されており、
恋だとか愛だとかいう文字がほとんど出てこないのにラブストーリーなところもよい。

スニーカー大賞を受賞し、その後加筆修正もしているのだから
当たり前といえば当たり前なのだが、
素人くさい文章とありがちな設定、
というライトノベルのイメージが覆りました。
学園ものとしては傑作といってもいい。

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