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『35年目のリクエスト』

35年目のリクエスト—亀渕昭信のオールナイトニッポン
『35年目のリクエスト 亀渕昭信のオールナイトニッポン』
亀渕昭信・著
白泉社

1969年から約4年間、『オールナイトニッポン』のDJを務めていた亀渕昭信が、
自宅に残っていた手紙を元にリスナーを探し出し、話を聞く、
という特別番組を書籍化。

手紙を書いた当時は16歳だったリスナーも今では50歳を越えている。
だが、根本的な部分ではどのリスナーも驚くほど変わっていなくて
若々しい。「昔は良かったねー」という過去を懐かしがる話ではなく、
昔の自分を振り返ることで、今の自分を肯定しているところがいい。

「(今の小学生だって)全然醒めてませんよ。ただね、あのときは
いろんなことに関心をもつことがカッコいいことだったんですけど、
今は関心を持たないことがカッコいいんですよ。だから、本当は
関心を持つような子がみんな持たないフリをしているんじゃないかな、と。
ファッションです、それは。たとえば、学生運動なんかも、
もしかしたらファッションだったのかなという気がするんです。」

「きっと変わらないんですよ。今の若い人から見て、
オバサン臭さとか、オジサンぽさの、その元になるものって、
その人たちが若いころに影響を受けたもので、
昔はそれが若者らしさだったんです。だから、今の若い人たちは
今の自分をそのまま将来に持っていくのだと思います。
そして、彼らが中年になったとき、そのころの若い人に、
オジサンだオバサンだと言われるんですよ、きっと」

「今は今で、また幸せなんですよね」
-それぞれの時代がベストでしょう。だと思うな、きっと。
「そうなんですよ。それぞれの時代で頑張ってきたと思うんだけど……
ただ懐かしいとなると、高校時代のあのころなんです。
30代のころはあまり思い出さないんですよ」

1960年代後半といえば、まだ熱い時代。
リスナーたちからの手紙も大真面目だ。

「ただ流されている生活ではなく、何かを残さなくてはいけない。
中学の頃のあの楽しい生活が今の私に無理だとすれば、
なにか他に私の青春の一ページとして
苦しいことでも楽しいことでもなんでもいいから、
何か一つ記録として心に残しておきたい」

「この重苦しい社会において、
せめて音楽だけは心の安らぎを与えてくれるものを聞こう。
そして、抜け出そうではないか、この荒廃した社会、ロックから!」

『オールナイトニッポン』は聞いたことがないんだけど、
歌謡曲を録音するためだけに聞いていたベストテン番組より、
生方さんの語りが好きで聞いていた『夕べの広場』が印象に残っている。
本文で何度も触れられているようにリスナーとDJの間には
特別のつながりがあったんだなと思う。

著者の亀淵氏はその後ニッポン放送の社長となり、
ライブドア騒動の渦中にいた人なので、
(このリスナー探しの旅はライブドア騒動が一段落してから始まった。)
変わりゆくラジオへの思いもあちこちに書かれている。

「聴取者が自分の思い出の人に宛てた手紙を、
小島さんとアシスタントの女性が読み、音楽をかけるという単純な番組でした。
50年近くも前のこの番組を思い出すとき、
ラジオ番組はいったいどのぐらい進歩したのだろうと思わずにはいられません。
人に物事を伝える方法っていろいろあります。
世の中も大きく様変わりして、たくさんのメディアが出てきました。
ラジオはその中でも一番古いメディアだと思います。
でも、誰かに自分の思いを伝えたいという人の気持ちを仲立ちして
確実に聴き手に届けるということが、いつの時代だって変わらないラジオの原点だ、
われわれの仕事だというふうに思います。」

「近い将来、たとえラジオがデジタル化されても、アナログ的なものを失っては
その楽しさおもしろさは半減するでしょう。音声メディアはいつだって
人間のぬくもりや暖かさを感じさせるメディアであって欲しいと思います。」

「人の言葉を伝えるラジオって素晴らしいメディアです。
小さくてシンプルかもしれませんが、優しく暖かいメディアです。」


◆読書メモ

一人一人、十人十色、千差万別。
一見似ているようで皆違う人生を送られていました。
平凡な人生などというものは、絶対にありません。自分では気がつかないだけ。
皆さん意外と波乱万丈な人生を送っておいでなのです。

同じことをもっとわかりやすく教えてくれたのは、
作家の井上ひさしさんが書かれた色紙でした。
その色紙には「難しいことを易しく。易しいことを深く。深いことを面白く」とありました。
そのとおり、それが我々モノづくりの基本です。

「1977年はアメリカのエンタテインメントの変革の年だったんです。
それまでの時代を象徴するエルビス・プレスリーと
マルクス・ブラザーズのグルーチョが亡くなって、
『スター・ウォーズ』が誕生した年なんです」

早苗さんが高校二年のとき、担任の先生が「この世の中で最後に信じられるものは
何ですか?」というアンケートを出しました。クラスには40何人の生徒がいて、
ふたりを除いた残り全員が書いた回答が「自分自身」。
先生は誰とは言いませんでしたが「ふたりバカがいる」と言って、
その答えを読み上げました。「ふたりのバカ」の答えは偶然にも同じでした。
書かれた言葉は「愛」。

「人が嫌がることをどれだけ自分で出来るかですね。
我々営業ですから、評価がすぐ跳ね返ってきますから。
そういうことを大事に出来る人間か出来ない人間かで大きく分かれますね」

先輩から「人生はどう始まったかより、どう終わったかが大切なのだ」
と教わりました。

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コメント

TBさせていただきました。

久しぶりに心の底から感動しました。
当時の若者が羨ましくなりました。

コメント&TBありがとうございます。
この本を読んで
10代、20代で見たり聞いたりしたことが、
その後の核になるんだなーと思いました。
私はいまだに80年代歌謡曲が音楽の中でベストだと思っていますが(笑)、
今の子だったら(私にはピンとこないけど)倖田來未や浜崎あゆみなのかなー。
倖田來未がいいか悪いかは別として、「音楽がなければ生きていけない」という時が人生には必要なのかも。
それは当時の若者も今の若者も同じだと思いますよ。

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亀渕昭信。 ライブドア騒動の時、渦中のニッポン放送の社長をしていた人物。 記者会見なんかで、何度もこの人の顔の映像がニュースに流れていた。 この亀淵さん、実は以前、人気DJだったって知ってました? 知っている... [続きを読む]

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