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『「ニート」って言うな!』

「ニート」って言うな!
『「ニート」って言うな!』
本田由紀、内藤朝雄、後藤和智・著
光文社

「ニート」という言葉が、本来の意味を離れ、
働く意志もなく、親に依存し、家にひきこもっているというネガティブな若者像
ばかりが強調されている。その背景と本来の問題点を指摘した本。

「ニート」という言葉の輸入元であるイギリスでは
16歳~18歳の若者を対象とし、失業者を含んでいたのに対し、
日本では15歳~34歳を対象とし、失業者を含んでいない。

「ニート」として統計されている人の中には
働きたいという希望はあるけれど具体的な求職活動をしていない「非求職型」と
働くことを希望していない「非希望型」がある。
「非希望型」とは、いわゆる家事手伝いだったり、結婚準備中だったり、
どの時代にも一定程度は存在する働かなくても生活に困らない人々であり、
「非求職型」には、留学準備中や、病気のため療養中、
資格取得や浪人のための勉強中という人が多い。
10年間の統計では、「非希望型」はたいして増えていないが、
「非求職型」はやや増加している。
しかし、ニート以外の「求職型(失業者)」や「フリーター」は
もっと増加しており、こちらの方がずっと問題が多い。

実際にニートと言われている若者たちは
働く気がまったくない訳ではなく、むしろ前向きに何らかの活動に取り組んでいる。
問題なのは、希望の仕事につくことができない、
あるいは仕事についても正社員と格差のあるバイト待遇である
といった現在の就労システムの方であり、
それを、若者の怠慢や甘やかしている親の責任にするのは間違い
と主張している。

私は今の仕事に就く前に1年以上、プー太郎(当時はそう言った)だった時期があり、
半年は失業保険、半年はバイトで暮らしていた。
「毎日が夏休み」みたいな日々だったので、
『ねじまき鳥クロニクル』が出たときは、1週間、家で本を読んでいたりしました。
たらたらと就職活動はしていたけど、
今だったら「ひきこもり」とか「ニート」と呼ばれていたのかも。
今の仕事もバイトから入って契約社員、正社員となったのだけど、
正社員とパートの間に大きな壁がある企業もたくさんあるわけで、
氷河期と呼ばれた就職難の時代には、正社員として就職できず、
フリーターかニートにならざるえない若者が増加したのも当たり前。

統計データをもとに、「ニート」の本当の問題点は就業にあると指摘する
本田由紀氏による第1部は読みやすくわかりやすいが、
「ニート」という言葉がマス・メディアによって
若者のネガティブ・キャンペーンに利用されてしまったと批判する
内藤朝雄氏の第2部は論調が感情的すぎて読みにくい。
軍隊式の教育指導など無意味だという主張には一理あり、
犯罪数を検証すれば「若者の犯罪が凶悪化」していないという話も興味深いが、
著者の主張そのものが一方的で、これでは批判しているマス・メディアと同じ。

この本の出版は2006年1月なので、その後、
ニートという言葉も古くなり、だいぶ使われなくなった。
(と思ってニュースをググってみたら、まだ「ニート支援」とか
「ひきこもりからの脱却」とか結構ありますね。)
少なくても本書を読んで、「社会的ひきこもり」と呼ばれる人は
「ニート」のごく一部であり、「ひきこもり」自体を問題視することも、
そのネガティブなイメージをニート全体に当てはめることも間違っている
ということは理解できました。

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