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『ユニクロvsしまむら』

ユニクロvsしまむら―専門店2大巨頭圧勝の方程式
『ユニクロvsしまむら 専門店2大巨頭圧勝の方程式』
月泉博・著
日本経済新聞社

ユニクロとしまむら、デフレ時代を勝ち抜いた2社を比較しながら
その強さの秘密をさぐる、という本。

ユニクロは知ってるけど、しまむらは知らないなーと思ったら
それもそのはず、しまむらの都内店舗は
西葛西店とか青梅新町店とか東久留米店とか、圧倒的に郊外型なのだ。
一方のユニクロは、一時期のブームを過ぎて(私もフリース買ったよ)
経営が苦しい時代もあったみたいだが、最近ではユニクロの下着や
キャミソールはかなり便利と思うようになったし、
広告からトレンドファッションにも手を出してることがうかがえる。

そんな両社だが、ユニクロは「完全SPA小売業」、
しまむらは「ベンダー(メーカー、問屋)集荷の品揃え小売業」
ユニクロがそのとき一番安い会社を選んで商品を搬送するのに対し、
しまむらは自社の物流システムを使っている。
とかなり両社のやり方は異なる。
しかし、そこに彼らの強さがあると本書は解説する。
「藤原(しまむら会長)は、ユニクロとしまむらの違いを問われ、
あっけらかんと筆者にこう言い放った。
『結局、同じことだよ。富士山を、どちらの側から登るかの違いでしかないよ』と。」

両社のやり方から流通システム、MD(マーチャンダイジング)、
現在の百貨店やGMSの問題点、今後の流通業界などが見えてきておもしろい。

この本でSPA(自社オリジナル企画ブランドによるアパレル製造直売専門店)
という言葉を知ったが、アメリカのギャップ、リミテッド、
スペインのZARA、スウェーデンのH&Mなど
リーズナブルな価格で成功している各社はどれもSPA。
しかし、景気が回復してきた今、安くすればいいという時代は終わった。
そもそも「安い」だけがユニクロの勝利の理由ではないのだ。

「ユニクロ、しまむらの両社は、もはや日本の大衆衣料の価格(相場)決定権を
結果的に牛耳ってしまった。しかも追随する他社の多くは、
それができる(安く売る)仕組みや経費構造、そして明確な政策を欠いている。
これでは勝てるわけがない。」

「日本の大衆消費者は、通常、カジュアルウェアやデイリーウェアをどこで買うのか。
百貨店でもスーパーでも従来の専門店でもなく、
『カジュアルはユニクロ、デイリーはしまむらで買うのが今どきの標準(スタンダード)』
とでもいうべき価値観と購買スタイルを、両社は見事に根づかせ、育てた。」

「「デフレの勝ち組」とは、ユニクロ、しまむらを筆頭に、
ダイソー、ニトリ、西松屋チェーンなどであり、
対極にあるもう一方の勝者は、ルイ・ヴィトン、プラダ、シャネル、エルメス
などに代表される欧州のスーパーブランド勢だ。
コモディティとブランドの狭間にこそ、今後の成長領域がある」
と筆者は予測する。そう考えると、最近のユニクロがベーシックだけでなく、
トレンドを取り入れているのも理解できる。
ZARAはいつ行っても商品が違う、小ロット多品種の品揃えだし、
H&Mは有名デザイナーのコレクションを格安で発表して話題を呼んだ。
(ちなみにH&Mは2008年秋に日本上陸予定。)

また、「わが国の小売業界において、トップまで上り詰めた後に失速し、
そこから見事に這い上がったケースは、
このユニクロと無印良品くらいしか見当たらない」と筆者は言うのだが、
「(無印良品を経営する)良品計画は02年から、
しまむら会長の藤原(当時社長)を社外取締役に迎え入れている。」

ユニクロの柳井社長は一度、社長職を玉塚氏に譲ったが、
その後、経営不振が続き、玉塚氏を更迭、再び社長に就任している。
「柳井は玉塚を後継指名する前に、当時副社長だった澤田貴司に社長就任を要請。
しかし澤田はこれを固辞し、退社している。その後、澤田はリヴァンプを設立。
その代表パートナーとして、ユニクロを退社したばかりの玉塚元一を迎え入れ、
業界に話題を投げかけた。」
先日、バーガーキングの再上陸のニュースが流れたが、
ロッテとともにこれを手がけているのがリヴァンプ。
こういった流通業界の話もわかりやすく書かれていて興味深い。
今まで考えたことなかったけど、しまむらのパートとかおもしろそうだ。

◆読書メモ

「我々はあらゆる人に合う服を作ろうとしている。日常を快適に過ごせ、
老若男女だれでも着られるしっかりとした普段着だ。そういう意味での服は、
コーラとかビールとか洗剤とか、他の消費財と何ら変わらないと思う」(柳井)

それを可能にするのが、商品の頻繁な店間移動である。
同社(しまむら)では独自の自社物流システムにより、
単品2、3枚、売価3000~4000円程度の小ロットで
店間移動のメリットが十分出る仕組みが構築されている。
商品1枚単位の店間移動を実行しているのは、
世界中のチェーン企業の中でもしまむらだけだろう。

あくまで事実とデータ重視の同社(しまむら)では、
各部署における下手な“カン”や経験などは全く評価されない。
「“俺の経験によると……”などと言い出したら、その人はもうオシマイ。
それ以上伸びることはない」(藤原)という考えによる。

島村オーナーは後継者を(赤の他人である)藤原に指名して以降、
ほとんど表に出ることなく、ただその経営を見守るだけに徹したという。
聞くところによれば、島村は世界中を旅するなど、
超優良上場企業のオーナーとして、悠々自適に人生を楽しんでいるという。

過去5年間(02年8月期~06年8月期)の推移を見ると、
ユニクロ出店387店に対し退店が191店と、およそ2対1の割合になっている
(しまむらは86対1)。

同社(ユニクロ)では、06年春からブログ形式の双方向型社内WEBが稼動し始めた。
これは(アルバイトを含む)全社員が随時参加可能で、自由かつ活発に情報や要望を
やり取りできるという大変すぐれたシステムだ。

しまむらには社内デザイナーがいない(必要がないので置かない)。

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