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『グーグル八分』

グーグル八分とは何か
『グーグル八分とは何か』
吉本敏洋・著
九天社

『悪徳商法?マニアックス』の管理人である著者が、
自分のサイトが知らない間にグーグルの検索結果から排除されたことにはじまり、
“グーグル八分”の実態を訴えた本。

“グーグル八分”については『グーグル Google』でも一部触れられているが、
ここまで大きく取り上げて、その問題点を糾弾した本は初めてだろう。
中国のグーグルにおいて「天安門」が検索結果に表示されない例は
比較的よく知られているが、この本では、『悪徳商法マニアックス』をはじめ、
企業を批判する個人サイトが、企業側からの要請によって
グーグル八分にされている(らしい)実例が紹介されている。

「らしい」ということが一番問題で、
誰の要請で、どんな理由でグーグル八分にされているのか、
あるいは本当にグーグル八分なのかどうかさえ曖昧だ。
そのため、推測の域を出ていない例もあり、
糾弾する側の著者の書き方には「ちょっと意地悪だな」と思うところもある。
それでも、現在、わかる範囲での情報をきちんと提示した上で
グーグル八分は、たんに「やばそうなサイトが表示されない」というレベルではなく
表現の自由やメディア側の自主規制、企業の一方的な論理など
大きな問題を含んでいるという主張は納得できる。

圧倒的な力をもったためにグーグルがひとつの権威になってしまったことは事実。
グーグル脅威論なんてバカげていて、
“みんなの意見”が淘汰すると考えることもできるけど、
この場合の「みんなって誰? グーグルが選んだみんなじゃないの?」
という著者の意見は考えるに値する。

◆読書メモ

「僕は、民主主義の本質は「権力に対する不信」だと考えています。
「権力はいかなるものであっても信用できない」という前提です。
国民自身が選んだ代表者でさえも信用できないから、
市民というのは絶えず国家による権力の行使について
チェックしていく能力をもたないといけない。そうしてみると、
表現の自由は絶対的なものという結論になります。
表現の自由が規制されてしまうと、規制された内容の是非を
市民が検証することができなくなるからです。」(山口貴士弁護士)

「図書館では、原則として全ての資料を
自由に利用できるようにすべきだと考えています。
しかし「人権またはプライバシーを著しく侵害する資料」については
制限を加えています。「図書館の自由に関する宣言」では
具体的に明記していませんが、想定しているのは『部落地名総覧』なんです。

住所・氏名がプライバシーに関わるというのは、
日本ではすべて部落問題が絡んでのことです。住所をいったら、
あれはどこそこの部落の者だとわかるから、
住所・氏名はプライバシーだってことだったのです。

『部落地名総覧』は国会図書館、法務省の支部図書館にあります。
ただ、見せません。門外不出です。
差別を目的として作られたものですからね。
ただし、いかに差別がひどいものかという証拠、こういうものを発行して
さらに差別を煽り立てようとしていることの証拠としては、
どこかで「恥の文化」として保存しておく必要があります。
図書館はよいも悪いも含めて、
人類が犯した恥をしっかり保存し続ける使命があります。」
(図書館の自由委員会、西河内靖泰氏)


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