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『ゲーム的リアリズムの誕生』

ゲーム的リアリズムの誕生~動物化するポストモダン2
『ゲーム的リアリズムの誕生 動物化するポストモダン2』
東浩紀/著
講談社

東さんの本は『東京から考える』なんかもそうだったけど、
簡単なことをもってまわった言い方をしているので、
書いてあることがよくわかんなかったりもするのだが、
この本は要はライトノベルに代表される「ゲームのような小説」や
昨今の美少女ゲームに見られる「小説のようなゲーム」に対する
文学批評であり、かなりおもしろく読めた。

新井素子の小説が、「現実世界の描写ではなく、
マンガやアニメが与える印象の模倣を目的として構想された」
という大塚英志の主張には目からウロコ。
「誰もが現実のような小説を書くことが当たり前だと思っていたのに
彼女はアニメのような小説を書こうとしたのです。
彼女は自然主義的リアリズムという近代日本の小説の
約束事の外側にあっさり足を踏み出してしまった」
大塚はこれを“まんが・アニメ的リアリズム”と呼び、
ライトノベルを「アニメやコミックという世界の中に存在する虚構を
「写生」する」としている。

“まんが・アニメ的リアリズム”を意識的にやってるのが
『涼宮ハルヒの憂鬱』の谷川流であり、
たとえば、長門有希は「無表情系」と描写されているが、
まんがやアニメの世界のお約束事をわかっていないと
(東さんの言うところの「キャラクターデータベースを共有していない」と)
意味がわからない小説になってしまう。

ゲームオーバーやリセット、リプレイの経験を
小説に持ち込んで、ループする世界からの脱出を描いたのが
桜坂洋の『ALL YOU NEED IS KILL』であり、
彼は繰り返される時間の中で“死”を描いた。

『Ever17』や『ひぐらしのなく頃に』では、
プレイヤーをただゲームを外側から眺める存在から
あたかもプレイヤーの選択がゲームのキャラクターたちを救ったかのように
プレイヤーの視点をゲームの内側に取り込んでいる。
『九十九十九』は、マルチエンディングの美少女ゲームにおける
選択の残酷性(ひとりのヒロインを選ぶことはほかのヒロインを捨てることである)
を小説として昇華している。

こういった小説やゲームの登場は
著者側も読者側も成熟(オタク化)したから生まれたものであり、
それと同時に、この方法でしか、今の現実を描けなかったからだ。

「仮構しか描けない、と自覚することをもって、初めて描き得る「現実」がある」
大塚英志『キャラクター小説の作り方』

とりあえず、『KANON』と『AIR』をプレイしてみたいと思ったよ。

◆読書メモ

「2ちゃんねるでは多くのユーザーが、情報を交換するのではなく、
だれかと繋がりたいがために、すなわち
コミュニケーションそのもののために投稿をくりかえしている」
北田暁大

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