« 『リクルートのDNA』 | トップページ | ジャンクション »

『世界から貧しさをなくす30の方法』

世界から貧しさをなくす30の方法

『世界から貧しさをなくす30の方法』
合同出版

もう10年以上前のことだが、なにかの映画の試写会イベントで
「発展途上国の女性の権利を考える」といったような内容の
パネルディスカッションを見たことがある。
「発展途上国の女性も学問を身に着け、家事労働に追われる生活から
自立すべきである」、「エイズの危険性からも避妊が必要」
といった主旨の話が続く中、東南アジアから参加した女性のひとりが、
「でも子供は宝物。もっと産みたい」と発言した。
それは今までの話に水をさすような発言で、正直、私も
「バースコントロールうんぬん言ったって、
彼女たちがその必要性を理解してないじゃないか。
まず、そういう教育が必要なんじゃないの」とそのときは感じた。
でも、あれから何年もたって、見た映画やイベントのテーマは忘れてしまったのに
彼女の発言だけはずっと心に残ってる。
まちがっているのは彼女じゃなくて、私たちだ。
彼女には彼女の文化があり、価値観がある。
あの会場の中で、彼女の発言はきらめくように真実だった、と今では思う。

この本にもそういった話が出てくる。
「避妊という教育を受けていないから子供ばかり作るのではなく、
彼らの国では子供は重要な労働の担い手であり、
子供が増えるから生活が苦しくなるのではなく、
生活を安定させるためにも、子供は多いほうがいい」のだそうだ。

善意で送られた援助物質が貧しい国の経済を圧迫し、
開発支援によって建設されたダムのために、
自然が破壊され、家を追い出され、支援金は借金となる。
「地球に優しい」といわれるパーム油の原料である
アブラヤシのプランテーションのため、農業が打撃を受け、
自分たちが食べるための農作物を輸入しなければいけない。
プランテーションの利益は先進国のものとなり、
稼いだ外貨は借金の返済に消える。

貧しい国の貧しさは、その国に問題があるからではなく、
私たち先進国が彼らを貧しくさせているのだ、という事実は
目からウロコというよりショックだ。
私たちが今の生活を変えない限り、世界から貧しさはなくならないのだ。

じゃあ、私たちはどうしたらいいの、というわけで
牛肉を食べずに国産の大豆を食べようという人の例が出てくるのだが、
(牛のエサとして大量の穀物が必要なので、
ステーキ一切れのためには30人分の食糧が奪われているのだそうだ。
“地産地消”であれば、奪わずにすむ。)
私たちが肉も魚も食べないことが、本当に貧しさをなくすことになるのか。
フェアトレード製品を買いましょう、というのはわかるのだが、
ネットでちょっと調べてみたフェアトレードのお店の多くが、
ロハスやシンプルライフ、オーガニックを推奨していて、
世界経済の話がどうしてそういう精神論みたいになっちゃうの?という気もする。

いかにも女子供向けの表紙デザインにもちょっと引く。
(本の帯は広末涼子のコメントだ。)
世界から貧しさをなくすためには、まず自分の生活を変えなければということは
理解できたが、それはシンプルライフみたいなオシャレな精神論じゃないはずだ。

« 『リクルートのDNA』 | トップページ | ジャンクション »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/27590/6480643

この記事へのトラックバック一覧です: 『世界から貧しさをなくす30の方法』:

« 『リクルートのDNA』 | トップページ | ジャンクション »