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ジャンクション

久々に初台で降りたら交差点がすごいことに。
前からずっと工事中だけど、西新宿ジャンクションができるらしい。

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パークハイアットから都庁を眺める。

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NTTドコモビル。向こうに見えるのは国立競技場?


『世界から貧しさをなくす30の方法』

世界から貧しさをなくす30の方法

『世界から貧しさをなくす30の方法』
合同出版

もう10年以上前のことだが、なにかの映画の試写会イベントで
「発展途上国の女性の権利を考える」といったような内容の
パネルディスカッションを見たことがある。
「発展途上国の女性も学問を身に着け、家事労働に追われる生活から
自立すべきである」、「エイズの危険性からも避妊が必要」
といった主旨の話が続く中、東南アジアから参加した女性のひとりが、
「でも子供は宝物。もっと産みたい」と発言した。
それは今までの話に水をさすような発言で、正直、私も
「バースコントロールうんぬん言ったって、
彼女たちがその必要性を理解してないじゃないか。
まず、そういう教育が必要なんじゃないの」とそのときは感じた。
でも、あれから何年もたって、見た映画やイベントのテーマは忘れてしまったのに
彼女の発言だけはずっと心に残ってる。
まちがっているのは彼女じゃなくて、私たちだ。
彼女には彼女の文化があり、価値観がある。
あの会場の中で、彼女の発言はきらめくように真実だった、と今では思う。

この本にもそういった話が出てくる。
「避妊という教育を受けていないから子供ばかり作るのではなく、
彼らの国では子供は重要な労働の担い手であり、
子供が増えるから生活が苦しくなるのではなく、
生活を安定させるためにも、子供は多いほうがいい」のだそうだ。

善意で送られた援助物質が貧しい国の経済を圧迫し、
開発支援によって建設されたダムのために、
自然が破壊され、家を追い出され、支援金は借金となる。
「地球に優しい」といわれるパーム油の原料である
アブラヤシのプランテーションのため、農業が打撃を受け、
自分たちが食べるための農作物を輸入しなければいけない。
プランテーションの利益は先進国のものとなり、
稼いだ外貨は借金の返済に消える。

貧しい国の貧しさは、その国に問題があるからではなく、
私たち先進国が彼らを貧しくさせているのだ、という事実は
目からウロコというよりショックだ。
私たちが今の生活を変えない限り、世界から貧しさはなくならないのだ。

じゃあ、私たちはどうしたらいいの、というわけで
牛肉を食べずに国産の大豆を食べようという人の例が出てくるのだが、
(牛のエサとして大量の穀物が必要なので、
ステーキ一切れのためには30人分の食糧が奪われているのだそうだ。
“地産地消”であれば、奪わずにすむ。)
私たちが肉も魚も食べないことが、本当に貧しさをなくすことになるのか。
フェアトレード製品を買いましょう、というのはわかるのだが、
ネットでちょっと調べてみたフェアトレードのお店の多くが、
ロハスやシンプルライフ、オーガニックを推奨していて、
世界経済の話がどうしてそういう精神論みたいになっちゃうの?という気もする。

いかにも女子供向けの表紙デザインにもちょっと引く。
(本の帯は広末涼子のコメントだ。)
世界から貧しさをなくすためには、まず自分の生活を変えなければということは
理解できたが、それはシンプルライフみたいなオシャレな精神論じゃないはずだ。

『リクルートのDNA』

リクルートのDNA―起業家精神とは何か
『リクルートのDNA 起業家精神とは何か』
江副浩正/著
角川書店

『カリスマはいらない』(USEN宇野康秀)だったか、
『アスピレーション経営の時代』(オールアバウト江幡哲也)だったか、
どの本で読んだのか忘れたが、
リクルートに入ってくる新入社員の多くは
「数年で企業して社長になる」ってなことを言うらしい。
実際、その“企業家学校”ぶりはどうなのと思うほど、
“リクルート卒業生”たちは活躍(?)してるし、
近年では『R25』の成功があり、だから今こういう本が出るわけだ。

最初の方に著者がつくった社訓や行動指針が書かれており、
著者は「それが今もリクルートに生きて企業風土となっている」
と言うのだが、ま、そんなの後付けだよなー。

おもしろいのは著者が出会った名起業家たちとの交流や
リクルート創業時代の話。
大学新聞に広告を取ることから始まり、就職情報誌を創刊。
創刊号は実績がなかったため、企業からお金が取れず、
69社中40社は無料で掲載したという。
アルバイト情報誌『フロム・エー』、転職情報誌『とらばーゆ』、『B-ing』、
『住宅情報』、『エイビーロード』を次々と創刊し、
そこで儲けた利益で自社ビルを建て、安比高原スキー場を開発、
と事業を拡大していく。

全体的に江副氏が自分のリクルート経営を振り返る回想録のような印象で、
そこには成功譚もあるが、むしろ反省や後悔が感じられる。
「起業家が政治に関心を持つことは必要だが、私の経験から言えることは、
政治家と一定の距離を保っておくことも重要なことである。」
といった文章もあったり。
リクルート事件の話からも逃げてはいないのだが、
わかる人にはわかるような書き方も多い。

最後の一章を「早過ぎた新規事業の立ち上げ」にさいているのだが、これが壮観。
住宅情報のオンライン事業を始めるが、当時はまだパソコンが高く、
通信スピードも遅く、ファクシミリに勝てず撤退。今も続けていればと悔やみ、
「立ち上げる時期も早すぎ、また撤退も早すぎた」と語る。
電話事業への進出は、NTTのラストワンマイルの規制緩和に時間がかかり失敗。
大型コンピューターを回線でつなぎ、タイムシェアリングを行なう事業では、
やはり回線の自由化に時間がかかり、自由化されたころには
パソコンの価格がさがり、タイムシェアリングの意味がなくなって失敗する。

タイトルにあるような起業家の参考にはならないと思うが、
リクルートから見たひとつの時代史としておもしろく読めた。

今日の記録

6km 40分35秒79

東京マラソン2008開催決定ということで、
はたして2月に間に合うのかと思いながら練習再開。

陸ランナーとして夏の練習計画を立ててみたんですが、
・日焼け、暑さ対策として、日没後、夕方に走る。
(夜走るのはあまり好きじゃないので、明るさが残っているうち。)
・この時期、距離をかせぐ練習は無理なので、
最高でも10km程度までにして、その代わりスピード練習をする。
・ジムで筋トレ、ヨガ、ピラティス、水泳などをする。
とか。

6kmくらい楽勝と思っていたら、やはり3週間のギャップは大きかった。
6~8kmを予定してたんですが、疲れたので無理せず6km。
スピード練習として、最後の2周をペースアップしたところ、
あっという間に酸素が足りなくなってペースアップどころか走り続けるのも困難に。
人間の体って正直だなー。

で、今日で走り始めてほぼ1年。
昔の記録を見たら、一番最初の記録が2006年5月14日、4km 29分58秒。
進歩してるような、してないような。

アメリカヤ

毎年毎年似たような写真を撮っているのですが、5月の山梨。

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韮崎駅前から眺めた富士山。でかい。

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家の池(用水路?)にいたカエル。

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庭の藤。今年はGWの中ごろから咲き始めたので、まだ五分くらい。

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父が撮れとうるさいので、雨なのに家の中から藤を撮影。
構図やら露出やら、いろいろ指示を出すので、デジカメを渡して父に撮らせた1枚。

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水田。この季節は田んぼに水が入るので、水が流れる音が涼しい。

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いい感じに寂れている韮崎駅前。
上にあるのは平和観音。下にあるアメリカヤのご主人が寄贈したものだという。
韮崎のアメリカヤといえば、変な店として一部で有名だったらしいが、
数年前にご主人が亡くなって現在閉店中。

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『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』

そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります
『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』
川上未映子/著
ヒヨコ舎

『タイタンの妖女』『一千一秒物語』と2冊続けて
高レベルの本を読んでしまったので、普通のぬるい本を読む気になれず、
この2冊とまったく無関係でもない、これをセレクト。

ブログ『未映子の純粋非性批判』の書籍化、なんですが、
“文筆歌手”だけあって、この未映子さんの文章がすごい。

「交通事故とか一方的な傷害や天災や事件に巻き込まれたりなど、
そんなニュースを見たり聞いたりすると、や、人生には、
というよりも世界にはどこぞに巨大なロシアンルーレットが備え付けられてて、
毎日毎日、何発も何発も弾は撃ちまくられていて、
なぜか今日現在、自分や周りの友人らに当たっていないことが不思議なもんやな
という気持ちになる。強制参加の本気のロシアンルーレットゲーム、
一律に制限時間付きではあるけれども。
それにしても撃ってるのは誰やねん。あなたがたの目的はなんやの。
てゆうか、そのロシアンルーレットどこ製。」
(2003年10月10日 ロシアンルーレットは遊びやないのやで)

「鳩よ、おはようカラスよ、おはよう。名前も知らんなんか茶色くてときどき見かける
焼きおにぎりみたいな鳥よ、おはよう。工事現場のおっちゃんよ、おはよう。
コンビニのやる気微塵も伝わらんちょっと栗毛で天パの兄ちゃんよ、おはよう。
中也よ、おはよう、かの子よ、おはよう、ホッケよ、おはよう、おはよう。
横光と森茉莉よ、おはよう。あなたがたは一生懸命書いた己の文章が
没後このように東京の片隅の、ほんとの片隅の本棚でなんのアレもなく
半永久的に隣り合わせに棲息していることを、ま、知る由もないわよ。」
(2005年7月13日 絶唱体質女子で!)

「なま暖かく体がいきなり浮く感覚、
春の匂いがして匂いがして匂いがして匂いがして私は途端に動かなくなり、
もうどうにもこうにも一歩も足が前に出んようになって、動かなくなり、
体を前に出そうとするのだが、動けず苦しく、どうにもこうにも這い這い家に引き返した。
泣き出さんばかりの、いいかげん、いよいよいったい、飽きたまえよ、私の思春期部よ、
しかしながら質量を持つ人間が春の匂いにあのようにやられるなんて、
初めての春でもあるまいし、そんな阿呆なことがあるか。あったんや。」
(2006年2月17日 春におそわれる)

どこを切り取っても文学。
サラサラと書いているようで、言葉は非常に選ばれているし、
本当にサラサラと書いているのなら、それは彼女のこれまでの
文学的、精神的、物理的な経験の蓄積が豊富なんだろう。
「天才の文章」と評されてましたが、ほんとに。

情緒不安定な感受性が読んでる側からしても心配になりますが、
情緒不安定さを文章にできる表現力が彼女にはあり、
歌であれ、詩であれ、文章であれ、彼女が表現者であることは必然なのかなと。


『一千一秒物語』

一千一秒物語―稲垣足穂コレクション〈1〉
『一千一秒物語』
稲垣足穂/著
ちくま文庫

有名な作品ですが読むのは初めて。
私の歳で『一千一秒物語』といえば、最初に思い浮かぶのは松田聖子。
絶妙なタイトルです。

「ある夕方 お月様がポケットの中に自分を入れて歩いていた」
もうこの一文でSFとか耽美とか常識とかの概念が音を立てて崩れ落ちる。
すげー。
どの文章もビジュアル化が不可能なのだが、
絵にするならシュールレアリズムの世界。
プラタナスとかマロニエとかブリキ製とかムーヴィとか
モダンな世界は私のイメージでは1960年代だが、
『一千一秒物語』が書かれたのは1923年(大正12年)。
稲垣足穂が先鋭的だったせいもあるだろうけど、
大正、1920年代という時代がいかにお洒落だったか思い知らされます。

「これを守護するように、両側に硝酸ストロンチウムの紅焔が立昇っていたが、
これは土星を湾内に誘導しようとする仕掛である。
色花火を用いて星を釣ることは、僕はこちらにきて初めて検証したが、
この作業はもともとピーコック教授の説にもとづいている。」
『螺旋境にて』
のように、さっぱり意味のわからない文章もありますが、
その言葉が流れていく感じがそれだけで美しい。

「私とは余り年齢の違わない人は、あのスクリーン、
といってもそれが隙間風にゆらゆらする只の白幕にすぎなかった頃、
そんな垂幕の前にぶら下がり、一種の驚嘆さにおいてフィルムからの
投影を見守っている私たち映画ファンにとって、
「日露戦争」が如何に目覚しい題目だったかを、よく憶えているに相違ない。」
『人工戦争(バタイユアルテイツシエル)』

日本語の持つパワーを教えてくれる目からウロコの名作。


旧津金学校

山梨にきたら一度は見に行きたいと思っていた旧津金学校に行ってきました。
同じ北杜市にあるとはいえ、山を超え、バスを乗り継がなければいけないので
結構、大旅行。そのバスも1日5本(休日は4本)しかないので、
山梨交通のサイトで時刻表を綿密にチェック。
須玉歴史資料館のサイトには「津金農協」下車と書いてあるんですが、
バス路線図には「津金農協」というバス停は載っていない。
韮崎駅の交通センターに聞いてみると、「大丈夫、停まるから」というのですが、
後からバスの運転手さんが教えてくれたところによると
津金農協がなくなってしまったので、バス停の名前も「津金中」に変わったとのこと。
てきとうだなー。

韮崎からバスに揺られること45分(酔いそうだったので寝てすごした)。やっと到着。
津金小学校が統合によって閉校した後、
明治校舎を解体復元して「須玉歴史資料館」に、
大正校舎を農業体験施設「大正館」に新築復元、
昭和校舎は取り壊され、レストラン、宿泊施設を備えた「おいしい学校」として
それぞれ、再利用されています。

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左から、おいしい学校、大正館、須玉歴史資料館。

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須玉歴史資料館(旧津金学校)
明治時代に作られた擬洋風建築を解体復元。くわしくはこちら

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擬洋風建築って決して美しくはないんだけど、
「洋風=文明開化」だった時代のめちゃくちゃなエネルギーとか
西欧に対する憧れとかが表現されているところが良いと思う。

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須玉歴史資料館の休憩コーナー。
受付のお姉さんが「蓄音機、聴かれますか?」とレコードをかけてくれました。
選曲もおまかせしたところ美空ひばりの『リンゴ追分』。
A面が終わったところで、今度は受付のおじさんが現われてB面を再生。
初めて聴きましたが『リンゴ園の少女』という綺麗な曲でした。
「美空ひばり知ってる?」とおじさん。
「ええ。でも、この曲は初めて聴きました。蓄音機も綺麗な音がでますね」と私。
「今のCDは人間に聴こえる部分しか再生しないけど、
アナログは人間に聴こえない音も再生するからね。体が聴いてるんだよ。
アナログレコードは体にいいらしいよ」とおじさん。
本当かなと思ったけど、聴こえない音を体が聴いてるってのはなんだか納得。

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1階のカフェ明治学校。
学校用の小さな椅子や黒板、ピアノが使われているところがかわいい。

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1階廊下。陰翳礼賛。

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2階の復元教室。
椅子に座ったり、教壇の上の始業ベルを鳴らしたり、
楽器や手動式の電話に触ったりできる展示が楽しい。
年配のおじさんたちが、「俺の子供のころはこういう机だったよ」、
「出席をとりまーす。○○君」、「はーい」とはしゃいでいたり、
高校生たちがピンポンパンポーンと鉄琴を叩いていたりして
なかなか良い展示だと思いました。
そのほか、台湾が植民地として日本領になっている戦時中の地図とか、
開戦日の学校日誌なども展示されてます。

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透かし天井が涼しげなベランダ。

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大正館
陶芸やそば打ちの体験コーナー、公民館として利用されている。

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大正館入口には「ツバメが入るので玄関は閉めてください」の貼り紙が。
体験コーナーは予約が必要だが、内部は自由に見学できる。

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大正館の廊下。新築の建物ですが、こういう昔の雰囲気が嬉しい。
“踊り場フェチ”に続き、自分は“廊下フェチ”じゃないかと認識。

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おいしい学校
イタリアンレストランやパン工房、ハーブ湯、宿泊施設などがある。
私のように明治校舎を目的としてここにくる人は少なく、
一番人気はこのおいしい学校。
学校給食をイメージしたランチなども食べられるらしいのですが、
明治校舎、大正校舎を見ている間にランチタイムが終わってしまい、
レストランは準備中。パンを買ってベランダで食べました。

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桜並木の向こうに南アルプスが一望できるグラウンド。
もう学校はなくなっちゃたけど、こんなグラウンドで大きくなった子供たちは
この景色を忘れないだろうなと思ったり。

『タイタンの妖女』

タイタンの妖女
『タイタンの妖女』
カート・ヴォネガット・ジュニア/著
早川書房

追悼カート・ヴォネガット・ジュニアということで
本棚から引っぱり出してきて再読。
前に読んだときは「人を食った話だなー」と思った。
ラストの1行を読んだときは“椅子から転げ落ちる”ような衝撃を受けました。

「人を食った話だ」という印象は今回も変わらないんだけど、
結末がわかって読むと、いろんなことが示唆的でぐっとくる。
私のイメージではウインストン・ナイルス・ラムフォード=カート・ヴォネガット
なんだけど、彼は物語の始めのほうで語っている。
「いつかタイタンの上で、きみにもそれのわかる日がくるよ。
わたしがだれによって、どれほど容赦なく利用されたか」

人はいったい何のために生きるのか、
運命は誰によって定められているのか、
ウインストン・ナイルス・ラムフォード?
トラルファマドール星人?
それともすべては万能の神によって?
今回はラストの1行で泣けました。

◆読書メモ

有名な冒頭の台詞
「たぶん、天にいるだれかさんはおれが気に入ってるんじゃないかな」
原文で何ていうのか調べたら
“I guess somebody up there likes me”
名訳ですな。

「単時点的(パンクチュアル)な意味において、さようなら」
サロの「スキィィィィプ!」にも泣けた。

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