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『リクルートのDNA』

リクルートのDNA―起業家精神とは何か
『リクルートのDNA 起業家精神とは何か』
江副浩正/著
角川書店

『カリスマはいらない』(USEN宇野康秀)だったか、
『アスピレーション経営の時代』(オールアバウト江幡哲也)だったか、
どの本で読んだのか忘れたが、
リクルートに入ってくる新入社員の多くは
「数年で企業して社長になる」ってなことを言うらしい。
実際、その“企業家学校”ぶりはどうなのと思うほど、
“リクルート卒業生”たちは活躍(?)してるし、
近年では『R25』の成功があり、だから今こういう本が出るわけだ。

最初の方に著者がつくった社訓や行動指針が書かれており、
著者は「それが今もリクルートに生きて企業風土となっている」
と言うのだが、ま、そんなの後付けだよなー。

おもしろいのは著者が出会った名起業家たちとの交流や
リクルート創業時代の話。
大学新聞に広告を取ることから始まり、就職情報誌を創刊。
創刊号は実績がなかったため、企業からお金が取れず、
69社中40社は無料で掲載したという。
アルバイト情報誌『フロム・エー』、転職情報誌『とらばーゆ』、『B-ing』、
『住宅情報』、『エイビーロード』を次々と創刊し、
そこで儲けた利益で自社ビルを建て、安比高原スキー場を開発、
と事業を拡大していく。

全体的に江副氏が自分のリクルート経営を振り返る回想録のような印象で、
そこには成功譚もあるが、むしろ反省や後悔が感じられる。
「起業家が政治に関心を持つことは必要だが、私の経験から言えることは、
政治家と一定の距離を保っておくことも重要なことである。」
といった文章もあったり。
リクルート事件の話からも逃げてはいないのだが、
わかる人にはわかるような書き方も多い。

最後の一章を「早過ぎた新規事業の立ち上げ」にさいているのだが、これが壮観。
住宅情報のオンライン事業を始めるが、当時はまだパソコンが高く、
通信スピードも遅く、ファクシミリに勝てず撤退。今も続けていればと悔やみ、
「立ち上げる時期も早すぎ、また撤退も早すぎた」と語る。
電話事業への進出は、NTTのラストワンマイルの規制緩和に時間がかかり失敗。
大型コンピューターを回線でつなぎ、タイムシェアリングを行なう事業では、
やはり回線の自由化に時間がかかり、自由化されたころには
パソコンの価格がさがり、タイムシェアリングの意味がなくなって失敗する。

タイトルにあるような起業家の参考にはならないと思うが、
リクルートから見たひとつの時代史としておもしろく読めた。

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