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『グーグル革命の衝撃』

グーグル革命の衝撃
『グーグル革命の衝撃』
NHK取材班/著
日本放送出版協会

1月に放映されたNHKスペシャル『グーグル革命の衝撃』は私も見たが、
「グーグルがどれだけすごいか」ということをグーグルを知らない人にもわかるように
ペイジリンクの仕組みなどをていねいに図解していたので
わかりやすいけど、出てくる話に目新しいことはなく、もの足りないという印象だった。
このスペシャルに限らず、NHKのIT系の報道って、
よくこんなところまで取材してるなと思う一方で、
その取材が報道内容にあまり生きていなくてもったいないと感じることが多い。

この本を読んで、ここまで徹底した取材をしていたんだということに驚いた。
NHKスペシャルで放映されたのは、取材したうちの10%にもならないんじゃないか?
なかには、なんでこの話がテレビで取り上げられて、
こっちをカットしたんだと思うほどおもしろい話も多い。
グーグルがどれだけすごいのか、といった再三語られてきた話のみならず、
SEOの弊害、グーグル爆弾、グーグル八分などの問題点、
検索エンジンが経済や人々の意識をどう変えているのか深くつっこんで調べている。
「取材を続けるうちに、検索結果が客観的だなんてとても信じられなくなった」
という取材班の言葉が印象的。

◆読書メモ

その結果、検索した4人に1人が商品購入をしているが、そのうちの6割の人は
実際の店舗で商品を買っていたことがわかったのである。
つまり、ネットで検索した結果は、リアルな世界での購買行動にも
強く影響を与えているのだ。ネットショッピングをするしないは別として、
何かを買う前に検索し、その後、その情報を頼って商品を買うといった
現象が起きているのである。
「買う」か「買わない」か、その決定に検索は強く影響を与えているということなのだ。

「最高の状態では、見識ある読者に向けて編集された、深く、幅広く、
細かなところにこだわった世界の要約である。
しかし最悪の場合、多くの人にとってどうでもよい情報の寄せ集めになる。
ほとんどが真実でなく、狭く、そしてセンセーショナルな内容となる。
しかしこれは私たちが求めたものであり、選んだものである」
(「EPIC2014」)

最近では、イラクで制圧された武装勢力の自宅でイギリス軍基地の
詳細な航空写真が発見され、彼らがグーグル・アースを利用していることが
明らかになった。

「自分の支持率を上げることは難しいが、動画をうまく使えば、
相手の支持率を下げることができる。ユーチューブは、ネガティブキャンペーンの
武器としては非常に有効な手段だ。」
(明治学院大学・川上和久教授)

「私は検索が政治・宗教の手段になることを考えました。
嫌いな相手に対して利用できたらどうなるか。
あるいは、様々な理由や実質的な編集方針に利用できたらどうなるか。
人々の見方・考え方を操作するという事実です。
グーグルに私たちの知ろうとすることを決める権利があるでしょうか。
グーグルが私たちの読む本を決めるのです。
グーグルが私たちの知る手段を決めるなんて民主主義に反しています」
(キンダースタート、ビクター・グッドマン社長)

検索結果に依存することは「自分の好みに満足していればよい」
という考え方を助長し、人々の視野を狭くする懸念があるというのである。
キャス・サンスティーン教授の懸念は、インターネット社会では、同じ立場の人たちが
連れ立って極端な立場に向かいがちになるという点である。
これによって「集団分極化」が進み、民主主義が機能しなくなるのではないか
という問題意識がある。
最終的にサンスティーン教授は、インターネット上で自分の立場と異なる
言論との「思いがけない出会い」を可能にする仕組みを提唱する。

「皆さんには『常識を疑う確かな力』を養ってほしい。学問的な疑いの直感は、
その人の頭の中で多様な知が関連付けられ、構造化されて初めて働くものだ。
知を構造化することと、大量の情報をもつことは、全く異なる」
「インターネットで入手した、構造化されていない大量の情報は、
『思いつき』を生み出すかもしれないが、『閃き』を生み出すことは極めて稀だ。」
(東京大学・小宮山宏総長)

「自分の記憶に存在しなくなったことも、
インターネットの世界では永久に存在するのだと知りました。」

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