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『2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?』

2ちゃんねるはなぜ潰れないのか? (扶桑社新書 14)
『2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?』
西村博之/著
扶桑社

2ちゃんねる管理人ひろゆきによるインターネット論。
『2ちゃんねるで学ぶ著作権』を読んで、
ひろゆきって人はずいぶん頭のいい人だなと思ったけど、
本書ではそのクレバーさが遺憾なく発揮されている。
「web2.0はマイナスイオンと同じ」、「グーグルがすごいのは技術力ではなく、
企画力と営業力とサーバーメンテナンス」といった調子で、
web2.0からグーグル、mixi、はてな、日本の法律まで
次々と論駁していくのだが、ひょうひょうとした語り口ながら
かなり本質を捉えている発言もあって、さすが。

論理的だったり理詰めで説明するわけでもなく、
わざとどこかはぐらかしているのも、頭のいい証拠。
自分で原稿を書いているのではなく、口述筆記らしいので、
文章全体に“ひろゆき節”が展開しているのも、この本をとっつきやすくしている。

欠点をあげるとすると、その頭の良さ。
この人は一を見て、ポンと三、四あたりまで悟って、
五という結論を出せるんだろうけど、凡人である私には無理。
なので、なぜ、その結論になるのか話の展開についていけないところも。

途中にはさまれている佐々木俊尚氏との対談が秀逸。
「西村さんの言っていることは、身も蓋もなさすぎてついていけない」
という佐々木さんの発言があることで、この本全部がフォローされている。
「言っていることは正しいけど、それは悲観的すぎませんか?」
という発言を通すことで、ひろゆきのインターネット論が非常に読みやすくなる。

佐々木さんがフォローに回っているのに対し、
巻末の小飼弾氏との対談はやりたい放題。専門用語の多さ以前に、
「俺たち頭いいからね、普通の人はついてこれないでしょ」的な
トーンがやや鼻につく。
わかりやすい話をする気など、本人たちはさらさらないようなのだが、
この対談で語っていることは、いろいろ盲点をついているので、
むしろわかりやすいレベルで話してくれれば、もっとおもしろかったのに。

ネット接続の仕組みや回線コストについては
直前に読んだ『インターネットは誰のものか』が参考になった。
(というか、これを読んでなければ理解できませんでした。)

現在、ネットを中心に売れまくっているらしいこの本。
かなりおもしろい本であることは確かだが、
みんながみんな、ひろゆきをきどって、
ここに書いてあることを真に受けても、かっこ悪いのでは。

◆読書メモ

ではなぜ、2ちゃんねるが存在するのか。
それはすごく簡単な原理で、単に2ちゃんねるほどの大きな掲示板を
運営している人がほかにいないだけです。
それを僕がたまたま運営しているだけなのです。
ライブドアがなくなったとしても似たような会社は出てこないでしょう。
なぜならライブドアがないと困る人が少ないからです。
しかし、2ちゃんねる的な場所というものは、ないと困る人がいる。
つまり、2ちゃんねるがなくなれば、似たようなWebサイトが登場してくることになります。

携帯電話よりも、Jリーグやキティちゃんのほうが、
まだ投資に値するのではないでしょうか。
2兆円という額が何年で回収できるかはわからないですが、
100年後に携帯電話とキティちゃん、どちらが残っている可能性が高いかを考えると、
それはキティちゃんだと思うのです。

インターネットというものは、ユーザーから見ればISPへの接続料だけで
インターネットに繋がっているように見えますが、実はユーザー以外の部分では、
みんなお金を支払っているのです。

'70年代には、宇宙に行けばきっと何かがあるはずだなどと、
無限の未来に対する無限の投資がありました。
しかし、アメリカは国家として巨額の投資を行ったにもかかわらず、
最終的に何もないことに気づきNASAの予算は削減された。
国家として、技術に投資を行うことが減ってしまったのです。
この時点で、未来というものは科学的に何かを行うものでは
なくなってしまったのだと思っています。そうなると、
今までどおりの日常が、今後何十年も続いていくだけなのではないでしょうか。

そこで衆愚かどうかという問題が出てきて、要するにみんながいいと
思っていることが本当にいいのかどうかは、わからないわけです。
そのために、日本は間接民主制なんですよ。
(佐々木俊尚)

2ちゃんねるに人が集まっているのは、別に「何かが2ちゃんねるにはある」
ということではなく、きっとほかに選択肢がないというだけの、
消去法なのではないでしょうか。

受け売りですが、あるブロガーが書いた、「ガリレオ・ガリレイの時代に
集合知があっても、地球が回っていることにはならなかった」ということと同じ原理で、
集合知が正しいと言うことが間違っていて、大衆が間違えてしまうこともある。
その前提を覆さなければ、結局、集合知だと思っていたことが、
実は集合愚だった、ということにもなりかねないのです。

2ちゃんねるの場合、逆に質の高い情報を拾い上げないことが
価値になると思っています。
2ちゃんねるは、決められた人が情報の価値を決めるような
ヒエラルキー構造にはしたくありません。
2ちゃんねるは、全員が匿名言論でものを言い、
ヒエラルキー構造が作られない完全フラットな場所なのです。

小飼:今って、日本のバックボーン回線の約20分の1をニコニコ動画が
コンスタントに持っていっているんですよね。これって、すごいやばいよ。

西村:カード会社のVISAとマスターって、株主の上に行くと実は同じ会社なんです。
つまり実際に日本で使われているカードは、
なんだかわからない会社に支配されているということになる。

西村:グーグルって、昔はサーバーのCPUがセレロンだったみたいですけど、
さすがに今はもうちょっとマシなのを使っているんでしょうね。
だってコストパフォーマンスを考えたら、Core2Duoのほうが電気代も安いですし。

小飼:なんというか、ちゃんとサーバーを「make world」して作っている人と、
それを使っている人とでは、視野が変わってきます。
実際に「make world」している人というのは、「dev」の世界を見ていると思っていい。
西村:「make world」って、デフォルトだと500以上は繋げられない回線を変えるために
アパッチ自体のコードを変えるOSのチューニングコマンドのことですよね?

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