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『アイドルにっぽん』

アイドルにっぽん
『アイドルにっぽん』
中森明夫/著
新潮社

雑誌のコラム記事や、書籍の解説文など
中森明夫が書き続けてきた文章をまとめたアイドル論集。
ピンク・レディー、本田美奈子、宮沢りえ、後藤久美子から
吉川ひなの、栗山千晶、最近のアイドル女優たち、
小倉千加子の「アイドル論」論や篠山紀信論まで熱く語っている。

『ニュースな女たち』は何度か目にしているのだが、
中森明夫の文章をちゃんと読むのは初めて。
「(アイドルとは)戦後日本人の無意識が産み出した最高の(無)価値」であり、
「無意識を意識化すること、無価値の価値を明らかにすることは
なんと困難だったのだろう。」とあとがきに書いているのだが、
「無価値の価値を明らかにすること」、つまり「アイドルの素晴らしさを伝える」
という意味において、どの文章もすごくいい。

アイドル論なのに、アイドルの写真がほとんど1枚もなく、唯一の例外が
後藤久美子と宮沢りえ、2人の美少女にはさまれた著者の写真なのだが、
これとて、この写真よりも、そのときの後藤久美子と宮沢りえについて
書かれた文章のほうがずっと彼女たちの美しさを伝えている。

「少女に写真が似合うのは、写真が瞬間を捉えるメディアであるからだ。
少女は瞬間の内にこそ存在して、次の瞬間には姿を消してしまう。
端的に言えば“女”になってしまう。するとそこには少女の姿は消え、
まるでチェシァ猫の笑いのようにして、ただ写真だけが残るのである。」

私も美少女好きなので、文章のあちこちに共感したりして。
美少女というのは期間限定の特別な生き物(妖精?)なので、
17歳の美少女が18歳には普通のかわいい女の子になっちゃうことも多々あったり。
この本を読んで、昔の吉川ひなのの画像を探してみたんだけど、
ネット上にはあまりみつからなかった。昔(といっても数年前)はゴロゴロしてたのに。

『ニュースな女たち』の文章が、週刊誌の記事で、
篠山紀信の写真に併記されていたこともあり、
ストレートに少女たちの魅力を語っているのに対し、
後半の文章が抽象的になっちゃうのは残念。
(それでも篠山紀信の『Namaiki』を見たいなと思ったけど。
あのころの吉野紗香はスペシャルだったなー)

◆読書メモ

ピンク・レディーというのはまさにテレビ的タレントだった、という感じが
私はしてるんです。これはおそらくピンク・レディーが二人だったということにもよるんだと
思うんですが、テレビのブラウン管に彼女たちはフルサイズでキチッとはまる。
(藤竹暁)

ピンク・レディーは、もはや生身の人間としてではなく、
アニメ・キャラクターの一種として消費されていたのだということ。

ディズニーランドに似合う女の子を作ろうと思って松本伊代をデビューさせたんだ
(ボンド企画 高杉敬二社長)

栗尾美恵子

美少女とは男の子の“性”の対象ではなく、あくまで女の子の“憧れ”の対象である。

性を知る前の処女は動物というよりまだ植物の範疇に属しているものだが、

少女は成長して女になるのではない。
少女としての死を一度死んで、やがて女へと生まれ変わるのである。
少女と女とはまったく別の生き物なのだ。

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