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『オタクで女の子な国のモノづくり』

オタクで女の子な国のモノづくり (講談社BIZ)
『オタクで女の子な国のモノづくり』
川口盛之助/著
講談社

暖房便座や『音姫』、水を流すときの大小レバーなど、
日本のトイレには、「ハイレベルな衛生観念」や「恥じらい気質」など、
日本の文化的要因から生まれたユニークな製品が集約されている。
通勤電車のドアに貼ってある「指をはさまれるよ!ドアから離れてね!」
と訴える、指に包帯を巻いたキティちゃんのステッカーは、
日本の擬人化カルチャーがあらわれている。
などなど、日本人ならではのユニークな製品を分析。
日本のオタク的でギャル的な“女の子っぽい”文化を、
製品開発に積極的に生かすべきだと主張する。

日本文化を「オタクっぽくて女の子っぽい」とまとめてしまうのは、
いささか強引であり、プレゼン的だなーと思うが、
日本の製品から“日本人ならではの感性とアイデア”を読み取る
というのはおもしろかった。
暖房便座やウォシュレットはともかく、欧米のトイレには「大小レバー」がないって
本当? 今まで気をつけて見たことなかったよ。
キティちゃんのステッカーに驚くというのも、外国人的視点がないと
気がつかない“日本らしさ”だよね。

そのほか、
・欧米の携帯にはストラップを通す穴がないものも多い。
・耳かき、肩たたきの風習はなく、医療行為のひとつ。
・「工事中ご迷惑をおかけします」と頭を下げるおじさんの絵を「オジギビト」と呼ぶが、
欧米では「近寄るな」と警告するポーズのおじさんは描かれていても、
誤るという図柄はあり得ない。
など、比較文化論的にもおもしろい話があったり。

製品のダウンサイジングが進むと、テレビやエアコンは壁に埋め込まれ、
最後には“ビルトイン”するだろうって話に出てきた
公衆電話のビルトイン化もちょっとおもしろかった。
「1953年に「赤電話」に制定、1972年頃、黄色の電話機が登場、
1982年に磁気カード式の緑色が現われ、
1999年のICカード式の電話機はグレーだった。
存在を主張しない、風景へのビルトイン化が求められるようになった。」

わかりやすいのはいいことだけど、話を簡単にしようとして、
日本の車をモー娘。アメリカの車をマリリン・モンローに例えるあたりは、
やりすぎ。意味不明であり、説得力に欠けるだけでは。
全体的に日本文化と製品のユニークさをやや強引に結びつけているので、
技術とか開発の面からの説得力が欲しかったところ。

◆読書メモ

ホンダでは、脳科学を援用した研究を続けていて、
「fMRI(機能的磁気共鳴画像法)」という医療用の手法で、
人間の脳の中にある「顔を認識する脳細胞」の活動状況を調べたところ、
被験者が「最も早く、最も強烈に脳細胞が活性化した」のバイクのフェースは、
怒った顔に似たデザインだった。

キリスト教文化圏では、神様が世界をお創りになった際、人とそれ以外の
生き物との間に大きな隔たりを設けた。したがって、人間の形をしたマシンが、
そのあたりを二本足で歩き回ることは不謹慎と見られる可能性がある。
ASIMOの設計に当たって、ホンダはローマ法王庁にお伺いを立てている。

ケンタッキーフライドチキンは、世界中で80以上の国と地域に
フランチャイズ展開しているが、「ブロイラー感謝祭」というイベントを催して、
「鶏供養」をしているのは日本だけ。

自衛隊のマスコット「ピクルス王子」と「パセリちゃん」
(いかにも脇役と言いたげな自虐的なネーミング)

Suicaの読み取り機
人間工学の権威である山中俊治氏がデザイン

1978年に発表された角田忠信博士の研究結果
「6歳から9歳までの間に、日本語またはポリネシア言語を母語として
学んだすべての人間は、人種、国籍、民族などの背景にかかわらず、
左脳部分が優勢になる」
日本語とポリネシア言語は、母音に意味を持たせる。
自然界の音は、音響学的には母音に近い。
つまり日本人は、小鳥のさえずりから雨だれ、風の唸り声まで、
すべての自然の音を言語を処理する左脳部分で扱っている。
だから、日本人は虫の音や川のせせらぎにも、風流=意味を感じることができる。

「どうも世間はコミックというもの価値がわかっていない。
イタリアのトッティにしても、フランスのジダンにしても、
『何でサッカーをはじめたんだ』という質問に対して、
みんな『キャプテン翼』っていうんだよ。」(麻生太郎)
ジダンの育った中東では、翼は「マージド」というアラブ風の名前。
「日本のイラク派遣部隊の給水車には『日の丸』じゃなくて、
『キャプテン翼』の絵が貼ってある。だからこそ襲われないわけですよ」

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