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『サヴァイヴ!南国日本』

サヴァイヴ!南国日本
『サヴァイヴ!南国日本』
高城剛/著
集英社

地球温暖化によって、このままでいけば日本は“南国”化する。
サバイバルするためには、日本のライフスタイルや
価値観を変える必要がある。しかし、悲観的になるのではなく、
南国化する日本に適応する能力を身につけ、
より楽しくて新しいライフスタイルを追求しよう、という本。

『ヤバいぜっ!デジタル日本』『「ひきこもり国家」日本』
の高城剛の著書。私はあいかわらずこの人は苦手であるが、
最高気温が39℃を超えた日、かなりの実感をもってこの本を読んだ。

著者がいうには、すでに流行は温暖化の影響を受けているという。
ハウスミュージックは、ニューヨークやロンドンではなく、
スペインのイビサ島へと中心地が移動し、
ファッションはパリやミラノではなく、
LA、マイアミやカリブなど南国リゾートへと移り変わっている。
(冬のノースリーブやランジェリー・ファッションも、その表れだそうだ。)
日本でもレゲエが流行るだろうし、沖縄料理が注目されているのも
日本人の気分や身体が南国化しているからだという。

「環境問題を騒ぐ人ほど、スロー志向だけど、
大変ならスピード志向で問題解決にあたるべきじゃないか」
という著者の主張には共感する。
環境対策がなんだか貧乏くさいエコロジーの話や
地球規模の話になってしまうのには違和感を感じていた。
できることからコツコツ始めようという考えは美しいけど、
サスティナブルとかエコバッグで、
39℃を超えた気温をどうにかできるんだろうか。
もっと急いで、もっと根本的に、何とかしなくちゃいけないんじゃないか?

もっとも著者が提案しているのも、
「エアコンを28度設定に、ではなく、エアコンがなくても問題ない身体づくり」
「ライフスタイルの見直し(コンビニをやめる、車を週1回にする)」
「日本版ダーチャによる食糧の自給自足」
「日本の省エネ技術を使って環境大国に生まれ変わる」
など、具体的ではあるが、エコバッグと大差ない感じも。

そもそも、北海道と東京と沖縄に家をもって、
海外を飛び回る著者の生活なんて、自分とはかけ離れている。
「(沖縄のビーチパーティは)自室にある200インチを超える大スクリーンと
最新型のデジタル・プロジェクターとサウンド・システムより、気持ちがよかった。
そこには、自室に数多くあるような高価なフィリップ・スタルクの椅子も
マーク・ニューソンのランプも、まったくない。20年近く前のラジカセだけなのだ。」
という文章に「けっ」と思わない人がいるんだろうか。

いじわるな見方をすれば、ITや広告の世界で生きてきた著者が、
沖縄の生活にめざめて、「これからは南国だぜ、レゲエだぜ、DJだぜ」
と言っているだけのようにも見える。
(「ハイパーメディア・クリエイターという謎の肩書きも、いま思えば
社会への抵抗だったんだと思う。サラリーマンではないので、
肩書きは関係ないですよ、そういう意味なんですよ、
と何度もインタビューで話しても、それが活字になることはなかった。」
という話は「へー、そうだったんだ」と思ったけど。)

もともとのライフスタイルが違うのだから、「ライフスタイルを変えよう」
という意見も全面的に鵜呑みにしてもしょうがない。
まあ、それでも、温暖化の原因は?とか言ってる場合じゃなくて、
温暖化する日本で生きていく方法を考えようという主張には賛成。

◆読書メモ

これはIT的にいえば、ユビキタス(神々があらゆるところに遍在するの意)であり、
欧米のユビキタス(たったひとりの神が、あらゆるところに遍在する)といわれるものと
根本的に異なる。この自然の中に神が無数にいらっしゃると考える思想の日本と、
一神教である欧米の自然への取り組み方は、根本的に違っていると考えてよい。

近代的なインテリアの中で、マスクをしながら消毒液ペーパーで手を拭き、
席につくなりアンテナ感度の確認と携帯メールのチェック。
これは、まるで子供のときに見た悪夢のSF映画だ。

テレビの影響力は思った以上にある。無料でもない。
じつは、自分の時間や考え方と引き換えているのだ。

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