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『フィードがグーグルの世界制覇を阻止する!』

フィードがグーグルの世界制覇を阻止する!―ウェブからリアルへの逆流が始まった
『フィードがグーグルの世界制覇を阻止する!
ウェブからリアルへの逆流が始まった』

小川浩/著
ビジネス社

著者の小川氏は、サイボウズで『フィードパス』をプロデュースした人であり、
『Web2.0 BOOK』の共著者でもある。
サイボウズは数年前から積極的にフィードを推進していたのだが、
正直なところ、私にはなぜフィードをそこまで熱心に押すのかよくわからなかった。
その理由を小川氏自身が語ったのがこの本。

フィードというよりRSSといった方がピンとくる。
現在は、更新情報を通知するだけの役割しかなく、
フィードリーダー(これもRSSリーダーといったほうがピンとくる)は、
「ブログを読むためのツール」でしかないが、
やがてフィードは新しいメディアになる可能性があると著者は言う。

「新聞もとらず、新聞社のニュースサイトにも行かず、
ヤフーのトピックスに載っているニュースしか見ていないユーザーは実に多い。」
「フィードリーダーを使えば、自分でウェブの中に分け入って
情報を探しに行く必要はなくなる。更新情報をもらっても、
興味がなければ見に行かないし、ニュースを扱うサイトやブログの場合、
更新内容を見てしまえばウェブに行く必要はなくなる。
ウェブを見る機会は今より少なくなる。」
として、ウェブのページビューは相対的に下落し、
ポータルのトラフィックは低下する(De-Porttalizationディポータライゼイション)という。

ウェブの検索において覇者となったグーグルだが、
フィードはウェブとは違うフォーマットであり、
ページリンクが役に立たないトラフィックである。
フィードにおいて新たなブレイクスルーを起こしたものが、
次のネット世界の覇者になる。それはグーグルではなく、
マイクロソフトかもしれないし、ベンチャー企業かもしれない。

ティム・バーナーズ・リーが提唱した、「あらゆる情報がリンクされ、
なにか一つのデータを更新すれば、それにかかわるすべてのデータが
連動して修正される」セマンティック・ウェブを、フィードは実現する。
ニュースはフィードで読むのが常識になり、
ブログやSNSはフィードに置き換わる。
携帯電話はフィードを読むのに最適のツールであり、
やがて、フィードは文字列ではなく、感情や気分を伝える
テレパシーのようなものになるかもしれない。

(まとめが長くなってしまったが)ざっとそんな内容。
この本を読む人ならRSSリーダーくらい使ったことがあるだろうけど、
そもそも現在のフィードとはこんなもので、こんな使われ方をしているという
大前提の説明が少ないので、著者がミサイルやネアンデルタール人のたとえで
フィードを説明しようとしても、抽象的でわかりにくい。
第1章で何度もでてくる「それがフィードだ」という言葉がむなしく響く。

後半に具体的なフィード・ビジネスの例が出てきて、
やっと、フィードの可能性が信じられる気になってくる。
つまり、今みたいにウェブの更新情報を伝えるのではなく、
フィード自体がニュースやブログ記事そのものになれば、
もうウェブなんていらないし、検索エンジンやポータルも
力を持ってられなくなるでしょ、という話だ。
著者自身も認めているように、フィードが新しいメディアになるためには、
ブレイクスルーが必要で、そのブレイクスルーはまだ起こっていない。
(グーグルがネットのあり方を決定的に変えたように、
フィードも革新的な変化がないと、今以上に普及することはないだろう。)
個人的にはニュースサイトがフィードで構成されるようになるとは思うけど、
このブログ記事がフィードに置き換わるのってそんなに便利かな、とも思う。

前から思っていたのだが、グーグルの検索がページランクを基本にしているなら、
ページとページがリンクしなくなったら、
グーグル検索は成り立たなくなるのではないだろうか。
ハイパーリンクはウェブの基本だけど、
リンクを必要としなくなるときがくるかもしれない。
その意味で、リンクを必要としないフィードがグーグルの覇権を脅かす
という考え方には多少、共感できたが、
はたして本当にウェブの次がフィードなのかはよくわからない。

◆読書メモ

初期に設定したとりあえずの試験的な仕様が、本来のあるべきレベルの
仕様に置きかわる間もなく、世界中に普及してしまった。
ネットスケープの開発者であるマーク・アンドリーセンは、
「ブラウザの『戻る』ボタンは、あれでよかったのだろうか」と、
いまだに言っている。

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