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『賢者のデジタル』

賢者のデジタル
『賢者のデジタル』
山根一眞/著
マガジンハウス

1997年から日本経済新聞に連載されている「デジタルスパイス」を書籍化。
500回を超える連載コラムから、「今でも読むに値するもの」を抜粋し、
2007年現在のコメントも追加されている。

元になった連載コラムを読んだことがなく、
朝日新聞の家庭欄のパソコン記事程度のものを予想していたのだが、
デジタル機器を自ら買って使ってる人の文章らしく、非常におもしろかった。

150万画素のデジカメ(1998年)や、18GBのハードディスク(2000年)に
喜んでいる自分の姿を、2007年のコメントでは「かわいそう」と言ってみたり、
20年前に20MB、20万円で買ったハードディスクも今は200GB、
20年前なら20億円になると換算してみたり、
1994年には、セネガルの砂漠の村でたったひとつしかない電話を借りて、
フランスに国際電話をかけ、パリのTYMNET経由でニフティサーブにアクセスし、
原稿を送った思い出が語られていたり、
10年間のコラムと、2007年のコメントによって、技術の進歩がわかる。

その一方で、2000年のコラムで紹介されている、
転勤妻のためのホームページが中断を経て、今も残っていたり、
植物の葉を拡大スキャンする自由研究や
ICレコーダーを利用したカセットテープからのMP3変換方法など、
今でも役に立つテクも掲載されている。

また、ネットの設定用語(POP、DNSサーバーなど)の名称が
統一されていないので、わかりにくいとか、
大きなAC電源がほかのプラグの差込口をふさいでしまったり、
どの機器の電源なのかわからなくなってしまう、
といった著者の要望が長年経ってもまったく解決していなかったり。

すごい勢いで変わっていくものがある一方で、
いつまで経っても残るもの、変わらないものが
デジタルの世界にもあるんだと実感。

著者が特に嘆いているのが、記録メディアについて。
5インチフロッピーや8ミリビデオ、LDなどは、
ハードの生産中止とともに再生方法がなくなってしまった。
CD-Rにカビのようなものが腐食し、データが読み出せなくなった経験も
書かれている。デジタルは決して永遠ではなく、
私達は日々そんなものに貴重なデータを記録しているのだ。

デジタル機器を楽しんで使い倒している著者の姿勢はとても参考になった。
「「なぜアマゾンまで行ってメールする必要があるのか?」
と質問されたことがある。その答えは簡単。
「メールができるからアマゾンに行くことができる」」
という文にはモバイラーの心意気が感じられる。

著者が提案している、モバイルプリンター付きのノートパソコンとか
机サイズのデスクトップ(ディスプレー)は、私もあったらいいなと思う。

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