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『ウェブ時代 5つの定理』

ウェブ時代 5つの定理 この言葉が未来を切り開く!
『ウェブ時代 5つの定理 この言葉が未来を切り開く!』
著/梅田望夫
文藝春秋

『ウェブ進化論』の著者、梅田氏によるビジョナリーたちの名言集。
梅田氏が蓄積してきた金言をセレクトしているだけあって、
「おもしろい」と思ったものに付箋を貼っていったら、あっという間に本が付箋だらけに。
シリコンバレーに流れる思想とか、アントレプレナーシップとか、
グーグルらしさとは何かということが、言葉を通して見えてくる。

例えば、
「私たちはフェースブックをオンラインコミュニティとして認識していない。
実際に存在するコミュニティを強化する名簿として提供している。
フェースブックに存在するのは、リアルライフに存在するものの鏡像だ。」
マーク・ザッカーバーグ
という言葉で、私は初めてフェースブックの本質がわかった気がした。
フェースブックのように、本名を公開し、写真掲載が当たり前って、
日本じゃちょっと考えられないんだけど、ハーバード大学の学生が
学生寮ごとに名簿が分かれているのはめんどうだから、
学内全体でデータを共有しようということから始まった
という経緯を聞くと、それも納得。上の言葉はそれを簡潔に表わしている。

今は100年に一度あるかないかという変革の時代で、
この“ウェブ時代”を私たちは生きているわけですが、
じゃあ、私はどうしたらいいの?ということも思うわけです。

例えば、
「世界を変えるものも、常に小さく始まる。
理想のプロジェクトチームは、会議もせず、
ランチを取るだけで進んでいく。チームの人数は、
ランチテーブルを囲めるだけに限るべきだ。」ビル・ジョイ
なんていうビジネスのあり方は「うらやましいなー」と思うのであって、
酷評?しましたが『謎の会社、世界を変える。 エニグモの挑戦』によると、
創業者2人は、博報堂時代に残業しているときに、
「今、すごいこと思いついた。ちょっと聞いて」って
空いている会議室でビジネスプランを出し合って、
『バイマ』の構想が生まれるのですが、
そういうスピード感とか軽いノリとか、ちょっとした発想が
今のウェブ時代を作っていくのではないかと。

かと思えば、
「Aクラスの人は、Aクラスの人と一緒に仕事をしたがる。
Bクラスの人は、Cクラスの人を採用したがる。」シリコンバレーの格言
なんて言葉もある。

梅田氏の前著『ウェブ時代をゆく』も、今回の本も、
理系思考の若者に勇気を与えるポジティブなメッセージが並んでいますが、
AクラスどころかCクラスであろう私は、この時代についていくのが精一杯で、
企業精神にあふれる若者でもなければ、ベンチャーに投資するだけの金持ちでもない。
それでも今の時代をすごくおもしろいとは思っているわけで。

梅田氏の言葉はシリコンバレーによりすぎてると思うところもありますが、
(2ちゃんねるが生み出した匿名性を日本の特徴として否定的に見ているけど、
ここから日本独自の何かが生まれる可能性もあるはず)
多かれ少なかれネットに関わる仕事をしている人であれば、
本書から何も読み取らないというのは愚かなことだと思う。

というわけで最後にウェブ時代的なことを付け加えておくなら、
本書でもさんざん引用されているスティーブ・ジョブスのスピーチは
日本語訳がここ
英語原文がここ、音声ファイルがここ(iTunes経由)にあります。

「最も重要なことは、君たちの心や直感に従う勇気を持つことだ。
心や直感は、君たちが本当になりたいものが何かを、
もうとうの昔に知っているものだ。」
「偉大な仕事をする唯一の方法は、あなたがすることを愛することだ。
まだ見つかっていないなら探し続けろ。落ち着いちゃいけない。
まさに恋愛と同じで、見つかればすぐにそれとわかる。
そして素晴らしい人間関係と同じで、年を重ねるごとにもっと良くなる。
だから見つかるまで探し続けろ。探すのをやめてはいけない。」
スティーブ・ジョブズ

◆読書メモ

・これまで集積してきた知識を捨てて、思考を切り替えなければならない。

・今はいい時代になったもので、ビジョナリーの言葉もブログなどを通して
ネット上に溢れ、主要なコンファレンスの音声や映像も
ネット上で見聞きできるようになりました。オライリーだけでなく、
ビジョナリーの言葉に注目して未来を考える可能性は、
知的好奇心あふれるすべての人に開かれています。

・ベンチャーの世界はそれでは駄目なのです。誰かを探す間に自分がやれば終わり
というような仕事は、気付いた人が片付けて、
先へ走っていかなければならないのです。ゴミを捨てたり、ピザを頼んだりするような、
些細でどうでもいいことを、自分でさっとやってしまうか、
それても「これをやる奴は誰なんだ」と人を探すか、という違いは本当に大きい。

・「せっかく来て本まで選んでショッピングカートに入れたのにもかかわらず、
買わずに帰る人を減らせ、ゼロにしろ」(アマゾン)
「検索結果が表示されたとき、検索結果画面から結局何もクリックしないで
どこかに行ってしまう人は、検索結果に不満を持ったと解釈する」(グーグル)
検索結果が出たあとに何もクリックせずに去る人の率を下げることが、
検索結果の品質を上げることだという指標をつくって、改善の数値目標にする。

・シリコンバレーには、テーブルクロスが紙でできていて、
クレヨンがグラスに差して置いてあるレストランがある。
食事をしながらエンジニアたちが、ワイワイ言い合って、
数式やフローチャート、図面を書きたくなるから、レストランが用意している。

・「Information wants to be free.」(情報は自由を求める)
『ホールアースカタログ』著者スチュアート・ブランド

「世界がどう発展するかを観察できる職につきなさい。
そうすれば、「ネクスト・ビッグ・シング」が来たときに、
それを確認できる位置にいられるはずだ。」
ロジャー・マクナミー

「音楽はしばらくその重要性を失ったかもしれないが、
iPodは音楽が人々の生活に
真に意味ある形で戻るのを手助けした。」
スティーブ・ジョブズ

「科学は、何かを10%や20%良くするのではなく
100倍良くする可能性を秘めている。
私はその力に興奮を覚える。」
ビノッド・コースラ

「インターネットは、人間の最も基本的な要求、
つまり知識欲と、コミュニケーションをはかること、
そして帰属意識を満たすことを助けるものである。」
エリック・シュミット

「グーグルは「普通の会社」ではありません。
そしてそうなろうとも思っていない。」
ラリー・ページ
グーグルが株式公開に先駆けて、投資家に宛てたレター。
そのほか、
「ウォールストリート向けに四半期単位の業績予測を発表する考えはない。」
などの言葉が並ぶ。

「「誰かにやれと言われたから」という理由で何かをするな、
という雰囲気がグーグルには浸透している。」
マリッサ・メイヤー

「一からすべて命令してほしいなら、海兵隊に行けばいい。」
エリック・シュミット

「会社は答えによってではなく、質問によって運営している。
イノベーションというものは、ある日朝起きて、
「私はイノベートしたい」と言って生まれるようなものじゃない。
質問として問うことで、よりイノベーティブなカルチャーが生まれるのだ。」
エリック・シュミット

「彼ら(グーグル)の願いは、ウェブ自身と同じスピードで
進化する会社をつくること。」
ゲイリー・ハメル

「でも、グーグルが大成功したから「ゲームは終わり」だなんて、
それは歴史を否定することだ。」
ランディ・コミサー

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