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『ラスト、コーション』

映画「ラスト、コーション」オリジナル・サウンドトラック
『ラスト、コーション』
at 新宿武蔵野館

アン・リー最新作。
過激な性描写が先行して話題になったが、実体はかなり骨太な映画。
冒頭の女性たちの麻雀だけでも緊張感がビリビリ。

ヴェネチア映画祭の記者会見では「本当にやってるのでは」とすごい質問も出たという
ベッド・シーンにしたところで、感じるのはエロスではなく、
ギリギリのところで戦っている男と女、愛と憎しみのせめぎあい。
台詞で説明もされちゃってるけど、女の側にしたら、
情欲に溺れることは彼に屈服することで、
それは恋愛というより、政治的な意味で負けを意味する。
ベッド・シーンに変な描写が多いのも、彼らの行為からロマンス的なものを
排除するためだったんじゃないかと思う。

女優が脱いだ程度で“体当たり演技”とはよく言うけど、
この映画のタン・ウェイのヌードほど、雄弁な肉体もなかなかなく、
中国政府が「セクシーすぎる」と彼女を非難したのも、ある意味納得。
(素朴な少女がどうしてマイ夫人を演じられたのか、
という理由を、彼女の洋画好きで説明しちゃうあたりの手際も上手い。)

トニー・レオンは、元々いい男だったけど、
今回のくたびれてる感じが、またかっこいい。
ヘタに演じたら、ただのスケベ親父になりかねない役を、
自虐と孤独を背負った悲しい男として表現している。
(中国政府に非難されたタン・ウェイを、「私たちはチームで映画を作っている。
責任は(彼女にあるのではなく)スタッフとキャスト全員で負うべきだ」
とかばったところもかっこいい。)

描かれている歴史的背景はかなり重いもので、
中国への愛国心や抗日感情を、
2人の男性で表現してしまうあたりも、かなりうまいのだが、
逆に言うと、この時代の複雑な人々の立場を恋愛の形で描いてしまうことに対して
よくこの作品を中国が普通に(ラブシーンを何ヵ所かカットした程度で)
上映したものだ、とも思う。

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