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『デジタル匠の誕生』

デジタル匠の誕生~「ものづくり日本」を再生せよ~
『デジタル匠の誕生 「ものづくり日本」を再生せよ』
著/岸宣仁
小学館

“匠の技”によって支えられてきた日本のものづくりが、
デジタル化によって大きく変わろうとしている現状をリポート。

ベテラン職人が手で加工していた作業が、デジタル化によって
若い女性でも作業が可能になった最新工場。その一方で、
デジタル化によって中国、韓国に追い上げられている日本の製造業。
技術情報が海外に流出している知的財産権の保護の問題。
などが主な内容。

文章が硬いので読むのにちょっと苦労したが、
「日本はものづくりで世界一!」では既になく、
このままでは中国、韓国に抜かれるどころか、
製造業そのものが危ないということは、なんとなくわかりました。
一時期、海外の工場に頼っていた生産拠点が、
アジアの人件費の高騰や、情報流出の懸念などから
国内に回帰しているという話もなるほど。

「匠」とか「ものづくり」とか「暗黙知」って言い方、あまり好きじゃないんだけど、
“暗黙知”を“形式知”にすることによって日本の生産効率を上げよう、
デジタル化によって次世代の職人を育成しよう、
という考えと、
最後までデジタル化できない部分にこそ日本のものづくりの価値がある
という話だと思います。

◆読書メモ

・中国の国際標準化戦略
次世代DVD規格「EVD」
無線LANの独自規格「WAPI」
(「Wi-Fi」とは互換性がなく、情報を暗号化して盗聴を防ぐ)
第3世代携帯電話の通信規格「TD-SCDMA」
標準獲得を左右する重要なポイントが人口にあるとすると、
中国が国際標準を取って市場に製品を投入すれば、
外国企業は巨大な中国市場を無視できない。

・シャープの亀山工場では、生産ラインへの入場制限を厳重にし、
社員ですら担当が違えば原則立ち入り禁止の措置が取られ、
「工場全体を見て歩けるのは社長1人のみ」と言われている。

・漆を加工する際、温度を徐々に上げていき、何時間かその状態を保っているうち、
ピークからわずかに温度が下がる瞬間がある。
ベテラン職人が「取り出すのは今」と感じるのはまさにこの瞬間で、
化学的に分析した結果、「酵素を触媒とする酸化重合反応が起きて
温度が下がる瞬間」であることが判明した。

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