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『絶対ハイビジョン主義』

絶対ハイビジョン主義―これからが楽しいテレビ生活 (アスキー新書 68)
『絶対ハイビジョン主義 これからが楽しいテレビ生活』
著/麻倉怜士
アスキー・メディアワークス

ブルーレイ発表会での話が印象的だった麻倉さんの本。
(そのときの感想はこちら。)
“エバンジェリスト”を自称するだけあって、
読んでいると、今すぐブルーレイレコーダーと大型テレビを買って
ハイビジョン生活を始めなければ!という気分になる。
(金銭的問題とスペース問題ですぐには無理ですけど。)

映像を説明する言葉も豊かで、たとえば
「松下の絵作りの特徴は、エンターテイメント志向が強いこと。
きらびやかで、コントラストが強く、色がリッチに乗っている。
一言でいえば豊饒な絵ですね。自発光型ならではの、
特に緑を中心とする色の良さが魅力です。
一般大衆のニーズをしっかり受け止め、
テレビ番組を見る楽しさが際立つ絵作りをしています。」といった感じ。

ハイビジョンの歴史から技術的な説明は勉強になるし、
テレビを買うためのメーカーごとの傾向と対策など、
具体的で役に立つ話も多い。

麻倉さんが画質をチェックするためのリファレンスディスクとして、
『シェイクスピア・イン・ラブ』をあげており、
(邦題『恋におちたシェイクスピア』。原題なのはこだわりなのか?)
その魅力を以下のように語っている。
「映像が非常にクリアで、情報量がきわめて多い。
映像情報が多いというだけでなく、質感もいかにも映画らしく、おいしい。
特に階調に関する情報が豊富で、暗部、中間部、明部と
チェックしたくなるポイントが山ほどある。」

ちなみにオススメBD作品としてあげられているのは、
『パイレーツ・オブ・カリビアン』
『Cine Dion:A New Day Live in Las Vegas』
『プラネットアース』
『イバラード時間』
『オペラ座の怪人』

ニューイヤー・コンサートの中継が、従来はSD解像度(720×480)で、
2004年のリカルド・ムーティの回からフルハイビジョンになったとか、
小澤征爾とアンノンクールの回はハイビジョンと称していたけど、
ヨーロッパ仕様のPAL方式のアップコンバートで甘い映像だったとか、
よく見てるなーと。

「SDとハイビジョンの違いは、技術的には情報量が6倍違うことですが、
私はそんなことより感動量が圧倒的に違うと思います。

ハイビジョンのニューイヤー・コンサートはまったく違うのです。
ハイビジョンでは単に情報を得るだけでなく、映像そのものの美と
臨場感に耽溺できます。大画面一杯に広がるハイビジョンの
ニューイヤー・コンサートは、ムジークフェラインザールの四方八方の金色、
赤と緑の華やかな花たちの光輝くシズル感、
そして聴衆の正装のきらびやかさ……などの極上の映像に、
さらにダイナミックなカメラワークも加わり、
めくるめく幸せな興奮を与えてくれるものです。」


◆読書メモ

映画は、大きな画面に被写体を配置する芸術なのです。
大画面で体感的に見なければ、制作者の意図は正確にはわかりません。
映画のメッセージは、大画面で見て、初めて理解できるのです。

マスタリングプロセス
従来はテレシネという、フィルムの透過光を
カメラで撮る方法が主流でした。
4年ほど前から、デジタルインターメディエイト(DI)といって、
フィルムの1コマ1コマを高解像度でスキャニングして
コンピューター処理する方法が導入されています。

テレシネの場合は、ソニーのHDCAMフォーマット、もしくは
松下電器のD5フォーマットのテープ媒体で収録。圧縮記録方式。
D1は直接ハードディスクに記録。非圧縮。
4K2K(解像度水平4000×垂直2000)の場合、1コマ40MB。
映画1本は約18万コマですから、全部で10テラバイト。
取り込み作業は2週間かかる。1コマのスキャンに2秒。

ドラマ映像で大事なのは情報量より情緒量です。

私はそれは、テレビで「本物」が見られる時代になった、ということだと思います。
本物とは、オブジェクトが持っている本来の色であり、ディテールであり、
質感です。単にきれいに見せるための高画質ではなく、
物の本質を見極めるための高画質。だからこそ、映画であれば
フィルムが持つ特有の質感や映像感が楽しめ、音楽番組では
映像監督の意図や思想が明確に見え、スポーツ番組ではより臨場感が高まる。
そしてジャンルを問わず、そんな制作者の作品に込めた思いまでが
見えてくるのです。

メディアの本当の進化とは、「新しいメディアでなければ絶対に楽しめない」
コンテンツが開発され、登場することではないでしょうか。

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