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本『インフォコモンズ』

インフォコモンズ (講談社BIZ)
『インフォコモンズ』
著/佐々木俊尚
講談社

佐々木さんの新刊。
Web2.0がぶちあたっている壁と、それをクリアしたWeb3.0の予言書。

著者的には『フラット革命』の続編に当たる。
『フラット革命』では、素人のブログとマスメディアの記事が対等に扱われる、
Web2.0によって起こった「フラットな」ネット社会が描かれており、
フェースブックやmixiがそれをめざしているように、
やがてリアルな人間関係とネット上の人間関係はイコールになるだろうとしている。
『インフォコモンズ』は、さらにその先。
情報を軸として、人と物が結ばれる新たな共同体(インフォコモンズ)が出現し、
リアルな人間関係はバーチャルな世界にのみこまれていくだろうと予言している。

もうちょっと具体的にいうと、
情報がすべてフラットになったことで情報洪水が起こった。
(ニュース記事も友達のブログに書かれた「映画を見た」というパーソナルな記事も
すべて同じ「情報」としてRSSリーダーに流れ込んでくる。)
大量の情報を消化し、洪水の中から個人にとって有益な情報を取り出すためには、
検索エンジンを駆使したり、速読術を見につけるなど能動的(プル)なスキルが
必要になる。これを解決して、受動的(プッシュ)に情報を手に入れる方法のひとつが
アマゾンのレコメンデーションのような「協調フィルタリング」だが、
アマゾンの「この本を買った人」が誰なのか、ユーザーには見えない。
自分が「この本を買った」という情報が監視されているという不安もつきまとう。
フェースブックのビーコンやソーシャル・アドは
「友達の○○さんがこの本を買いました」、「○○さんはこんな映画を見ました」
という情報を友人たちに配信する機能だが、
これは「ストーカーみたい」だとユーザーの不信をかった。
フェースブックのソーシャル・アドには「友達が薦める本や映画や音楽が、
友達だからといって好みがあうわけではない」という問題点もある。

まだ実現していないWeb3.0では、これらの問題点は解決され、
「フラット化された情報が再集約される」と著者はいう。
たとえば、製薬会社に務めて、テニスが好きで、角田光代ファンの
女性がいたとしたら、彼女は「製薬会社に務めている人のコミュニティ」、
「テニスが好きな人のコミュニティ」、「角田光代ファンのコミュニティ」
という、それぞれは関係のない3つのコミュニティに属していることになる。
でも「角田光代ファンの人であれば、この本も好きじゃない?」という
リコメンドを「角田光代ファンのコミュニティ」では共有できる可能性が高い。
そういう風に人と人、物と物が情報によって結ばれていくのが
Web3.0の世界になるだろうと。

「情報共有圏(インフォコモンズ)」、「中間共同体(マジックミドル)」
といったように、意図的にルビを多用しているのだが、
意味がわかりやすいところと、むしろ読みにくいところがあったり、
『ハイ・フィデリティ』を例として出すなど、
アプローチとして適切なのかどうか悩むところもあったりするのだが、
Web3.0の予言としては、かなりいいところをついているのでは、と思う。

◆読書メモ

フェイバリッドDB、ソーシャルフィード、デクワス

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