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You need a hero

毎年、花火だけを楽しみにしていて、
本体はほとんど見たことがなかった夏祭りですが、
今年のゲストはなんと麻倉未稀。
麻倉未稀って言っても誰それって人も多いでしょうが、
今までのゲストが松田聖子のそっくりさんとか、寅さんの物まね芸人とかなので、
私的にはかなりメジャー。生で『ヒーロー』が聞けるならと思って、
見に行ってきましたオンステージ。

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夏祭り会場。
小さな町にしてはわりと人が集まっているが、
会場も広いので余裕がある。

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麻倉未稀コンサート。
ステージ飾りがしょぼい気がするが、
「この風船ひとつひとつ膨らましていただいたのかしら。素敵ね」
とそつのない麻倉未稀。
公式サイトのスケジュールを見たら、愛知から北海道まで
あちこちの夏祭りにゲスト出演している。

『フラッシュダンス』に始まり、
ジャズやラテンや蘇州夜曲。
見た目はオバサンなんだけど(というか昔の麻倉未稀おぼえてない)
歌い続けてる人だけに、さすがに声に迫力がある。
合間のトークによると、森川由加里や石井明美と
一緒に仕事をする企画もあるんだとか。どうなんだ、そのカバー三人娘。
そして大映ドラマ主題歌をメドレーにしたという『ヒーロー・ウォーズ物語』。
『RUNAWAY』とか『今夜はANGEL』はイントロだけで泣ける。
最後はやっぱり『ヒーロー』。
おじさんだけじゃなく、若者たちから手拍子やかけ声もかかり、
意外に盛り上がる。20年以上前とはいえ、
誰もが知ってるヒット曲があるって幸せなことだよね。
歌の力って偉大だ。
こんなドサ周りみたいな仕事、大変だろうなーと思ってたんだけど、
オバサンになった麻倉未稀はなかなかカッコよかったのでした。

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今年も花火撮影にチャレンジ。
花火モードでだいぶキレイに撮れてるが、
フレーミングとタイミングに課題が。

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TV『神はサイコロを振らない』

神はサイコロを振らない DVD-BOX
『神はサイコロを振らない』

今頃見ました。
テレビ放映中もちょこちょこ見てたんだけど、
最後の方、延長とかで途中までしか録画できなくて
そのままなんとなく、ほったらかし。
オチが気になったので、今回、全9回を3日かけて視聴。

秀逸なタイトルはアインシュタインの台詞から。
10年前に突然消えた飛行機が、10年後に時空を超えて戻ってくる
という物語。

設定だけSFで、基本は、ヒロイン黛ヤス子が、
突然、戻ってきた10年前の恋人と親友に再会し、
自分を見つめなおし、今を生きようとするお話。
「10年前になりたかった自分に、今、なってますか?」とか、
「10年前にがんばっていた仕事を、今も続けていますか?」とか、
「10年前に愛していた人を、今でも一番愛していますか?」とか、
毎度毎度出てくる質問が耳に痛い。

原作の黛さんは男性で、そのほかの人物設定もだいぶ違うみたいだけど、
38歳の女性をヒロインにしたことで、
10年という月日をどう生きたかという問いかけが活きている、と思う。
38歳のヒロインってのも結構、重いが、
演じてるのが小林聡美だから嫌味がない。

乗員、乗客全員、10日間の後、また消えてしまう運命にあるので、
10年という月日をどう乗り越えるか、10日間という限られた日々をどう生きるか
という設定はいくらでも泣かせストーリーができるわけで、
実際、毎回、奇跡の再会だったり、親子の和解だったり、
かなわなかった夢の実現だったり、泣かせどころはあるのだけど、
最後まで比較的抑えた演出。

で、このドラマのなにが一番良くて見てたかというとキャスティング。
小林聡美も良かったけど、元恋人役の山本太郎が好感度大。
まっすぐな熱血漢という得意な役どころで、
ヒロインがもう一度惚れ直すあたり納得できる。
そのほか、今いちばん注目の美少女、成海璃子ちゃんや
天才子役、佐々木麻緒、城田優がちらっと出てたり、
離婚してしまった夫婦役が鶴見辰吾と『バービー』の杏子だったり、
『転校生』カップル共演の尾美としのりとか、芸達者な配役。
(ともさかりえと武田真治は私的には微妙。)

ロケ地として何度も出てきた、晴海アイランド トリトンスクエアや
リーガロイヤルホテル東京はちょっと行ってみたい。

本『NYLON100%』

NYLON100% 80年代渋谷発ポップ・カルチャーの源流
『NYLON100% 80年代渋谷発ポップ・カルチャーの源流』

著/ばるぼら
アスペクト

『NYLON100%』とは、1978年~1986年まで渋谷にあったカフェ。
パンク/ニューウェイヴの拠点として、
ヒカシュー、プラスチックス、ゲルニカなどがライブを行ない、
アーティストたちが常連として通った。
本書は、当時の店長から常連アーティストたちへのインタビューを通し、
『NYLON100%』とは何だったのかを描き出す。

といっても、私はこの本に出てくる固有名詞がほとんどわからない。
聞いたことがあるのは、ヒカシュー、ゲルニカ、サエキけんぞう、
立花ハジメ、戸川純、大槻ケンヂくらい。
彼らの音楽にいたっては、ちゃんと聞いたことがあるのは、
戸川純の『パンク蛹化の女』とブライアン・イーノ程度で、
ニューウェイヴっつてもどんなの? という感じ。

そんな私でも、この本の膨大なインタビューを通して
'80年代渋谷の風景が見えてくる、ような気がする。
若者たちが集まって、何か新しいこと、かっこいいことを始めようとしていた
その熱さと、対照的にクールでキラキラしたファッションと音楽、
その中心で、人々が集まり、去って行った交差点のような場所が
カフェ『NYLON100%』だった。

私は高校が渋谷沿線だったので、80年代後半は一応、渋谷を通過してるのだが、
せいぜい東急あたりのお店をのぞいたり、部活(代々木織田フィールド)の帰りに
シェーキーズでピザ食べたり、ジェラート食べるのが贅沢だったくらいで、
この本に出てくる人々のように、オシャレしてカフェにたむろしてライブに通ったり
なんて高校生時代は過ごさなかったので、それがちょっとうらやましいなとも思う。
(当時の私がニューウェイヴにハマるとはとても思えないが)
ただ、この本を読んで、当時の渋谷の雰囲気を強烈に思い出した。
私が高校生の頃は、ニューウェイヴ的なものは、一般化されちゃってて
パルコだったり、WAVEだったり、
この本でいうポパイ文化(アメリカ西海岸)的なものは、私の場合、
109のソニプラだったり、オンサンデーズだったり。
あと、この本で「中学生がグループデートで行くような店」と言われている
公園通りのジャック&ベティ。当時、文通していた広島の女の子に
東京を案内して欲しいといわれて、連れて行ったおぼえがあります。
今考えるとずいぶん嘘っぽいアメリカン50sなんだけど、
あの頃はあれがおもしろいと思えた。
そんな風に、ブランドというか店の名前で文化が語れちゃった時代。

著者のばるぼらさんについては
『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』の人、
ぐらいのことしか知りませんが、雑誌の書評のセレクトは
いつもいいなーと思っていて、今や芥川賞作家である川上未映子さんの
『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』もこの人の書評で知ったのでした。
膨大なインタビューには、膨大なアーティストやレコードやライブの名前が
次々と登場するのだが、その話についていけるだけの音楽的知識と
おそらく綿密な下調べがあり、ひとりひとりの様々な証言から
当時の情景がだんだんと見えてくる手法がすごい。

そして、私はバンドメンバーというのはあまり変わらない方が
いいことのように思っていたのだが、この本に出てくるアーティストたちは
ぴょんぴょんとバンドをつくっては解散し、
おもしろいかなと思うとまた違うことを初めてみたり、
その柔軟性がそのまま彼らの作る音楽になってるのかなと。
音楽を作ることと、雑誌を編集すること、ライブをやること、絵を描くこと、
それぞれの境界がほとんどなく、当時バンドをやっていたメンバーが
今や編集者だったり、イラストレーターだったり、写真家だったり、
別々の分野で活躍しているのも、'80年代渋谷文化っぽいといえるのか。

◆読書メモ

「僕はペル・ウブが大好きだったんで、ペル・ウブの話とか。
メンバーのデヴィッド・トーマスに会ったことがあって、
たいへんなインテリな人で驚いたけどね。彼は音楽評論家でもあるけど、
ニューウェイヴ・ロックは文学におけるウィリアム・フォークナーの
レベルに到達したという見解を持っていたね。」
(巻上公一)

「ナイロンには一人でも行くわけで、それはなぜなら
ナイロンには似たようなやつがいたからとか、
いることを確信したからだとかがあって、
そのような確信を持った人が集まる場所というのがあるんですよね。
それは、他のジャンルにもあって、例えばコンピュータの世界なんかでも、
「あのとき、あの場所にいたよね」っていうことがあるわけだし、」
(野々村文宏)

「東京の八十年代初頭にあった空気ってのはその後どこにもないもので、
岡崎京子が『東京ガールズブラボー』で描いたことはまさにその空気なんですよ。
「八十年代はスカだった!」みたい言葉に対して「そんなことはない!」って。」
(KERA)

DVD『ギャラクシー・クエスト』

『ギャラクシー・クエスト』

『スター・ウォーズ』ファンのNさんと先日行なわれたファン・イベント、
セレブレーション・ジャパンの話をしていて、
海外のファンは、ファルコンの内部セットとかスノー・スピーダーだとか
自分で作ってイベント会場に運んだんだって聞いて、
(というNさんも自分でC3POとか作ってるんだけど)
「『ギャラクシー・クエスト』って映画があってね」と薦めたら
数日後、早速、「見た、おもしろかったー」という感想。
そりゃ、Nさんのような人のためにある映画だから。
で、私もまた見たくなって借りてきた訳です。

こちらは『スター・ウォーズ』ではなく、『スター・トレック』のパロディ。
前見たときも感動したけど、今回もラストで泣けた。
この映画で一番幸せなのは誰だろう?
尊敬していたクルーたちと一緒に戦えたサーミアン星人?
自分たちがどれほど愛されているか気がついた俳優たち?
一番幸せだったのは、夢中になったテレビ番組を
現実にしたファンたちだったと思うんだよね。

今見ると、シガニー・ウィーバー、アラン・リックマンとわりと錚々たるキャスト。
オタク少年ブランドンを演じているのが、
『ダイハード4.0』のジャスティン・ロングだったり、
エイリアン役のミッシー・パイルが『ドッジボール』のブス子ちゃんだったり意外な発見。
(IMDBの写真を見ると、素顔はかなり美人ですけどね。
『ドッジボール』にはジャスティン・ロングも出演してる。)
宇宙船のCGはILM、エイリアンの造形はスタン・ウィンストンだそうです。


本『潜水服は蝶の夢を見る』

潜水服は蝶の夢を見る
『潜水服は蝶の夢を見る』
著/ジャン=ドミニック・ボービー
講談社

脳出血により身体の自由を奪われ、瞼のまばたきで文字をつづり
書かれた手記。ジュリアン・シュナーベルによって映画化されました。

著者は『ELLE』編集長だっただけあって、推敲された文章は
知的で、詩を読んでいるように美しい。
“潜水服”と“蝶”という比喩がすばらしく、
体が動かないことの絶望と過去の日々への想い、
それでも生きていくことの希望が、蝶が舞うようにつづられている。
この文章が書かれたのは、彼が倒れてから6ヵ月~8ヵ月の頃なので、
いくぶん彼の決意表明に似た文章で、若干綺麗すぎるきらいはある。
恐ろしいほどの絶望や苦しみをあえてユーモアや詩的な文章で
描くことで、「僕は大丈夫だ」と伝えたいようにも見える。
逆に言えば、書くことで彼自身、いろんなものを乗り越えようとしていたのだろう。

彼の気持ちがわかるとはさすがにいえないが、
私も手術の後、酸素マスク、点滴、尿管をつけて過ごした時間は
まさに潜水服の気分だった。足元の毛布さえ自分では動かせない。
看護婦さんがやってきて、点滴を取り替えたり、傷口を見てくれるのだが、
俎板の鯉で、もう勝手にやってくれって感じで。
酸素マスクが取れるまで数時間、体が動かせるようになるまで一晩。
それはものすごく長い一晩だった。
著者が医師や看護士にあだ名をつけたり、
彼らの行動を観察している気持ちもよくわかる。
自分では何もできないわけだから、看護のていねいな人、
親切だけど作業が雑な人、クールにてきぱきこなす人、
患者からはすごくよく見えてしまうのだ。
人によってはいじわるな見方だと思うかもしれないが、
彼のユーモアにあふれた病室の描写は、
入院したことのある人なら共感できるのでは。

私程度が言うのもなんだが、生きることって本当に過酷だ。
それでも「僕は生きている」と伝えようとする文章が心を打つ。

本『1日3時間しか働かない国』

誰もが幸せになる 1日3時間しか働かない国
『誰もが幸せになる 1日3時間しか働かない国』
著/シルヴァーノ・アゴスティ
マガジンハウス

夏休みなので、日曜日から隠居所へ。
といっても、いろいろとかたづけないといけない仕事があるので、
資料やらなんやらいっぱい持ってきて、
会社のメールをチェックしたりなんだりしてる訳で、
しかし、水の音や川風に吹かれたりしながら仕事をする気にさっぱりなれなくて、
読んでみたのがこの本。

著者は70歳の映画監督であり、作家であり、詩人でもある多才な人で、
“キルギシア”という国から書いた手紙、という形式。
キルギシアでは、人々は最高でも1日3時間しか働かない、
残りの時間は、眠ったり、食事をしたり、創作活動をしたり、
自分の人生のために使う。
犯罪は激減したので、警察や軍隊はなく、病気になる人も少ない。
政治はボランティアによって行なわれている。
子供たちは16歳まで好きなように遊び、
勉強ではなく、学びたいときに「哲学の家」や「ことばの家」など
興味のあるところにいって学ぶことができる。

もちろん、キルギシアは架空の国なのだけど、
そんなの夢物語だと笑うのは、
「君たちが今日の西洋的な社会システムしかありえないと思い込まされてる」
からだと著者は書く。
「新しいテクノロジーが生産効率を飛躍的にアップさせたのに、
労働時間は元のまま変わっていないってことに、僕たちの社会では
ほとんどの人が気づいていない」
「働く時間が少ない人ほど、より多くのものをより良く生み出せる。
僕らはそのことにわりと早く気づいたんですよね。」

後半には「我が家に小さなキルギシアを建国したよ」
という友達の手紙も紹介されている。
「1日3時間しか働かない」というのは私にとってまだまだ無理だけど、
とりあえずこの夏休み中は、1日1時間を仕事にあてて、
あとは自分のための時間を過ごしてみようと思う。
そう考えると、わりとキルギシアも夢じゃない気がするのだ。

◆読書メモ

人間の体をきちんと働かせるためには、まず何よりもちゃんと眠るようにするんだ。
これは単に床に就いて目を閉じるということではないんだよ。
眠りにも文化というものがあるのさ。
ぐっすり寝たら今度は、ちゃんと食べるようにするんだ。(略)
それからちゃんと働くようにするんだ。働く時間は最小限に抑えることだよ。
長くても一日に三時間まで。
どんなことでもいいから、純粋に自分の糧になるようなものを毎日ちゃんと
学ぶようにする
べきだね。ただし、それは自分が興味のあることじゃないとだめだよ。
ちゃんと与えるようにすることも大事だね。(略)
それからちゃんと創るようにするんだ。(略)
それから、ちゃんと愛すること、愛し合うこと。(略)
あらゆるものごとには、それを覆っている不思議なベールがある
そのことをちゃんと意識することだね。
人が本質的に求めることや望むことって、概ねこの八つらしいんだ。
これらが満たされれば、たしかに安定した穏やかな毎日が送れるだろうね。

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