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映画『崖の上のポニョ』

崖の上のポニョ [DVD]

『崖の上のポニョ』
at 新宿アカデミー

予想はしていたが、最初から最後まで
何が起こったのかさっぱりわからなかった。

なんていうか、巨匠と呼ばれた画家が
何を描いていいのかわからなくなって、
子供の絵を見て「これこそが芸術だ」と感動して、
自分も子供みたいな絵を描いてみた、って感じ。
できあがったものは無邪気を装った奇妙な絵で、
カラフルでラフで無意味で、だけどところどころ老獪な筆さばきや
子供は絶対にしないだろう色使いなんかがあって……。

初めから説明する気などないのだろうけど、
なぜ父は人間をやめたの?
父の作っている水は何?
人間の自然破壊を描いていながらポニョはなぜ人間になりたがる?
老婦人たちの意味は?
トキさんの行動が“正しくない”のはなぜ?
赤ちゃんを抱いた婦人、トンネル、眠るポニョ、
生命と死のモチーフはいったい何のため?

ファンタジーにそんな突っ込みが意味がないのもわかってるけど、
水道水とハムで魚を飼うな、
避難勧告が出てるのに、雨の中車を走らせる母の行動は
非難されていいんじゃないの?
おまけにそうまでして帰った家に子供だけを置いていくのはどうなの?
「魚のポニョも人間のポニョも好きだよ」という言葉は
「僕、カレーが好き」という程度のもの。
なぜ、そんな言葉に世界がかかっている?

手描きのアニメーションにしても
絵本を意識したのだろうスケッチ風の背景とセルアニメがどうにも違和感。
波の描写や走るポニョとカーチェイスは悪くないが、
私たちはコナンやカリオストロをまだ忘れてないからなぁ。
原典が『人魚姫』だと考えるなら、オープニングの
リアル感のない海底や魚たちも理解できなくはないが、古代魚?

まあ、この映画の欠点をあげるのは簡単なことで、
それでもマーケット的に成り立っていることにジブリの恐ろしさを感じる。


映画『JUNO/ジュノ』

JUNO/ジュノ <特別編>
『JUNO/ジュノ』
at 下高井戸シネマ

16歳の女の子が妊娠するお話。
アメリカでは予想外の大ヒットを記録し、
エレン・ペイジはアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。

手描きイラスト風に加工されたオープニングから
ハンバーグ・フォンに、チープ・カジュアルなジュノのファッション、
女の子カラー満載のキュートな映画。
(出産シーンでジュノはマルチカラーのハイソックスをはいてるのだ!)
使い方がうるさいけど、カントリー(?)っぽいサントラもかわいい。

子供を産むということの重さや、それにまつわるだろう諸問題など
(日本だったら退学だと思うけど、ジュノは臨月も学校に通ってる)
あえてすごく軽いノリで描く。
「搾り出して、料理が終わったらあげるわ、モーゼみたいに」
その描き方に不満を感じる人もいるだろうけど、
これはジュノの青春映画で、
子供を産むこと自体はテーマの中心ではないんだろう。
その重さを代わりに引き受けているのが養父母候補カップル。
子供が欲しくて、ちょっと不安定ぎみのセレブ妻を演じたジェニファー・ガーナーは、
今まで見た(といっても『デアデビル』くらいか)中で一番の演技。

ソニック・ユースがカバーした『スーパースター』とか、
ハーシャル・ゴードン・ルイスの『血の魔術師』とか
マニアックな会話も楽しい。

映画のコピーにもなっている「そのつもり」
原文では「If you're still in, I'm still in.」

映画『ダークナイト』

ダークナイト 特別版

『ダークナイト』
at 新宿ピカデリー

疲れた。
前作『バットマン ビギンズ』もそうだったけど、
すごくまじめに作られていて、見る方はとても疲れる。
これってアクション映画だったよね、という感じ。

前作にはそれでもちょっと息を抜ける場面もあったし、
「さあ、悪と闘おう」って話だったから希望もあった。
今回は、悪はそう簡単には滅ぼせないという話なので、
非常に暗い。
見せ場の連続っていうわけでもないのだが、
テンションがずっと高いので息を抜く暇がない。
ヒース・レジャーのジョーカーも「もっと肩の力を抜けよ」
と言いたくなるリキの入りよう。そういう役だと言われれば
その通りなのだが、見ているこちらが辛くなるブラック・ホール。

フェリーの場面はひとつの希望だと思うので、
もうちょっと盛り上げてもいいのでは。
それをしないのがクリストファー・ノーランのいいところでもあり、
生真面目すぎるところでもある。
おもしろくないわけでも、悪い作品でもないんだけどね。

会社の女子の間では、
「クリスチャン・ベイルっていい男」というSさんと、
「DV野郎は貧相。主役はヒース」というMさんで意見が分かれたんだけど、
私は誰か選ぶならマイケル・ケインなんだよなー。私にも朝食運んで(笑)。
3人の一致した意見としては
「やっぱジャック・ニコルソンとミショル・ファイファーでしょ」
でした。

エディソン・チャンがちょっとだけ出演していてびっくり。
単なるそっくりさんかと思う程度の扱いだったのは、
スキャンダルの後にカットされたのだろうか。

本『ウィキペディア革命』

『ウィキペディア革命
そこで何が起きているのか?』

岩波書店

◆読書メモ

「では、これまでどうやって調べていたのですか」
シアンスポ(パリ政治学院)の学生

ガルニエ(ラルース社「百科事典・辞書」部門部長)は、
自分たちの仕事がアカデミックな知識を中心としていたことと対比して、
オンライン百科事典の貢献を謙虚に評価する。
ウィキペディアがこれまで眠っていたジャンルを目覚めさせているからだ。
「それは一連の項目の中に大衆文化を位置づけ、
伝統的な百科事典には見られなかった項目、熊のぬいぐるみから
TVのリアリティ番組までをもたらしています。
この豊富さをもたらしているのは、明らかに、
それが知識のいかなる階層性も分類もないためです。
とはいえ、百科事典編纂者の役割は知識の境界を指し示すことです。
ウィキペディアでは、誰もこの重要さに触れてはいませんし、
それがないとさえ言っています。」

「ジャン・トュラール(歴史家)が専門家としてナポレオンの記事を書き、
翌日、高校生がその記事を荒らしたとしましょう。
彼が再び記事を書くと思いますか。もはや書かないと思いますよ。」

「知識を得るのはファースト・フードを食べるのとは違います。
知識の取得には時間、考察そして噛み砕くことが必要なのです」

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