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本『トンデモ偽史の世界』

『トンデモ偽史の世界』
著/原田実
楽工社

モアイ像は日本人が作った説、ピルトダウン人、
シオンの議定書、古朝鮮問題、ニセ天皇、邪馬台国四国山上説、
四国にソロモンの秘宝があった説、前期旧石器遺跡偽造事件、
山田長政伝説、アーサー王は実在した説、
シェイクスピアの正体はフランシス・ベーコンだった説などなど
トンデモ仮説から、個人によって偽造された遺跡まで、
その背景とともに紹介した本。

この本の一番のテーマはすでに序章に書かれており、
トンデモ仮説はそれを求める人、それを信じたいと思った人が
いるから成り立つのだということ。
たとえば、アマチュア考古学者チャールズ・ドーソンによって
偽作されたピルトダウン人の頭蓋骨は、
「人類は脳から進化した」という当時の学説によって、
偽物とは思われず歓迎された。
邪馬台国四国山上説と四国にソロモンの秘宝があったとする説に
共通するのは、地元への誇りや愛情ではなく、
「四国から目をそらせようとする何かがあるに違いない」
と考えたがった人々の強烈なコンプレックスであると著者はいう。

ユダヤ陰謀論とはアメリカの影に何かの力が働いていると
思いたがる人々が作り出すものであり、
最近の月着陸捏造説や9.11アメリカ自作自演説は、
日本の混迷をアメリカのせいにしたい願望の表れだ
という話にはなんとなく納得。

この手のトンデモ史ファンには有名な説も多いのだろうが、
私はほとんどが初めて知る話だったので、
次々登場する説や反論、元とされている歴史書の固有名詞に混乱。
著者の政治的(?)、感情的な偏りみたいなものもやや気になるが
それを差し引いても、おもしろく読める。

白眉は終章で、さらっと書かれているが、
八幡書店、オカルト雑誌『ムー』からオウム真理教が台頭した
という話は、これだけで一冊本ができる内容。
信じる人々がいれば、トンデモ説でも伝説となり、
歴史となってしまう危険性がわかる。

◆読書メモ

シェイクスピア劇から暗号を解読しようとする試みは
アメリカ、イギリスの暗号研究に貢献した。
日本外務省のパープル暗号を解読した、
ウィリアム・フレデリック・フリードマンの趣味は
暗号としてのシェイクスピア作品解読だった。
彼はシェイクスピア作品と、ベーコンを含む作者候補者たちの
文章に用いられる用語の頻度を調べ、文章の癖を数値化した。

革命と古代史、特に世界革命と超古代史は、
これらに没入する人間の自己狂信化の速度と
ストイシズムにおいて実によく似ている。
(久山信「“全世界”から“前世界”へ」)

八幡書店を主宰する武田崇元は“神国日本の復活”
というスローガンを掲げる。……かかる選民思想を内包する
国家社会主義が西武セゾンをはじめとする文化装置を通して
単なる差別ネタ大好き少年少女のたぐいをファシスト予備軍へと
感化しつつある現実は看過できない。
(久山信「霊的国家論とポップ・オカルティズム」)

東京10Kハロウィンラン

走ってきました!

かすみがうら以来なので、約半年ぶり。
10kmってまじめに練習してればたいした距離じゃないんですが、
(バリバリに練習してたときは1回15kmくらい走ってた)
今シーズンはまだ最高8kmまでしか走ってないので、多少不安もありました。
しかし、去年は仕事で見に行って、来年は走る側で参加したいと思っていたので、
とりあえず、スタートラインに立てたことで満足。

10kmは14時スタートなので、12時ごろに国立競技場に到着。
大会なのに早起きしなくていいのもラク。
ちょうど千葉選手のトークショーをやっていて、
「学生の頃から走ってたんですか?」
「私はー、テニス部に入ってましたー」というあの声だけ聞こえました。

ハロウィンランなので、まわりは魔女やらメイドやらパンプキンがいっぱい。
仮装グッズ(といっても髪留め程度)もちょっと探したんですが、
気に入ったものがなかったので、
私は結局、大会のTシャツ(オレンジ)を着ただけ。

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国立競技場。

20081019135146
スタート地点(といってもほとんど最後尾です。)

20081019135200

コースは、国立競技場を中心に総合グランドをまわって、
銀杏並木を折り返し、絵画館の前を通る、2.5kmを4周。
ぐるぐる回るコースなので、距離感がなくて、
最初の1周ですでに飽きる。
そして1周の長さに今さら10kmって長いなーと。

20081019141526
なつかしの絵画館。
もっと撮ったつもりだったのに、失敗してたよ。

私はフルも10kmも同じようなジョギングペースで走りますが、
ちゃんとしたランナーは10kmをもっと速いペースで走るので、
1周目の銀杏並木折り返し地点で、トップランナーに抜かれる。
(結局、トップランナーには2回抜かれました。)
2、3周目も、より速いランナーたちにどんどん周回遅れで抜かれる。
向こうもこんなザコ、じゃまでしょうがないと思うが、
抜かれていくばかりなので、こっちも精神的にはあまりおもしろくない。
4周目になって、やっと同じレベルのランナーばかりになったので(失礼)
前の人を抜くことを目標にしながらテクテク走る。
(後半になるとみんなペースが落ちるので、
がんばってイーブンで走れば、ごぼう抜きできる。
というと、偉そうだが、モチベーションがないと
最後の1周なんて走りきれないのです。)
40人抜いたところでゴール。

10km 68分でした。
私にしては上出来。

ハロウィンランだけあって、仮装率も高く、
ゴレンジャーやバナナの木、プレスリー、アンパンマン、
女装してパンプスで走ってる人とかいて楽しいんですが、
競技場の外に出るとギャラリーも少なくて
(応援してくれる人や「なにあれー?」と言っている子供もいましたが)
いまひとつ盛り上がりには欠けるんですよね。
これは去年も見ながら思ったこと。
今年は司会者が一生懸命盛り上げようと、
「パンダがゴールしましたよー」とか騒いでいましたが、
それもなんだかって感じもしました。
せっかくのお祭り大会なんだから、ほかの大会にはない
ファンランイベントになるといいのになーと。

走り終わったあとは女子更衣室(仮設テント)は満員で、
着替えるのに列に並ぶことに。仮装してる人もいるので、
更衣室(あとできれば化粧スペース)の充実も希望。

帰りは表参道にでもよって行こうと計画していたのに、
いざ歩き出してみると、足がすごく重いので挫折。
回れ右して電車に乗って帰りました。
で、翌日は太ももや上腕二頭筋(?腕の上の部分)、
腹筋、背筋と、あちこち痛い。
それで思い出したけど、(喉もと過ぎると忘れちゃうんだよね)
私は健康で走れることにまず感謝すべきなのでした。

本『プラネット・グーグル』

プラネット・グーグル
『プラネット・グーグル』
著 ランダル・ストロス
訳 吉田晋治
NHK出版

「世界中の情報を整理する」という野望に向かって、
書籍のスキャン、ユーチューブ買収、
グーグルアースからストリートビューへ、
拡大し続けるグーグルの現状を描く。

私はグーグル大好きな人なので、
急速に拡大し続ける姿は順風満帆にように見えるが
この本を読むと彼らが様々な困難を抱えていることがわかる。
グーグルはいまだに広告収入以上の収入源をもっていない。
フェイスブックへの人材流出や、ユーチューブのように
コストはかかるのに利益をあげらない事業、
グーグルが誇る検索アルゴリズムさえ
人間の叡智を取り入れる必要があるのではという声もある。

私からするとグーグルのユーチューブ買収は
「さすがグーグル、クールな買い物だ」と思っていたけど、
そこにはグーグルビデオの失敗があったという話や、
グーグルのすごさを認識させたグーグルアースは
他の会社が作ったものだという話(会社ごと買収し、
グーグルアースを開発させた)など、へーと思う話も多い。

ユーチューブの開発者がそのアイデアを
「パーティーで撮影したホームビデオを
参加者に見てもらう方法を考えた」という話は有名で
私も『ニューズウィーク』かなんかで創業者2人の写真とともに
読んだことがあるが、これはメディア向けにつくった話で、
実際にはもうひとりの創業者が映像クリップの需要に気づいた上で
ユーチューブを作っていた。ユーチューブはそもそも最初から
著作権問題を背負っていたわけだ。

「ユーチューブの元もとのアイデアは2004年12月に
思いがけない発見をした瞬間にさかのぼる。
『ワイアード』誌の記事でジュード・カリムが目にしたのは、
ジョン・スチュワートの映像クリップをオンラインで視聴した人々が
少なく見積もってもCNNで放送されたときに
スチュワートを見ていた人々の三倍もいたという事実だった。」

グーグル万歳という話ではなく、冷静に見ると
決して開放的でもなく、ビジネスがうまいわけでもなく
天才でもないグーグルの姿が見えてくる良書。

◆読書メモ

マイクロソフトとヤフーの合併について
「百ヤード競争で二位だった男と三位だった男の足を縛り、
これでもっと早く走れるだろうと考えて再び競争させるようなもの」
ダン・ライオンズ『スティーブ・ジョブズの秘密の日記』

サーベイ・ブリンは2002年にあるインタビューの中で、
収集した全情報を一つにまとめたうえに、ブリンの言葉を借りれば
「合理化する」能力に関して、(『2001年宇宙の旅』の)
HALこそが「われわれの目標だ」と答えている。
さらに「HALが宇宙船の乗組員を殺してしまったようなバグは
なくせるはずだ」とも述べている。

一説によると、フェイスブックの社員の十パーセント近くは
元グーグラー(グーグル社員)だそうだ。

単一単語の「言語モデル」を開発する統計的手法は、
あらゆる言語のスペルチェック用ソフトを開発するのにも役立った。
最近になって登場した新しい有名人の名前も含まれているうえに、
人間が編集する必要はまったくなく、辞書さえも必要ない。
発行された大量のテキストをアルゴリズムに処理させれば、
出現頻度の統計解析によって「正しい」スペルが決まってくる。

2002年にペイジとメイヤーがグーグルで書籍をスキャンする件について
話しはじめたとき、2人は書籍一冊をスキャンするのにどのくらい時間が
かかるのか試した。2人がメトロノームのリズムに合わせて
300ページの書籍のページを一ページずつめくったことは、
その後いく度となく語られている。
2人はこの実験で300ページの書籍をスキャンするのに40分かかる
というデータを得た。そこから数百万冊をスキャンするのにかかるコストを
どうにか見積もれると踏み、その額が想像の範囲内に収まると考えたのだ。

シリコングラフィックが本社を引き払うことを余儀なくされたとき、
新たなテナントがそこをグーグルプレックスに変えたのである。

グーグルマップの最初のマッシュアップを開発したのは、
ドリームワークスアニメーションのソフト開発者ポール・ラーデマカーだった。
彼はクレイグリストの住宅広告をグーグルの地図にリンクできると考え
各リストを押しピンの形で地図上の適当な場所に表示するコードを開発した。
彼が立ち上げたウェブサイト、ハウジングマップはすぐにクレイグリストで
アパートを探していた数千人の注目を集め、こうした人々から重宝がられた。
グーグルはこれに気づき、マッシュアップをさらに簡単に開発するための
機能を追加した。手はじめにグーグルはラーデマカーを引き抜いた。

2005年6月にグーグルアースがリリースされたとき、
ほとんどのユーザーが最初に見たいと思ったのは自分の家だった。
(ブリンはその前年にキーホールのソフトをデモンストレーションした際、
同僚の自宅を一人ずつざっと見せたときに、こうなるだろうと予測していた。

ストリートビューで最初にカバーした5都市のうち4都市については、
ボールの形に似ていて11個のレンズが表面に散らばっている
「全方位」ビデオを発明した別の会社、イマーシブメディアの収集した
画像を使っていた。普通車やワゴン車の屋根に据え付けると
球形の動画を記録し、連続的にGPSデータと関連付けられ、
これを再生すると好きな場所からの360度の映像を見ることができる。

グーグルは全地球の高解像度写真が指先で見られるようにするのに
一役買ったが、だれにとってもメリットよりもデメリットのほうが
大きかったとしても、一社だけを非難するわけにはいかない。
世界がこれほど小さく感じられるようになったのは、
コンピュータ技術がそれを可能にしたからなのだ。
そして、その技術に「元に戻す」ボタンはついていない。

映画『ウォンテッド』

ウォンテッド リミテッド・バージョン [DVD]

『ウォンテッド』
at 新宿プラザ劇場

おもしろかった!
『マトリックス』第1作がもっていた楽しさを思い出させてくれる。
人がガラスを割ってビルの屋上から飛んだり、
弾丸がカーブしながら飛んでいったり、
車が一回転しながらバスの屋根を走り抜けていったり、
笑っちゃうほどありえない映像も
デジタルなスローモーションを活用することで
もしかしたらできるかもみたいな気分にさせてしまう。
あのフォームで銃を撃つとカーブするって野球選手じゃないんだから。

主役はジェームズ・マカヴォイだけど、
宣伝写真はアンジェリーナ・ジョリーだらけ。
実際、この映画のアンジーはすごくかっこいい。
ブラッド・ピットと出会ってから絶好調の彼女。
もともと演技とアクションはこなしていたわけで、
セクシーさに磨きがかかり、母性まで加われば怖いものなし。
主人公の前に立つ姿は、女神のような存在感。

ジェームズ・マカヴォイはどこかで見た顔だと思ったら
『ナルニア国物語』のタムナスさん。そういえば卑屈な笑いが同じだ。
前半のストレスフルなサラリーマンから、
自分の能力に目覚めた後半の顔つきの違いがなかなかいい。

ネットの感想を読むと、「人殺しすぎ」って意見が多いし、
まあ、その通りなんだけど、この映画では
人の命ってCGの効果程度のもんだから。
あと、機織りがなんで運命を決められるんだって意見もあったけど、
あれ織ってるのは神様だから。
彼女は神の意志に従ったわけで。

映画館を一歩出たら忘れちゃうけど、
映画を見てる間はとても楽しめる。

その映画館だけど、新宿プラザ。
バルトやピカデリーができてから
歌舞伎町の映画館はすっかり影が薄くなった。
昔は友達と新宿で映画見るっていったら、たいていここだったんだけど、
(友達が大作ものが好きだったのと、ここが一番広かったから
会社が終わってから見に行っても余裕で座れた。
あと音響設備もいちばん良かった。)
久しぶりに行ったらトイレの狭さとか老朽化がめだつなと思っていたら
来月で閉館だそうだ。
1000人入れる客席の広さや
スクリーンの大きさは今でもいいなと思うけど
これも時の流れなんでしょうね。

映画『アイアンマン』

アイアンマン デラックス・コレクターズ・エディション (2枚組) [DVD]

『アイアンマン』
at 新宿アカデミー

ロバート・ダウニー・Jrといえば、
『アリーmyラブ』で名を上げながら、ドラッグ問題で降板。
『アリー』のストーリーまで変えてしまったことが印象的。
『アイアンマン』はそんな彼の復活作で、
アメリカでは3億ドルを超える大ヒットとなった。

さすがに日本ではそこまでヒットしていないのは、
アイアンマンがあまりなじみのないアメコミであり、
ロバート・ダウニー・Jrといえども主役がオヤジだからだろう。

ストーリーは予告編から想像していたものと大差ないが、
もっと早い段階で解放されるんだと思っていたので、
前半のアイアンマン誕生までは予想以上に長い。
現代のテクノロジーでできないことが、
どうしてたいした設備もない山奥でできるんだとか、
お金と命をつぎこんでやりたいことがそれなのかとか、
(結局、自分のしてきたことのツケをはらってるようなもんだし)
なんだその自己顕示欲はとか、
いろいろつっこみどころはあるが、
まあ、おもしろいからいいや。

一番おもしろいのはやっぱりアイアンマン制作の様子で、
オヤジの日曜大工か、男の子のプラモデル作りみたい。
グウィネス・パルトロウとの距離を置いた関係も悪くない。
グウィネスがかわいいと思ったのは『愛しのローズマリー』以来。

日本では『インクレディブル・ハルク』が8月、
『アイアンマン』が9月公開だったけど、
アメリカでは逆で『アイアンマン』が5月で、『ハルク』が6月。
ラストに『ハルク』と同じように思わせぶりなシーンが入っている。
(ごていねいに「エンディングの後に続きがあります」と表示された。)
“アベンジャーズ”って何だ?と思ったら、
マーベル・コミックのヒーローによるドリーム・チームみたいなもんらしい。
ほかも映画化するの?と思ったら、
マーベルは2010年に『アイアンマン2』、『ソー』、
2011年に『キャプテン・アメリカ』、『アベンジャーズ』、
さらに『アイアンマン3』の公開を予定している。
私はどのキャラクターにも思い入れがないけど、
ロバート・ダウニー・Jrとエドワード・ノートンって
ずいぶん渋いオヤジ軍団じゃないか?

(追記)
アイアンマンって予告で見たときは「ギャバン?」って
思ったんだけど、スタン・ウィンストンスタジオのデザイン。
スタン・ウィンストン氏は、『ターミネーター』などで
知られるアニマトロニクスの神様。
アメリカ公開直後の今年6月に亡くなってます。
数年前のSIGGRAPHの講演(たしか『A.I.』の話をしてた)で
スタン・ウィンストン氏が登壇していて、
「うわー、本物だー」と感激したのが、いい思い出。


TV『ガリレオ』

ガリレオ DVD-BOX

『ガリレオ』

こちらも今さら見ました。
ドラマ放映中は妹が見ていたので、何回かちらっと見たけど、
この役には福山雅治はかっこよすぎるよなーという印象。
さっぱり変人に見えない。
そのあと、『探偵ガリレオ』を読んだけど、やっぱりイメージ違うよなと。
ドラマの公式サイトにはプロデューサーが5年前に企画を出してボツって、
その後、「かっこいい湯川ってありなんじゃないの」と思いついて
福山版ガリレオで企画が通ったと書いてありました。
それを考えると、かっこよすぎる湯川とか、
相手役が女刑事になったのもわからなくはないんだが、
原作に近い湯川と草薙も別のキャストで見てみたかった気がする。
(福山雅治と北村一輝じゃ別のドラマになっちゃう)
かといって、原作者がイメージしていたという佐野史郎だと、
カルトドラマにはなるだろうけど、視聴率20%超や映画化ってなさそうだしな。

『相棒』のように主演2人のキャラクターで見せるべきだったと思うが、
数式を書く場面(ここのCG処理はまったく意味がない)や
毎回サービスとして登場する湯川のスポーツシーンなど、
キラキラした粉飾ばかりが目立つのはいかがなものか。
(柴咲コウのモノトーンファッションは沙粧妙子みたい。)

とはいうものの原作がそれほどおもしろかった訳ではなく、
ドラマ版のアレンジはわりとうまくいってると思う。
第1話『燃える』は、原作では犯人が誰なのか、
なぜその犯罪を行なったかが焦点だったのに対し、
ドラマでは、さらにひねりがあってこれはこれでおもしろい。
第4話『壊死る』や第9話『爆ぜる』あたりは、
犯行トリック以外まったく別の話。

毎回登場するゲストは豪華だが、
みんないまひとつだったのはなぜ。
注目している大後寿々花もなんか普通だったし、
広末なんてクレジットみるまで気がつかなかった。
手塚理美にはびっくりしました。美人も老けるんだね。
毎回ちらっとしか出てこないけど、
印象に残ったのは学生役の葵と高山都。今後注目したいです。

TV『ROOKIES』

ROOKIES (ルーキーズ) 表(おもて)BOX通常版

『ROOKIES』

テレビドラマとしてはずいぶん雑な作りだと思う。
毎回、無理やり泣かせ所をもってこようとしているので、
感動の押し売りはうざいし、
1時間半や2時間のスペシャルをもたせるために、
先生が野球部員ひとりひとりの名前を呼ぶ場面など
だらだらとくどい編集も多い。
(最初の乱闘シーンの場面なんて何度見させられたことか)

原作はちらっとしか見たことないけど、
もともと森田まさのりの熱血漫画は苦手で
それをそのままドラマにしちゃうのも苦しい感じ。
最初のころの、川藤が「夢をあきらめるな!」とか
「俺はお前を信じてる!」という叫びも、
「何も知らない奴が何言ってんだ」と野球部員じゃなくても思う。
つまり、納得できるようなベースがないので、
どんなに感動シーンが演じられていても
わめいたり、泣いたりしてるようにしか見えないのだ。
そういう意味でちゃんとおもしろく見れたのは初勝利をつかむ第8回。
ここは試合過程やそれまでの蓄積があるから、
描かれている勝利の感動に共感できる。
最終回も悪くないが、いかんせん2時間は冗長すぎる。

で、ブツブツ言いながらも全話見たのは、役者がよいから。
主演の佐藤隆太はこの役には若すぎないかと思ったが、
本人が「川藤を演じられたら引退してもいい」と言って
佐藤隆太が川藤に合う年齢になるまで、原作者がドラマ化を
断わり続けたっていうんだから、まあ、いいのかも。
熱血テンションの高さは見ていて疲れるが
佐藤隆太が演じることで原作より爽やかなキャラクターになったのは確か。

このドラマで名を上げた市原隼人はどっかで見たなーと思ったら
『黄泉がえり』、『陰陽師Ⅱ』に出ていた男の子。大きくなったねー。
女の子みたいな顔で「うっせー」とか言うのは背伸びしてる感じもするが、
低めの声と独特の台詞回しで「あったりめーだ」とか言うのは悪くない。
城田優は『花ざかりの君たちへ』、『神はサイコロを振らない』、
どちらも陸上部員役で、背が高いわりに肩がずんぐりしてるので、
陸上部のユニフォームが似合わないなーと思っていたんだけど、
野球部のユニフォームだと体型がわかりにくいのね。
そのほか、『戦国自衛隊1549』の中尾明慶、
『パッチギ!』というより、宮崎あおいの旦那として有名な高岡蒼甫、
『仮面ライダー電王』の佐藤健など、
野球部員たちはイケメンというより個性派ぞろいなので、
わりとすぐに全員の見分けがつく。
(最近の男の子ってみんな同じに見えるんだもん)
それほど演技力が必要とされない役なので、
素の部分のキャラクターに魅力があるかどうかが大事で
その点、このキャスティングは成功していると思う。
いちばんおいしいとこをもっていったのは小出恵介で
『僕の彼女はサイボーグ』に引き続き、ちょっと見直しました。


DVD『プラダを着た悪魔』

プラダを着た悪魔 (特別編)
『プラダを着た悪魔』

アン・ハサウェイが気になったので見てみた。
アン・ハサウェイ、たれ目でちょっとバランスが悪い感じが
むしろ印象に残る顔。

ストーリー自体はほぼ予想通り。それをうまくまとめていると思う。
ファッショナブルな面に目がいきがちだけど、
意外にちゃんと「仕事は厳しいものよ」という話。
「君は努力なんてしてない、努力しているとグチを言ってるだけだ」
という台詞や、エミリーが風邪を引いて最悪な顔をしながら
「私は仕事が大好き」とブツブツつぶやいてるとこ結構好き。

まだ出版していない『ハリー・ポッター』の新刊を手に入れろ
という指令が無理難題だという感想も多いけど、
「出版界にいるんだから、手はあるでしょ」
というメリル・ストリープにも一理ある。
実際、アン・ハサウェイだって業界のコネクションを利用する訳だし。
そういうコネクションをどれくらいもってるかが試されてるのだと
考えれば、要求としてはおかしくない気もする。
(いや、私がアシスタントだったら無理だけどさ。)

『ヴォーグ』の編集長アナ・ウィンターがモデルという説もあるけど、
前に読んだ小説にも、カメラマンからモデルまで自分のひと言で
抜擢したり、クビにするファッション雑誌編集長が出てきたので、
まあ、実際にいるんでしょうね、こういう人。
流行をつくっているのがファッション雑誌だったりするわけで、
「あなたが着ているセーターの色は私たちが選んだのよ」
という言葉にも説得力がある。
何かを選ぶということは何かを捨てることでもあり、
その決断をする強さをメリル・ストリープがさらっと演じてる。
編集長人事にしても、自分の保身というより、
この仕事は私じゃなきゃ務まらないっていう自信なんだろうなと。

映画『ハンコック』

ハンコック エクステンデッド・コレクターズ・エディション [DVD]

『ハンコック』
at 新宿ジョイシネマ3

嫌われ者のスーパーヒーローがPRマンの力を借りて、
イメージアップを図る、というプロットを聞くだけですごくおもしろそうだが、
それを活かしきれていない印象。
たとえばPRマン(『ジュノ』の演技が好印象だったジェイソン・ベイトマン)は
命の恩人とはいえ、善意からハンコックのPRをかって出るけど、
これだって、彼がハンコックを利用して、自分もひと山当てようとしたり、
ハンコックグッズを作ってみたり、いくらだってコネタを仕込めたはず。
王道でいくなら、嫌われ者のハンコック→イメージアップを図って成功
→と思ったら大失敗をして街から追い出される→大事件が起きてハンコック復活
→真のヒーローにめざめる、という展開でも十分おもしろかったはず。

評判の悪い後半の急展開は私にも謎。
これはこれで1本の映画にしたら、
決して結ばれることのないヒーローのラブストーリーになったと思うのだが、
違う2つの話をひとつにしちゃった違和感がぬぐえない。

ドキュメンタリータッチの手持ちカメラワークも
ヒーローアクションには不向きだし、
空を飛ぶ場面のCGの荒さはなんだろう。

童顔で悪態をついても憎めない子供みたいなウィル・スミスに、
ハンコックのキャラクターはよく似合っていたし、
せっかくのオリジナルヒーローものだったので、
もうちょっとがんばってほしかったなーと。

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