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本『アップルを創った怪物』

アップルを創った怪物―もうひとりの創業者、ウォズニアック自伝
『アップルを創った怪物
 もうひとりの創業者、ウォズニアック自伝』
著 スティーブ・ウォズニアック
ダイヤモンド社

スティーブ・ジョブズとともにアップルを創業したウォズこと
ウォズニアックの自伝。
自伝といっても、ライターがインタビューをまとめたもので、
原著のクレジットは「by Steve Wozniak with Gina Smith」となっている。
そのため、基本的にはウォズの思い出話や自慢話であり、
少なからずあったであろうアップルやジョブズへの不満も
「傷ついたけど、気にしてないよ」程度にしか語られていない。
(もちろんウォズの人柄の良さってのもあるだろうけど。
HP社について「いや~いいところだったよ」と語ったり、
アップル株で億万長者になった後は、
コンサートや教育などにお金をつぎ込んじゃったり。)

ウォズが最初に考えたというキーボードとテレビのインターフェース、
コモドールのPETやラジオシャックのTRS-80、アルテアよりも
「僕の作った」アップルの方がだんぜんすごかった、
という話なんかも割り引いて聞く必要があるだろう。

それでも『アップルI』誕生や
ブルーボックス(電話のタダがけ装置)の制作、
ジョブズが謝礼金をピンはねした『ブレイクアウト』(ブロック崩し)、
社員に株を与えた“ウォズ・プラン”、飛行機事故、
野外コンサート、アップル退社など、
今まで伝説だったエピソードが本人の口から語られたのは意義がある。

原題は『iWoz』。
『スティーブ・ジョブズ 偶像復活』(原題『iCon』)とあわせて読むと
2人の創業者の違いがよくわかる。
プロデューサーとしてのジョブズと、あくまでエンジニアだったウォズ。
鏡のような2人がいて初めてアップルは誕生できたのだ。
最終章「人生の法則」のメッセージなんて、
ジョブズがスタンフォード大学で言っていたことによく似ている。
これはどちらかが真似したわけではなく、
若い頃お互いにそういう話をしていたか、
2人とも同じものをめざしていたからなのではないか。

◆読書メモ

おやじは、エンジニアであるとはどういうことかを僕にたたき込んだ。
エンジニアの中のエンジニア、真のエンジニアであるとは、だ。
今でもはっきり思い出せる。
エンジニアリングとは世界でもっとも重要なことだっておやじは言っていた。
人々の役に立つ電子機器を作れる人は社会を一歩前に進められる人だと。
エンジニアなら世界を変えられる、多くの、本当に多くの人々の生活を
変えられるって、教えてくれた。

その2年後、アリスと僕は結婚した。でも、その結婚生活は、
僕がHP社を辞めた少しあとに終わってしまった。
それって悲しくもおかしな符号だ。
だって、どっちも永遠に続くと僕は思ってたんだから。

スティーブと僕は、長い間、ホントに長い間、
互いに最高の友だちとして過ごした。同じ目標に向かって
一緒に努力した。それが結実したのがアップルだ。
でも、僕らは違うタイプの人間だった。最初からずっとね。

スティーブはあちこち電話すると、まるで奇跡だよね。
インテルからタダでDRAMをいくつかもらう話をつけてしまった。
あのころの値段とめちゃくちゃ品薄だったことを考えれば、
信じられないような話だ。それをやっちゃうのがスティーブって男なんだけど。
販売責任者との話がうまいんだ。僕にはアレはできない。内気すぎてね。

でも、スティーブから魅力的なことを提案された。
あのとき、僕らはスティーブの車に乗っていた。そして、
こう言われたことを、まるで昨日のことのようにはっきりと覚えている。
「お金は損するかもしれないけど、自分の会社が持てるよ。
自分の会社が持てる一生に一度のチャンスだ」

まず、自分を信じること。迷っちゃダメだ。
世の中、それこそ大半の人、出会う人全員といってもいいほど
多くの人が、白か黒かという考え方しかできない。
こういう人たちに足を引っぱられちゃダメだ。みんな、そのとき
常識とされている見方しかしないってことを忘れちゃいけない。
過去に触れたり見たりしたものしか理解できないんだ。
これは先入観とか偏見とも言えるもの。
発明というものと決定的に対立する偏見なんだ。
世界は白黒なんかじゃない。
白と黒の間にさまざまな濃さのグレーがあるんだ。
「発明家なら、グレースケールで物事を見なきゃいけない。」

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