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本『モードの方程式』

モードの方程式 (新潮文庫)
『モードの方程式』
著 中野香織
新潮文庫

「カーキ(khaki)」はインドに駐屯していた英国軍の司令官が
白い軍服が埃で汚れてしまうため、コーヒーやカレー粉の汁に浸して
初めから埃の色に染めたことから誕生した。
カーキーとはヒンディ語で「埃の色」という意味である。
といった感じに、服飾史についてわかりやすく解説。

クラシックなファッションだと思っていたものが、
実はブランドや英国の皇室が作り出した流行が定着したものだったり、
最新ファッションが昔、流行ったものの焼き直しだったり、
ということがよくわかる。
ソフィスティケーション、グラマラス、シックなんて言葉も、
時代とともに意味が変わってきた。

「男の子はブルーで、女の子はピンク」といった考え方も
1950年代に定着したもので、かつては逆だったという。
「一般的に受容されているルールは男の子にピンク、
女の子にブルーである。理由はピンクがより決然として強い色で
男の子にふさわしいのに対し、ブルーはデリケートではかなげゆえに、
女の子にふさわしいからである」(1918年の雑誌記事)

ウェス・アンダーソン監督の『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』で
グウィネス・パルトロウが着ているラコステのポロワンピースに
フェンディの毛皮、という装いについて、
「わかりやすい美醜の判定を拒否するスタイル」と書かれているが、
この映画の本質をファッションから読み取っていることに感心。
(私はラコステのポロワンピースをもっているので、
こんな着方もあるのかーとミーハーな視点で見てました。)
ウェス・アンダーソン監督のインタビュー写真を見ると、
高そうなブランドのツイード・スーツに、えんじ色のスニーカーをはいていて
いかにもこの映画的な格好をしていて笑ったんだけど、意図的だったのね。

元が新聞のコラムなので、読みやすいけど、
つっこみが足りないところもあったり、
数年前のファッション用語はすでに「そんなのもあったねー」
という感じに古くなっていたりするが、
知っているとファッションの見方が変わる一冊。

◆読書メモ

トレンチコートは、戦場生まれである。
第一次世界大戦で英国陸軍が塹壕(トレンチ)戦用にとバーバリーにデザインさせた。
左右の肩章、右肩のストームフラップ(防風雨用あて布)、
ベルトのDリング(手榴弾つり)など実用に徹しているが、
平和な都会で女性が着る場合には、この禁欲的な重装備がその下に
甘美な謎を隠しているのではという幻想をかきたてる働きをすることもあるらしい。

「衣服は人をつくらない(You are not what you wear.)」
ユニクロがロンドン一号店を出店する際に掲げたメッセージ。

派手な色彩や柄、金銀の装飾などを用いた華麗な装いが全盛を極めた
1920年代に、シャネルは時代のテイストを鞭打つかのように
LBD(リトル・ブラック・ドレス)を発表。装飾過多のドレスを作っていた
デザイナー、ポール・ポワレに「誰の葬式ですかな?」と皮肉られて
「あなたのですわよ」と答えたシャネルの強さあっての挑戦であったかもしれない。


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