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本『大聖堂 果てしなき世界』

大聖堂―果てしなき世界 (上) (ソフトバンク文庫 フ 3-4)

大聖堂―果てしなき世界 (中) (ソフトバンク文庫 フ 3-5)

大聖堂―果てしなき世界 (下) (ソフトバンク文庫 フ 3-6)

『大聖堂 果てしなき世界』
著 ケン・フォレット
ソフトバンク文庫

大傑作『大聖堂』の18年ぶりの続編。
といっても、私が前作を読んだのは2年前なので、それほど待たずにすみましたが。
1月ごろに、「『大聖堂』の続編発売!」というリリースを見て、
同じく、前作ファンのSさんに知らせて歓声をあげたほど。
発売日には本屋に確認に行きましたよ。
新刊だから当たり前だけど、どこの本屋にもこの本が置いてあって、
紀伊国屋に1冊しかなかった前作とは大違い。
上・中・下、それぞれ別の本屋で買えたよ。

物語は前作から200年後。
羊毛商人の娘カリス、建築職人マーティン、貧しい農夫の娘グウェンダ、騎士ラルフ
の4人を中心に、修道士ゴドウィン、フィルモン、
伯爵夫人フィリッパ、農夫ウルフリックらの運命が絡み合う。
前作のジャック・ビルダーとアリエナの末裔がマーティンとラルフの兄弟で、
トム・ビルダーの血を引くのがカリスと従兄弟のゴドウィン、という設定だが、
ジャックやアリエナは200年後の世界ではもう伝説であり、
かわらずにキングズブリッジの大聖堂だけがそびえ立っている。

先に読了したSさんから「キャラがかぶっている」と聞いていたとおり、
建築職人マーティンはジャック、カリスはアリエナ、
残酷なラルフはウィリアムとかぶる。
しかし、良くも悪くも、キャラクター的にはパワーダウンしており、
常軌を逸した感のあったウィリアムほどラルフは激しい性格ではなく、
マーティンやカリスもある程度、常識人だ。
前作で私がいちばん好きだったのはウィリアム・ハムレイだったけど
本作でいちばん魅力的なのはグウェンダ。
上巻は8歳のグウェンダが盗みを働くところから始まり、
グウェンダで終わるという、ヒロインぶり。
橋の建設と、グウェンダが愛する男をいかに陥落させるかという
それぞれの欲望が同じように語られるところがすごい。

この魅力的なキャラクターたちを映像で見てみたい
という気持ちもあるのだが、話が長すぎて、映画では無理だろう。
しかも、残酷な戦闘シーンや性的な場面もいっぱいあるので、
R指定は確実。
フォレットの描くヒロインたちは、カリスもグウェンダも
フィリッパも、グウェンダのライバル、アネットもみんな非常に官能的
なんだが、髪がどうとか、仕草がどうとかというセクシーさではなく、
胸だったり丸い腰だったり、肉感的に男たちを誘う。
これらのシーンがややうるさいとも言えるが、
まさに体と知恵と勇気で道を切り開いていく女性たちのかっこいいこと。

前作は大聖堂が完成するまでの話だったので、
キングズブリッジは次第に大きくなっていく町だったけど、
今回のキングズブリッジはすでに羊毛で成功した町で、
それが数々の災難をくぐりぬけて、いかに発展していくかがポイント。
善の立場だった修道院長フィリップと違い、
今回は教会は保守的な壁となり、商人や農民の改革の前に立ちはだかる。

上巻は土・日で読み終えたものの、平日になると一気読みもできず、
中巻は1週間、下巻が休みに入って一日かかって読了。
続きが気になるので、どうしてもパラパラとページをめくってしまうのだけど、
そのたびに、「えっ、○○○が修道院長!」、
「○○○と○○○に子供が!」と予想を大きく上回る展開にいつもびっくり。
中巻の帯に「キングズブリッジを未曾有の危機が襲う!」
と書かれているんだが、いつでも危機につぐ危機で、
橋田壽賀子の連ドラかよ!と言いたくなるのだが、
本当に未曾有の危機でまたびっくり。
前作のように大聖堂が目の前で完成していくような感動はないものの、
ノンストップの歴史物語が楽しめます。


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