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本『戦後民主主義と少女漫画』

戦後民主主義と少女漫画 (PHP新書 597)
『戦後民主主義と少女漫画』
著 飯沢耕太郎
PHP新書

写真評論家として知られている飯沢耕太郎による少女マンガ論。
“戦後民主主義”と“少女マンガ”、一見、まったく関係がないように思えるが、
大島弓子や萩尾望都が登場した70年代は、
もろに戦後民主主義の思想の時代であり、
彼女たちがその時代の中での苛立ちや違和感、
飯沢氏がいうところの“純粋少女性”を描いた結果が
70年代少女マンガの文学性や思想性を生み出したのだとすれば
むしろ納得がいく。
私は自分が1968年という時代に感じるノスタルジーや
あの時代に少女マンガが先鋭的なまでに文学化したのは
なぜだろうと思っていたのだけれど、この本はひとつの答えだった。

飯沢氏が高校生のとき、制服の廃止を論じた全学集会において、
迎合する教師に向かって苛立ちを表現した、ひとりの少年の中に
“絶対少女”を見たエピソードには、思わず泣きそうになった。

中心として論じられているのは大島弓子の『バナナブレッドのプティング』、
萩尾望都の『トーマの心臓』、岡崎京子の『ヘルタースケルター』。
岡崎京子はこの中で、関連がないように見えるが、
無条件で自分を肯定してくれる何かを求めていたのが
70年代の少女マンガなら、「それでいいんだよ」と
肯定できなくなってしまった時代のトップランナーが岡崎京子だと著者はいう。
そして岡崎京子の中にもまた変奏した“絶対少女性”があると。

少女マンガが昔のような存在ではなくなってしまった現在、
絶対少女性の後継者として、HIROMIXのガーリー・フォトを
あげているのもおもしろい。

◆読書メモ

飯沢氏は“絶対少女”の特徴を、
飛躍、非連続性、違和、固着、蕩尽、感応
としてあげている。
“内語”と“カケアミ”が発達したのも70年代少女マンガ。

尾崎翠『第七官界彷徨』
大塚英志『「彼女たち」の連合赤軍―サブカルチャーと戦後民主主義』

ラベンダー

ラベンダー
今年の冬はだいぶほったらかしてたので(2鉢枯らした)、
どうかと思いましたが、ちゃんと咲きました。
植物ってすごいなー。

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