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ドキュメント・アニメ新世紀宣言

『機動戦士ガンダムの時代 1981.2.22 アニメ新世紀宣言』という本を読んだ。
1981年2月22日に行なわれた、イベント“アニメ新世紀宣言”について書かれており、
『機動戦士ガンダム』の劇場版公開を盛り上げるために開催されたこのイベントには
1万5000人~2万人の人が集まり、新宿アルタ前の広場を埋め尽くし、
「アニメなんて子供の見るもの」と言われてた時代に、アニメファンの存在を知らしめ、
ひいてはアニメが文化となっていく、きっかけになった、という。

しかし、著者がこのイベントのスタッフのひとりということもあり、
どうも本を読んだだけでは、自画自賛というか、昔話を聞かされてる感が強い。
『ガンダム』以前の『宇宙戦艦ヤマト』や同人サークル的な話も
「このサークルには○○さんがいた」とか言われても、誰それ?って感じである。
『コミックマーケット創世記』を読んだときも思ったけど、
オタク第一世代の人たちにとっては、当時の個人個人のつながりは
懐かしい思い出だろうけど、その後の世代にとっては、
知らない人々の交流関係なんてピンとこないし、もっと言えば、どうでもいいのだ。

アルタ前を埋め尽くした人々も、本に掲載されている写真で見る限り
本文が盛り上げようとするほどの熱気は感じられない。
アニメ新世紀宣言を読み上げたシャアとララァのコスプレをした2人についても、
「モデル顔負けの美男美女」くらいのことが本文には書いてあるのだが、
何しろ80年代だし、コスプレもまだ仮装な時代なので、
写真ではオタクな男女にしか見えない。
(この2人、永野護と川村万梨阿は、その後、メカニックデザイナーと声優になり、
結婚したそうだ。アニメ界では有名な2人らしい。)

この本だけでは今ひとつ当時の熱気がわからないので、
本の中でも言及されていた、NHK『ドキュメント・アニメ新世紀宣言』を見た。
これは5夜連続で放送される『ガンダム宇宙世紀大全』の一部。
約30分ほどのドキュメンタリーだったが、よくまとまっていた。
本の著者であるアニメック編集長・小牧氏のほか、
宣言文を書いた、松竹側の宣伝担当、野辺氏や配給元の近藤氏、
当時、小学生でイベントに参加した人々の声を紹介している。

ドキュメンタリーに出てくる当時の写真も(動画はないらしい)
本に掲載されているものと同じなのだが、カラーなのと、
音楽やナレーションが入るので、臨場感がある。

本と大きく違うのは、“当時のスタッフ”という送り手側の視線ではなく、
“当時の小学生”という受け手側の感動がベースにあるところだろう。
(この番組のプロデューサーもイベントに参加した小学生だったそうで
そのときの思いを伝えたいという感じが番組にも現われている。)
「集まるってことがとにかく大きなことだった」という宣伝側の思いと、
それに答えたファンの思いが、ちゃんとひとつになっている。

まあ、もちろん、本を先に読んでいるので、
当時の状況を私が把握しやすかったというのはあるけど。
あとは、結局、NHKの演出力ということでしょうか。
階段を上り、東口の広場に出るところから番組が始まり、
現在の東口広場で終わる、という簡潔さが良かったです。

アニメ新世紀宣言
私たちは、私たちの時代のアニメをはじめて手にする。
『機動戦士ガンダム』は、受け手と送り手を超えてうみだされた
ニュータイプ・アニメである。
この作品は、人とメカニズムの融合する未来世界を皮膚感覚で訴えかける。
しかし、戦いという不条理の闇の中で、
キャラクター達は、ただ悩み苦しみあいながら呼吸しているだけである。
そこでは、愛や真実ははるか遠くに見えない。
それでも、彼らはやがて仄かなニュータイプの光明に辿りつくが、
現実の私たちにはその気配すらない。
なぜなら、アムロのニュータイプはアムロだけのものだから。
これは、生きるということの問いかけのドラマだ。
もし、私たちがこの問いを受け止めようとするなら、
深い期待と決意をもって、自ら自己の精神世界(ニュータイプ)を求める他はないだろう。
今、未来に向けて誓いあおう。
私たちは、アニメによって拓かれる私たちの時代と、
アニメ新世紀の幕開けをここに宣言する。

機動戦士ガンダムの時代 1981・2・22 アニメ新世紀宣言
『機動戦士ガンダムの時代 1981.2.22 アニメ新世紀宣言』
著 小牧 雅伸
ランダムハウス講談社

私はこのイベントのことを何も覚えてないのだが、
(『ガンダム』を意識して見たのは何度目かの再放送で、
記憶にあるのは『哀・戦士』あたりから。男の子たちはガンプラに夢中でしたけど。)
当時、小学生だった、Yさんは、「イベントには参加してないと思うけど、
こういうイベントがあった、ということは覚えている」そうだ。

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