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本『究極のテレビを創れ!』

究極のテレビを創れ! ~感動に挑む絵づくり職人たち (テック・ライブ!)
『究極のテレビを創れ! 感動に挑む絵づくり職人たち』
著 麻倉怜士
技術評論社

5年くらい前だと思うけど、電器店の売り場で何台も
液晶テレビをチェックしたことがあって、
そのときは「白っぽい」、「赤や緑の色が正確じゃない」という印象だった。
現在、液晶テレビは驚くほど綺麗になった。

ブラウン管の画質をいかに手に入れるか。
この本は、液晶とプラズマの高画質への取り組みを
現場インタビューを通して追ったものである。

コントラストが低い、視野角が狭い、残像が多い、
液晶テレビの画質をどうやって改善するか。
液晶の場合はLEDバックライトが、
プラズマの場合はワッフル構造がひとつの答えだった。

液晶の「黒が浮く」のはなぜか。
その解決策に取られた技術はどういうものか。
わりと難しい話が麻倉さんの文章でかなりわかりやすくまとめられている。
なにより、現場のエンジニアたちの熱い想いが語られているのがよい。

現在ではさらに進んで、映画なのかスポーツ番組なのか、
何が映っているのか、昼なのか夜なのか、どんな環境で見ているのか、
といったことを判断して色を自動調整したり、
作品に込められた意図を判断して、
コントラストを調整したりするところまで技術は進んでいるらしい。

後半はポスト液晶時代の有機EL、
画素数をアップコンバートする超解像、4K×2K、3Dテレビ、
2025年の開始を想定しているスーパーハイビジョン
(解像度7680×4320)など、これからの話。

3D画質の問題として書割現象(奥行き方向にある物体が、
舞台の大道具のように、平面的に、重なって見える現象)
というのがあるそうで、『センター・オブ・ジ・アース』の3D映像が
「背景映像の手前に人物を配置した、飛び出す絵本みたいだ」
と思った私としては納得。

そのほか、現在のハイビジョンが人間の視覚特性を研究して、
人が2次元の映像から臨場感を感じる条件として、
「広い視野」と「たくさんの画素情報量」が必須ということで
16:9のワイドスクリーン、1920×1080の画素数の
スペックが考案された話とかおもしろい。

最近の私のお気に入りはNHKの『ローカル鉄道の旅』なんだけど、
会社のテレビで地デジ放送を見たら、風になびく草のひとつひとつ、
川面に反射する光、夜の鉄橋に流れる霧まで映っていて、
「あー、これ撮影したの暑い日だな、光と緑の感じからすると初夏?」
みたいに温度まで感じられて、臨場感ってこういうことかと思ったりしました。

また、絵づくりや画質チェックのための
リファレンス映画としてあげられているのが、
『パニックルーム』、『ヒマラヤ杉に降る雪』、
『あの頃ペニー・レインと』のチャプター2。
『ヘアスプレイ』のチャプター4、
『ジャスミンの花咲く』、『善き人のためのソナタ』など。
『きみに読む物語』の冒頭シーンが「リッチな色とコントラスト再現力
が要求される」なんて見方はなかなか新鮮。


◆読書メモ

「ラストチャンネル機能があるので、すべて電源を切る直前のチャンネルが
同時に出るはずなのですが、100台のうち1台だけ違うチャンネルが
映っていることが、よくありました。不思議なことに5台、10台では
出てこないのですが、100台ぐらい見るとなにかしら不具合が出てくるんです。」

アメリカ映画「きみに読む物語」の冒頭の川のシーン。川岸はほとんど
暗黒の世界なのだが、でもよく見張ると、うっすら明るい部分がある。
輝度レベルで言えば1%ぐらいの差でしかない。従来であれば、
液晶は全体に黒が浮くので論外だが、プラズマであってもこの部分は、
黒に落ち込んだり、階調ノイズが出たりして、なかなか満足できる表現を
見ることができなかった。

「フィルターで黒の感動を再現したい。大事なのは黒側の色目です。
それには一番、視感度の低いブルー寄りにすると、人の目では、
さらに黒く見えることを発見しました。黒味に青が少し入ると、
濡れた黒になりました。」
「中学生の子供が夜の絵を描いていました。夜空に星があって、
そのまわりを何色で塗るかなと見ていたら、青色で塗っているんですねえ。
で、その青から次第に黒に塗っていく。星は金色で塗り、そのまわりを
深い青で塗り、もう少し離れるとさらに濃い青にして、次第に黒になっていく。
すると、“透き通った濡れた黒”って感じが見事に描かれたんですよ。」

絵づくり用のリファレンス映画はどう選ぶのか。
「被写体深度の浅い映像が多い映画を選ぶことです。そんな映像では、
対象物にしっかりとフォーカスが当てられ、監督の意図が容易に識れます。
この監督は対象をどのように見せようとするのかを、物語の展開に沿って
理解していきます。」

「結局、テレビはどこまで行ってもツールでしかありません。
感動を与えるのは結局コンテンツだというところに、ある時点から
発想を切り替えたんです。そのためには、良質な作品をたくさん観て、
『いい映像とは何か』を知らないといけない。」

「たとえば、『赤い勝負服』なら、それを着ている人が
どういう勝負をするのかを理解しなければならない。
ストーリー全体におけるそのシーンの意味がわからないと、
服の赤と背景のバランスをどう取るべきかが見えてこないからです。」

「アルファ波はSD(720×480画素)よりフルHD(1920×1080)を
見ている時の方が遥かに多く出ます。しかし、もっともたくさん出るのが
4K×2Kです。4K×2Kは、人類の幸福のために絶対に必要な映像なんです」

(4K×2Kで)大いに注目を浴びているのがロサンゼルスの
レッド・デジタル・シネマカメラ社のレッド・ワン(Red One)である。
最近ではスティーブン・ソダーバーグ監督のドキュメンタリータッチの
『チェ39歳 別れの手紙』『チェ28歳の革命』が全編、レッド・ワンで撮影された。

「レッド・ワンは映画制作の文脈にあっている。
フィルム同様のポストプロセスで作り込みできるので、
映画人が使いこなせるのです。フォーカスと露出、構図を合わせて撮影し、
現像してから、カラータイミング(色変更)などの後処理をして作品に
仕上げるというのがフィルムの制作プロセスですが、レッド・ワンの場合も
撮影したフィルムを“現像”し、後はカラー・グレーディング(色、階調処理)で
映像を作っていく過程は、フィルムの世界とまったく同一なのです」

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