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本『なぜコンピュータの画像はリアルに見えるのか』

なぜコンピュータの画像はリアルに見えるのか―視覚とCGをめぐる冒険

『なぜコンピュータの画像はリアルに見えるのか 視覚とCGをめぐる冒険』
著 梅津信幸
NTT出版

光と眼の関係を中心に、眼の仕組み、見えるとはどういうことか、
光とは何か、ということから始まって、コンピューターで絵を描くシステム、
JPEGの圧縮技術、CGの基本を解説した本。

方程式や難しい用語を一切使わず、コンピューターグラフィックの
基礎となる考え方がわかるところがすごい。
「レイトレーシング」とか「レディオシティ」はCGをリアルに見せるための
光の計算方法ですが、これがちゃんと理解できる。
(前にCG検定を受けたことがあるので、私はここらへん勉強しましたが、
そういった知識がなくても大丈夫。)

以下は、Paul Debevecの有名な研究ですが、
『スパイダーマン』などのデジタルダブルに応用されている。
これもわかりやすく解説されている。
(本ではさらに画像が掲載されているので、もうちょい具体的。)

「現実の物体は、鏡面反射と拡散反射が混ざっていますが、
うまく工夫すると、この2つの光を分けることができます。
鏡面反射は光を当てる方向によって強さが大きく変わるので、
いろいろな方向から光を当てて
・明るさが大きく変化する光:鏡面反射
・明るさが変わらない光:拡散反射
というふうに、切り分けるのです。
人間の顔に対して、このように2つの反射光の成分を分けて測定したという
研究例があります。人間の顔を固定した状態で、照明を回転させながら光を当てて、
回転するカメラで撮影して、集めたデータから光の成分を計算で分解します。
すると、てかりをすべて除いた顔(拡散反射のみ)や、
てかりだけの顔(鏡面反射のみ)など、通常では見られないふしぎ顔が作れます。」

「ここで紹介した反射の成分を分離する技術は、TVや映画などで、
俳優が実際のロケができないとき(スケジュールの都合、危険性が高い、
シーンが完全に架空の場合など)に、その光のようすを顔の上に再現するときに
使われています。通常のスタジオの照明のまま俳優を撮影すると、
別に撮っておいた背景と合成したときにどうしても違和感があります。
そこで、このような方法で顔の照らされ具合を完全にあわせておけば、
背景とぴったり合成できるわけです。」

ところどころ、話が飛躍しちゃったり、
比喩が遠すぎてわかりにくいところもあるけど、
CG入門としては最適。

本書と直接は関係ないけど、最近見てびっくりした、
海外ドラマのVFXについての動画。最近はロケするよりCGの方が安いんですね。

Paul Debevecの研究については以下がわかりやすいです。

Paul Debevec animates a photo-real digital face


◆読書メモ

赤外線は人間の目には見えないが、デジタルカメラには写る。
デジタルカメラのCCDでは、リモコンが光っているのが見える。
ちなみに、以前アップル社のCEOだったギルバート・アメリオ博士は、
このCCDの開発者の1人。

トンネル内の照明には、オレンジ色のものが多くあります。
これは、ナトリウムランプと呼ばれ、中に気体化したナトリウムが入っています。
このランプは、放電により、589nmという1種類の波長を持った光を出します。
トンネル内でナトリウムランプを使うのは、
・明るい
・紫外線が出ない(虫が集まってこない)
・可視光としては波長が長いので、霧や煙などの細かい粒子が
漂っているときも、光が直進しやすい(遠くまで届く)
という利点があるからです。逆に、単一の波長しかないので、
すべてがオレンジ色の濃淡で見えてしまい、
色の区別はつきにくくなるという欠点もあります。

相対性理論には2種類あり、時間に関する部分は、
・特殊相対性理論:動いている物体では、時間の進みが遅くなる
・一般相対性理論:重力の強い物体の近くほど、時間の進みが遅くなる
となっています。
GPS衛星の時計に対しては、前者は1日あたり7μ(マイクロ)秒だけ
遅くなるように作用します。また、地球表面の方が重力が強く、
衛星の方が弱いので後者によって時計は毎日45μ秒だけ早く進んでいきます。
そこで、この両者を合わせたズレ(-7+45=38μ秒)を補正するように
衛星の時計はあらかじめセッティングしてあります。
38μ秒はとても短い時間ですが、電波はその間に11kmも進むので、
GPSには補正が不可欠となっています。

ゲームの中の世界は、地球のような球形ではなく、実はドーナツ形をしています。
(トポロジーではこれをトーラスと呼びます。)


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