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本『グーグル時代の情報整理術』

グーグル時代の情報整理術 (ハヤカワ新書juice)

『グーグル時代の情報整理術』
著 ダグラス・C・メリル、ジェイムズ・A・マーティン
ハヤカワ新書juice

元グーグルの最高情報責任者(CIO)の
ダグラス・C・メリルが、失読症だった子供時代、
それを克服して学んだ認知科学、恋人の闘病などを通して、
築き上げた自らの情報整理術を語った本。

普通のライフハック本と違うのは、整理術のハウトゥではなく、
著者が人生をどう生きるかという話をしているところ。
著者にとって、整理術は仕事を効率化するためというよりは、
脳に与えるストレスを減らすためにある。

たとえば、「9時5時の勤務時間は産業革命の工場労働から
生まれたもので、当時は理にかなった、効率的な勤務体制だったが、
今では時代遅れで、ストレスを与えるライフスタイルだ。
可能ならば上司にかけあって9時5時の勤務時間を変えるべきだ」という。
まずは脳に負担のかからないライフスタイルをめざせと。

認知科学の知識が発揮されているところでは、
「人間の短期記憶は一度に5~9個の物事しか保持できない。
ある作業から別の作業に移るときには、短期記憶に保持していた
情報をいったん追い出す必要がある。
だから人間の脳は“ながら作業”には不向きだ」と説明する。

特に心に残るのは、ガンで亡くなった恋人の話だ。
闘病生活のストレスで、病気のことや薬のこと、医師の話など、
彼らは情報にうまく対処できなくなる。
そのときに心のエネルギーや余力を残すためにこそ、
整理術は必要なのだと著者は言う。

「あなたが抱えている困難が何であれ、情報のえり分けはそうたやすくはない
ということだ。しかし、情報のえり分けは今まで以上に重要になっている。
したがって、危機に直面する前に、今すぐあなたなりの方法で
情報のえり分けを実践してほしい。これからの人生で、
極めて重要な情報を突然理解しなければならなくなるときがきっと来るはずだ。
あなたにとってちんぷんかんぷんな情報を。しかも、そんなときに限って、
それを理解する心の余裕はない。しかし、情報をえり分ける習慣が
身に付いていれば、情報を理解し、頭を冷静に保つことができるはずだ。」

「検索を前提に情報を管理しよう」、
「情報は「えり分け」て、本当に必要なことだけ記憶しよう」
というのが著者の整理術の基本。
そのためのGメールの使い方なども出てくるが、
「完璧な整理術などない」ので、
自分に必要なツールを選べばいいともいっている。

仕事とプライベートのバランスを取ることなど無理なので、
グーグルカレンダーで仕事用とプライベート用のカレンダーを
一緒に管理して、いかに仕事とプライベートを融合させるかを
考えたほうが現実的だという主張もなるほどと思う。
プライベートのつまらない空き時間(レジに並んでいる時など)に
仕事のメールをチェックするのは理にかなっているが、
レストランで親しい人と食事をしているときに
メールをチェックするのはプライベートをないがしろにしているだけだと。

Gメールやグーグルカレンダー、グーグルドキュメント、
キンドル、Firefoxなど、掲載されているツールの使用方法に
それほど目新しいものはないが、
なんのために整理術が必要かという著者の話は
(ちょっとストレスフリー的ではあるけれど)わりと大事なことだと思う。


◆読書メモ

ページをざっと読みながら、重要だと思われるところに
カラー・ペンで☆マークをつけて、ひとつの章を読み終わったら
☆マークをつけた文章や段落だけ読み返し、
情報の目的に応じて蛍光マーカーで色分けする。

電子メールに常に集中力をそがれているなら、
休憩時にのみメールを確認するようにする。

整理術の原則
・脳の負担がなるべく少なくなるように、生活を組み立てよう。
・なるべく早く、頭の中から情報を追い出そう。
・“ながら作業”は一般的に効率を低下させる。
・物語を使って覚えよう。
・いつもそうしているからといって、そうしなければならないわけではない。
 (9時5時の勤務構造に慣れているからといって、それに従う理由はない。)
・知識は力ならず。知識の共有こそ力なり。
・思い込みの制約ではなく、現実的な制約をくぐり抜ける術を身に付けよう。
・自分で決め付けるのではなく、自分自身に心から正直になろう。
・制約を無視すべきケースを知ろう。
・エンジンをかける前に、どこへ向かっているのか、
 どうやって向かうのかを明確にしよう。
・目標の達成方法に幅をもたせよう。
・情報を整理するのではなく、検索しよう。
・本当に記憶の必要な物事だけを記憶しよう。
 (そのためには、情報を「えり分ける」ことが必要だ。)
・大きなかたまりを、小さなかたまりに分けよう。
・週一回、重要な情報を見直す時間を設けよう。
・完璧な整理術などない。
・あとで検索しやすいように、デジタル情報には関連キーワードを追加しよう。
・文脈の変化を見越して、メモを取っておこう。
・文脈の似た仕事をまとめて行なおう。
・仕事とプライベートのバランスを取るのではなく、融合させよう。

脳は意思決定も苦手だ。

脳のエネルギーを無駄にしないためにも、記憶すべき情報をえり分けよう。

仕事であれプライベートであれ、知識をため込むのではなく
共有することで、はるかに効率を上げ、ストレスを減らすことができる。
独りで仕事をするのではなく、チームを作ろう。
得意なことと不得意なことを正直に認めよう。得意でない仕事を
ほかの人に引き受けてもらい、その人を信頼しよう。
さらに、自分より頭がよく、経歴、視点、スキルが異なる人々と
常に仕事ができれば、いっそう効果的だ。自分の知識を提供し、
相手にも知識を提供してもらおう。そうすれば、あなたは
相手から学ぶことができる。相手もあなたから学ぶことができる。
その結果、双方の仕事の効率が上がる。

本当に恐ろしいのは、誰かに任せることを学ばなければ、
自分にとって本当に重要な仕事にいつまで経っても集中できないということだ。

目標は、完璧な整理術を築くことではない。それは不可能だからだ。
重要なのは、その方法の限界を把握し、それをうまくくぐり抜ける方法を
見つけ出すことだ。

検索は、誰かがインターネットに投稿した情報を探し出すためだけに
あるのではない。自分自身の情報にも検索を活用すべきなのだ。
電子メールを自分宛のメモとして利用する場合は、一日後、
一週間後、一年後にメールを検索することを念頭に置いた
キーワードを追加しよう。
検索を利用することを想定に入れて、足場を組もうということだ。
文書、連絡先、予定、メールなど、重要な情報をなるべくクラウドに
保存するようにしよう。そうすれば、どこにいても、あなたにとって
重要な膨大な情報にアクセスできる。必要になったら、検索すればいい。
そうすれば、あわてることも、混乱することも、ストレスをためることもない。
毎日の呼吸が少しラクになるはずだ。
何といっても、検索は“酸素”なのだから。

“仕事とプライベートのバランス”という言葉を口にする人々の話に
よく耳を傾けてみると、大半の人々が言っているのは、つまるところ
「仕事の時間を減らしたい」ということだ。
より現実的な目標は、ストレスを減らし、イライラを取り除き、
生産性を上げ、人生の喜びや困難とうまく付き合いながら、
仕事とプライベートを融合させることだ。

仕事とプライベートは別個のものではないと認識することが重要だ。
仕事を優先すべきときも、遊びを優先すべきときもあるという事実を
受け入れよう。プライベートな時間を作るために仕事を抑える必要はないし、
プライベートを仕事の二の次にする必要もない。

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コメント

もうすこしDocの機能が追加されてくるといいのですが、、、

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