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映画『初恋』

初恋 プレミアム・エディション [DVD]

『初恋』

『剱岳 点の記』の宮崎あおいが少ない出番ながら
あまりにもかわいかったので、今年のテーマのひとつが
「宮崎あおい再発見」だったりするのですが、
今年最初に見る映画としては我ながらどうかと思うセレクト。

「三億円事件の犯人は女子高生だった」という奇抜なストーリーにもかかわらず
タイトルが示すように、これは初恋の物語。
三億円事件自体はたんなる時代背景みたいなものです。

宮崎あおいの68年ファッションをはじめ、ジャズ喫茶、学生デモなど、
当時の雰囲気だけでなく、そのころの青春の彷徨を再現、
というか、ほとんど60年代、70年代の青春映画のパロディーみたい。
当時の映画のアングラさとか、たら~っとしたノリとか、
意味深な表情のアップとか、やたらと暗い室内とか、
そんなものまで再現されているので、懐かしいというか、
タルいというか、この雰囲気が楽しめないとついていきにくい。

宮崎あおいの存在感は、主演が宮崎あおいじゃなかったら、
この映画は成り立たなかったろうと思う。
路上に座り込んでしまう場面とか、そこらへんの女の子だと
ただただタルい、意味不明のシーンになってしまうが、
宮崎あおいだと孤独感や喪失感を表現できる。

ちょっとびっくりしたのは、髪型のせいもあると思うが、
頭をなでられて笑った顔とか、かつての裕木奈江によく似てる。
そう思うと裕木奈江のポテンシャルってすごかったんじゃないかと、
今さらながら、惜しい人をつぶしてしまったんじゃないかと。
まあ、裕木奈江の笑顔が「男を誘ってる」と言われたのに対し、
宮崎あおいの笑顔は男子より女子受けするかわいさだけど。

ある意味、宮崎あおいより重要な役どころの小出恵介ですが、
本人が何かのインタビューで「『初恋』は荷が重かった」と語っていたように
役柄に求められる冷たさとか、当時の醒めた感じとかが
小出くんのキャラクターとあっていない。
精一杯、好演してますが、もっと何考えてるかわかんないような顔じゃないと。
しかし、今の若者でこの役ができる役者もそうそうおるまい。

彼が読んでいた本が気になって、DVDを巻き戻してみたりしたけど、
フランス語タイトルでわからず。
ググってみたら、どうやらサルトルの『嘔吐』や『壁』で、
宮崎あおいと出会う場面が『ランボー詩集』のようです。

本筋ではないとはいえ、三億円事件はもう少しサスペンスな演出が
あってもよかったかも。本当にこんなユルユルな感じで実行されたんですか?
ネットで「あの殴られた騒動はなんですか?」って質問を見つけたけど、
今の子は学生デモもなんだかわかんないんだね。
三億円事件も私だってリアルタイムでは知らないし、
事件が世間に与えたインパクトや意味なんてわかろうはずもない。
岸という小出くんの役名や、ジャズ喫茶にたむろする若者たちも
あの時代に何らかの共感をもてない世代だと理解不能なんじゃないか。
(逆に言うと、私のような1968年好きは、この映画が描く、
時代の雰囲気だけでも、それなりに楽しめる。)

亮役の宮崎将は本当に宮崎あおいのお兄さんらしいが、
どちらかというと旦那の高岡蒼甫の方が向いている役。
ユカ役は68年ファッションも気だるいヌードも似合う美人だが、
台詞のしゃべり方が68年っぽくないと思ったら小嶺麗奈だった。
全体的に役者たちは、このアングラっぽい映画の雰囲気を
ちゃんとつかんでいたと思う。
(岸の父親の弁護士(?)だけ、大事な台詞を言っているので、
もっと重みのあるしゃべりができる人がよかったなと。)

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