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本『ライフログのすすめ』

ライフログのすすめ―人生の「すべて」をデジタルに記録する! (ハヤカ<br />
ワ新書juice)

『ライフログのすすめ 人生の「すべて」をデジタルに記録する!』
著 ゴードン・ベル、ジム・ゲメル
ハヤカワ新書juice

これはすごくおもしろかった。
『グーグル時代の情報整理術』といい、
ハヤカワ新書juiceは著者のセレクトも豪華だ。
今回の著者はなんとゴードン・ベル。
彼は現在75歳なのだが、“マイライフビッツ”として
長い間、ライフログを実践しており、ライフログの未来を楽しく描いてくれる。

自分の見たもの、聞いたもの、位置情報、体重、心拍数、
読んだ本に、仕事や保険、金融関係の書類などなど、
個人的な情報をすべてデジタル化して記録するライフログ。
今まではライフログっておもしろそうだけど、いったい何の役にたつのか、
自分の一生の記録を再生するには同じだけの時間が必要なんじゃないか
と思っていたのだけど、この本を読んでだいぶ考えが変わりました。

大切なのはすべてを“デジタルで”記録すること。
そして検索できるようにしておくこと。
仕事上の書類やメールがすべてデジタル化され、
いつでも取り出せるようになる利点、
センサーによって体の変化を記録し、
健康管理データとしてどこからでも参照できる利点、
教科書や授業をデジタル化して学習の効率化をアップすること
などが語られている。

「タブレットPCや携帯電話から学生向けメメックスに
アクセスできるようにすれば、授業中だけでなく、
行き先々でもメメックスを使える。記録されるのは授業、講義、実習だ。
友だちと勉強中に、ある方程式の因数分解を解いていたとしたら、
タブレットPCに記録された講義を呼び出し、
黒板での教師の説明を見直せばよい。
教科書や講義ノートから切り貼りして虎の巻を作ることもできるし、
教科書の中や、別の教科書へリンクを加えることもできる。
グループプロジェクトにおいては、各人の電子記憶を基点にして、
共同のリンクやデータ集が作られる。みんながそれを利用して、
プロジェクトの最終結果を出すようになる。」

これってまるで未来のiPadみたいじゃない?

さらに個人的な記録を保存することによって、
子供が初めて歩いた瞬間、恋人に初めて出会った日、
といった人生の思い出も再生できるようになるという。

ゴードンはさらにこの膨大な個人の記憶をもとに、
自分のアバターをつくることができる未来も語っている。
ここまでくるとややSFっぽいが、
実際にライフログを使って軍事訓練を効率的に行なう研究や
兵士のパトロールに利用するプロジェクトなども紹介されている。

後半はライフログを実践するための方法で
スマートフォン、GPS、GPS機能付きデジカメ、スキャナーなどの機器、
ワンノート、エバーノートなどのツールが紹介されている。
(センサーで人を判別して自動撮影する『センスカム』は
Viconの『ViconRevue』として今年発売を予定。)

ゴードンはマイクロソフトでライフログを整理する方法を
研究していたようなのだが、まだこのツールは未完成のようだ。
実際、今ある機器で記録は可能だと思うが、
検索や整理をひとつのツールで行なうのは難しそうだ。

また、驚いたのは本書の中で紹介されている
ヴァネヴァー・ブッシュが1945年に書いたというエッセイだ。

「メメックスとは、個人が自分の本・記録・手紙類をたくわえ、
また、それらを相当なスピードで柔軟に検索できるように
機械化された装置である。メメックスは個人的な記憶を
拡張するための補助装置である。」

「まったく新しい形の百科事典が登場するだろう。
連想による検索経路の網目が事典中にあらかじめ準備されており、
それをただちにメメックスに入れて拡張していくことができる。
検索経路の開拓は新たな職業となり、これに従事する人々は、
公的記録の膨大な集積中に有益な検索経路を進んで確立していくのである。」
『思想としてのパソコン』(NTT出版・1997年)から引用

現在のインターネットを予測し、さらにその先を行くかのようなこの未来像!
とりあえず、位置情報をつけて写真を記録するとか、
クリップレット(5秒かそこらの短いビデオ)あたりから、
マイライフログを作ってみようかと思ったりする。


◆読書メモ

リンゼイは以前、センスカムを開発した理由の一つが、
メガネをどこにおいたかわからなくなったときに使おうと思ったからだと教えてくれた。
センスカムの画像を調べることで、最後にメガネを外した場所がわかるというわけだ。

DARPAは、ライフログ技術で「そのような装置があれば、
ユーザーの過去の体験にアクセスして、戦闘員や司令官にとってはるかに
効果的なコンピュータ支援装置を開発できる可能性がある。
……コンピューターを用いた、より効果的な訓練システムに
活かすこともできる」といった構想を推進していた。

音楽管理プログラムとして人気があるアップル社のiTunesを使えば、
PDFファイルの管理と整理を音楽ファイル並みにたやすくできるのだ。
iTunesでは、音楽ファイルと同様、PDFファイルも検索、コメントの付加、
レートづけができる。望みの条件に合わせてPDFファイルを検索して
「プレイリスト」を作成すれば、ほかの医師に見てもらうことができる。
頸骨骨折のX線写真なんだけど、去年の分を全部持ってきてくれないか。
75歳以上の患者の椎間板ヘルニアの写真をすべて見せてくれ
といったものもすべて、PDFファイルに記録されている、というわけだ。

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