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本『高慢と偏見とゾンビ』

高慢と偏見とゾンビ(二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

『高慢と偏見とゾンビ』
著 ジェイン・オースティン、セス・グレアム=スミス
二見文庫

まあ、なんというか、タイトルだけで勝ったも同然の本。
タイトル聞いたときからずっと読んでみたかったもんね。

冒頭はこんな感じ。
「これは広く認められた真理であるが、人の脳を食したゾンビは、
さらに多くの脳を求めずにはいられないものである。」

この冒頭が笑えるかどうかは、原作を知っているかどうかによる。
原作はこんな感じ。
「これは広く認められた真理であるが、財産に恵まれた独身男性は、
理想の結婚相手を求めずにはいられないものである。」

役者あとがきでは“マッシュアップ小説”と書かれているが、
パロディーというより、80%が原作『高慢と偏見』のダイジェストで、
それにゾンビネタが時々顔を出すといった感じ。
たとえば、エリザベスとダーシーが初めて顔を合わせるパーティーで
ゾンビが現れて客が食い殺されるとか、
エリザベスが姉を訪ねていく途中で、ゾンビに襲われるとか、
ゾンビを倒した後では、普通に『高慢と偏見』ストーリーが続くので、
ここを削ってしまってもほぼ問題ないと思われる。

そして、肝心のゾンビネタ部分がおもしろくないのだ。
なんていうか、エリザベス姉妹たちが少林寺を習っていて、
カタナで戦ったり、家にはドージョーがあるとか、
ダーシーはキョートで修行していたり、
レディ・キャサリンの屋敷にはニンジャがいて、
メイドの代わりにゲイシャを連れていたり、
まあ、なんというか、日本人からすると苦笑するしかない。

原作ともっとも話が変更されているのは、
エリザベスの友人シャーロットの不幸な結婚について。
原作でもシャーロットの行動はびっくりなのだけど、
「結婚しないと暮らしていけなかった」当時の状況を考えると、
納得できる選択であり、当時の女性の悲しい境遇を思わせた。
この結婚の理由についての変更は、私は大いに不満なんだけど、
その後の展開については、この小説の中で(唯一といっていいほど)
良い出来なんじゃないかと思う。

そのほか、ミスター・ウィカムに対する処遇とかは
なんかなー、全然笑えないんだけど。

もっとゾンビネタがストーリーに絡んでくるとよかったのに
とは思いますが、一日で一気読みするくらいおもしろかったのは確か。
でも、このおもしろさって、原作が元々もってるおもしろさなんだよね。
『高慢と偏見』はすごくおもしろい小説だけど、ダラダラしたところが
苦手だという人には、ダイジェスト版として楽しめるかも。

※ナタリー・ポートマンで映画化だそうですが、
やっぱりここは『プライドと偏見』のキーラ・ナイトレイでお願いしたい。


◆読書メモ

「幸せな結婚ができるかどうかは、完全に運で決まるんだもの。
それに、一生をともにする相手の欠点なんて、
知らなければ知らないほどいいのよ」

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